Fuji Rock Festival '99

GIG REPORT

FRF99 −れいくの場合−


地元新潟から参戦のれいくさん・・・・・・・・しかしそこまでの道程は、近いようでとてつもなく遠いものでした。 そんな彼のフジロックレポートが、今ここにあります。


はじめに Tube Snake Boogie


97年から始まったフジ・ロック・フェスであったが、これまで行く事ができなかった。
非常に個人的な話であるが、地元の友人達と、毎年琵琶湖で行われている 『鳥人間コンテスト』に参加しているからである。
この2年間いつも開催期間がバッティングしてしまい、苦渋の想いを抱いていた。

それが、チーム内の諸事情により今年は鳥人間コンテストに参加しない事が決まり、「おおっ、今年は行けるかな?」という感じを抱いた。
ただ、家族を説得するのは難しいからどうかなぁ〜多分無理だろう、とも思っていた。

そんな中、今年の参加者が発表されたのだ。
なんと、オオトリがZZ TOPではないか!

完全に気持ちは決まった。
絶対行ってやる!
もう、家族なんてどうでもなるじゃないか!
今見なければ、多分一生見れない。

なんて、半ばなにかに憑つかれたような気持ちになってしまった。
強引に嫁さんの合意をもらった。
(これが後の悲劇に繋がるのだが・・・)

ZZ TOPは、自分が洋楽に目覚めた頃に売れていた。
冗談ではない、本当に売れていたのだ。
MTV全盛の頃である。
『イリミネーター』〜『アフターバーナー』の一連のビデオ・クリップの‘車+セクシー姉ちゃん(滅語)+ハード・ブギー・ロック’という世界は、田舎のイチ高校生を虜にした。(どっかで使ったフレーズだな・・・)
というと、単なるビデオがウケただけの一発屋みたいであるが、そうではない。
その根底に流れるブルーズとかブギー根ざした上でのぶっといギタートーンが、頭から離れなくなっていたのだ。

それ以来、いつかLIVEで見たいと思っていたが、これまで彼らが日本に来る事はなかったのである・・・。


初日〜3日目 ZZまでWaitin' For The Bus


自分にとっては、FRF99に参加しているすべてのバンドがZZ TOPの前座に過ぎな い。(オイオイ)
そんなんで、ざっとまとめてみる。

初日は昼の3時まで仕事をしていて、それから会場へ向かう。
いいんだ、ブラック・クロウズ、レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンが見れれば、と自分に言い聞かせる。
6時過ぎに会場入りし、Burpsの皆さんに合流。
うれしさとフェスの雰囲気にジーンとしてしまった。ちょっと涙ぐむ。
mariさんと前ブロックへ。

そして、ブラック・クロウズが始まる。
とりあえず、前へ前へ進む。2曲目‘Go Faster’でキレる、暴れる。
思ったほど暴れる人が少ないが、ちゃんとバンドが見れてうれしい。
ボーカルのクリスがなぜあんなに女性に人気があるのか、今回判ったような気がする。
あのなよなよした動きが、彼女らのツボを押しまくってしまうのであろう。
自分も思わず、「カワイイ」とつぶやいてしまった。
勝手にガンズのアクセルみたいな感じを想像していたのだが・・・。
夢のようにクロウズは終了。やっぱりもっと見たかった。
この段階で全身汗だくになり、Burps Areaに戻って芝生に寝転ぶ。
星空が気持ちいい。ハイネケンもうまいぜ。

そしてレイジに突入。
じっくり見たかったんで、後方フェンスぐらいから見る。
そうするつもりが、やっぱダメだった。
カッコ良すぎるよ、こいつら。
もう、頭の中真っ白んになっちゃったよ。

トドスも前で見た。楽しかったなぁ〜。
帰りの客出し(?)の曲、JOHN LENNON ‘POWER TO THE PEOPLE’が気持ちいい。

そして2日目。清志郎の‘田舎へ行こう’が感動的に流れる。
アニメも清志郎作だ。

この日は夜まで流して見るつもりでいた。
スカパラに後ろ髪を引かれつつ、DMBQへ。(誰かと同じだな)
ドラムのお姉ちゃんが最高!後半ほとんど彼女しか見なくなってしまった。
UAをちょこっと見つつ、イクタ君(=Kowalskiくん)とFEEDERへ。
今回のフジロックでの最初の発見が、彼ら。
Summercampみたいとも思ったが、結構楽しめた。
TAKAさん、凱旋おめでとう。
某i君がいなかったら、多分見なかったよ。ありがとう、イクタ君。

ちょこっとだけ、元ブルハの梶くんを見る。
そして、にぃGATTA!のソウルフレンド、タナカさんを迎えに一度苗場から離れ る。
下界の町に降りると、自分の姿が浮いているように感じる。
麦わら帽にTシャツ+短パンだもんなぁ〜農作業だぜ。首にタオル巻いてるし。
スーパーで買い出ししつつ、Tさんと合流。
高速を飛ばし、また会場へ。

期間中で一番まずいカレーを食って、JSBXへ向かう。
2日目のメインイベント。
そして、新潟で今年2回目のジョンスペであった。
ウッドストックで機材が盗まれた影響か、音がショボかったりするが、もうどうでも良かった。やっぱり暴れる。
クロウズの時よりダイバーが多い気がした。
真後ろにいたお姉ちゃんが「上げて上げて」というので、やってあげる。
楽しそうだなぁ〜俺も楽しいけど。
あっという間に、ジョンスペも終了。タナカさんと歓喜のビール。
BLURに急ぎたかったが、Gステージへの道が大渋滞。
自分の期間中最高の混み具合であった。
最後の曲しか見れなかったので、感想は・・・。

保養所までタナカさんと歩く。すごく遠かったけど楽しい道のり。

そして、ついに3日目。
朝からなんとなくBurps Areaでなごむ。
今日は清志郎、ZZが控えているので、それまでは体力温存しなきゃ。
なんて流す気でいたんだけど、Catatoniaが始まったら速攻で前に行く。
FRF99、2回目の大発見。
これまで全く聞いた事なかったんだけど、涙腺を刺激してくる。
まわりに誰もいなかったら、うずくまってオイオイ泣いていたよ。
ずっとそんな感じだった。
思うにあのメロディとヴォ−カルの声が、自分のツボを押したんだろうと思う。
宝物を見つけた感じ。
ASHも前に行きたがったが、清志郎が控えているので遠くから眺める。
本当はハマリそうなんだけどなぁ〜まぁしょうがないか。
SG持ったお姉ちゃんだけはちゃんとチェキ!

そして、ラフィータフィ−忌野清志郎に突入。
ちなみに「ラフィータフィー」とは‘Ruffy Tuffy’だ。
こんな時代だからラフでタフで行こう!という清志郎のメッセージが込められている。
RCニイガッタ!の仲間と前に行く。とにかく前へ。
丹下左膳の恰好をした清志郎が登場。メンバーもサムライ姿だ。
昔の曲を一切やらず、新譜からのナンバーを繰り出す清志郎。
レスポールを抱えソロパートを弾いているのも珍しい。
なんと『君が代』をパンクヴァージョンで歌う清志郎!
思わず18年ぶりぐらいに歌っちゃったよ。歌詞忘れてうまく歌えなかったけど(爆)。(今考えるととっても貴重な体験でした)
‘Sweet Lovin'’で盛りあがって来たところで、なんと終了。
短過ぎるよ、もっと聞きたいぜ。

OCS、バーナード・バトラーは後ろで見てた。
両方ともいいんだけどなぁ〜、ホントは前でみたいよ。
だけどこの頃からもう心はZZ一色。
Burpsの面々と「何回ギター回すか?」で賭けをする。
自分は6〜10回だっ!
なんだけど、どうしても見たかったPHISHを見に天国広場へ。
うわぁ〜外人狂ったように踊ってるよ〜ちょっと圧倒される。
戻ってきて、ジョー・ストラマー。
これもゆっくり見ようと思っていたんだけど、「LONDON CALLING」のイントロのカッティングを聞いた瞬間、前に飛んで行ってしまった。
でも、長く続かず下がる。
押しているせいか、短かったな。


ついに念願の・・・Gimme All Your Lovin'


ジョー・ストラマ−が終わってから、気合を一発入れてmitzさんと前ブロックへ。
とりあえずBillyの前そこそこの場所をkeep。
前の方で「ZZ TOP!」と連呼しているモヒカンの恐そうなオヤジ2人組発見。 思わずのって自分も叫ぶ。

機材入替からすでにZZ世界が広がっていた。
アンプは独自のもの。紫に塗装されている。
ローディがマイクスタンドをメジャーで測りながら、高さ調整している。
ギターテクがいきなりFOO FIGHTERSの‘HEY.JOHNNY PARK!’のイントロを弾き出したのに思わず反応。叫んでしまった。
時間の流れが遅くなったように感じる。
ZZはまだかいな。待ちきれねぇぜ。

そしてメンバー登場。
一気に前へ。なんと、かぶりつきに入りこむ。それもBillyの真ん前だぁ〜。 両隣りを見ると、モヒカンオヤジ2人組の間に挟まれている。
相手は上半身裸で汗っぽく、ちょっと辛かったが・・・

前半の70年代の曲が続く。この1ヶ月にちょこっと聞いといて良かった。
実はこの頃のZZはあまり詳しくないのが、もう彼らが目の前で動いて音を出しているだけで十分であった。
生音が聞こえて来るようだ。

Billy Gibbonsのギタートーンはまさに「ぶっとい」の一言。それもバカ うま。
Dusty Hillのベースはこれまた太く、独特のグルーブをかもし出している。
クマの着ぐるみみたいだけど。
Frank Beardは、鬼の形相ともサムライが人を切る前のような表情で、ビートを刻んでいる。
絵になり過ぎだ。合間合間に見せるかわいいパフォーマンスも笑える。
すでに国宝級の動き。(なぜか馬場さん−ブッチャ−の試合を思い出す)

だが、やはり自分は待っていた。80年代の自分を熱くした一連の曲を。
そして、‘GOT ME UNDER PRESSURE’!!
この瞬間から我を忘れていた。なんだかわからない。
CDで聞くよりも音がさらに太い気がした。
そして、‘SHARP DRESSED MAN’。
フジロック直前にスコア本を買って、密かに練習していたのだ。
だが、Billyのようなノリが出せないでいて、良く見て盗もうと思っていたのだ が、そんな考えは浅はかだった。冷静に見れる訳ないじゃないか。
至福の時間の頂点である。
それは‘GIMME ALL YOUR LOVIN'’〜‘LEGS’と続いた。
ただほんのちょっと欲を言えば‘LEGS’はもっとシンセ効かせて欲しかったなぁ〜。
ここで、第一部は終了。当然アンコールだ。このまま終わられてなるものか。
アルマゲドンのサントラにも入っている、‘LA GRANGE’〜‘TUSH’へ。
この強力なブギー一発は強力過ぎた。
タリエルのボディへの正拳突き食ったようだぁ〜もうダウ〜ン。
1, 2, 3,・・・10! KO負けだ。

フラフラになりながら、Burps Areaへ戻る。
みんなになんかしゃべってるんだろうけど、何をしゃべってたか覚えていない。

タナカさんが手を広げて抱きついてくる。
しげやんも同じく待っている。
笑われたっていい。俺は歓んでいるのだ。狂ったのだ。

トドスは、もう後で見ていた。
彼らはすごかった。それは遠く離れていてもわかるよ。
ただ、自分はZZにいつまでも浸っていたかった。狂っていたかったのだ。 ギターは回してくれなかったが。


夢を続けて行かなくてはならない  


2一夜明けて、月曜日。Burps組に参加の多田さんを送りに越後湯沢駅へ。
Burpsの仲間と別れた後、駅前のお土産屋へ。
この手の店には珍しく、メロコアが流れている。
適当に選んで会計へ。金髪のお兄ぃちゃんがレジをやっていた。
ちょっとその時の会話を再現しよう。

兄 「フジロックどうでした?」
れ 「いやぁ〜夢のようでした。」
兄 「誰が目当てだったの?」
れ 「ZZ TOPっす!」
兄 「だいたいの人に聞いてんだけど、ZZって言った人初めてだよ。」
れ 「あはは、そうですよね。でも、どんなのよりスゴかったですよ。」
兄 「ギター回した?」
れ 「いやぁ〜回さなかったんですよ〜回されてたら多分気絶してたかも。」
兄 そうですか〜****円です。」
れ (支払いをして)「じゃぁ、また来年。」
兄 「また来年。」

笹だんごだの、湯沢まんじゅうだのを手渡ししながらした会話とは思えない。

フェスの最後で‘SEE YOU IN 2000 SOMEWHERE’とモニターに出ていたのは知っている。
がっ、どうだろう。
このフェスは、ほとんど問題がなかったのではないか。
チケット代、東京からの距離、キャンプサイト確保、宿舎、会場運営等の細かい問題はあるだろう。
ただ、地元から「来年もやろう」と言ってくれたじゃないか。
これが全てではないだろうか。
今年は赤字だった、と聞く。
それで、さて来年は別会場でと考えるなら、新たに初期投資が必要なのは当然。
来年も苗場ならそれがいらないし、地元も経験を積んでいるので、さらにいいフェスが出来るのではないか。
 
自分は、これまで毎年鳥人間コンテストで琵琶湖に行っている。
そこでやるようになって、23年も経つ。
自分が初めて行ってからも、もう10年だ。
琵琶湖の人達は、毎年暖かく自分達を迎えてくれる。
浜茶屋の人も覚えていてくれて、「毎年新潟から大変だねぇ〜」と声をかけてくれる。
このような地元に根付いた交流が、フェスを作っていくのではないだろうか。
さらに良いものへ進化させていくのではないか。
レディング、グラストンベリーのように。

フジロックという名前は残してもらって構わない。
ただ、ずっと苗場でやって欲しい。
来年も再来年も再々来年も。
そうすれば、俺も女房子供連れていくよ、FRFへ。

どこよりもロックしてる夢の空間へ。

自作の飛行機で、空を飛んでくように。

ねぇ、日高社長。



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Last updated: 8/ 27/ 99