Fuji Rock Festival '99

GIG REPORT

ブラーたるsuzukiくん


米のことはもう語るまい。 そんなsuzukiくんが書いてくれました、唯一無比のぶりゃーーーレポート。


すーすー ブラー 


ブラーとフェスティバル。

似合いそうで、似あわなそうで、結局意味無さそうな組み合わせではありますが、俺の中ではものすごく意義ある組み合わせです。

● 意義ある理由・・・その1: スタンディングだから
俺の長年の夢のひとつに、ブラーをスタンディングで見るというものがありました。俺は過去2回ブラーのライヴを観ていますが、どちらもホールでのもの。イスつきの会場で、“Song2”を聴かなければならない違和感。最悪でした。ジャンプしようものなら、イスにつまづいて転びそうになることしばしば。いつの日か、心おきなくブラーの曲でジャンプしたいと、俺は夢見ていました。

● 意義ある理由・・・その2: 客が大勢
ブラーのライヴ・ビデオを観るたびに、会場にギュウギュウ詰めになって合掌している観客を羨ましく思いました。ホールでギュウギュウ詰めになることなどあり得ず、連帯感の欠片も無し。ライヴにおいて、ステージと客席の一体感を期待してしまう俺としては、大勢の客が声を張り上げ歌うフェスティバルでブラーを堪能したいと思ったものです。


で、その願いを叶えてくれるときがやってきました。フジ・ロック・フェスティバル'99、7月31日のステージに、ブラーが立つ!その知らせを聞いたとき、俺はもちろん狂喜しました。それ以上に、周りの皆さんから祝辞をもらったのはちょっと面白かったですけど(別に、俺がステージに立つわけでもないのにねぇ)。

「出ないかも」なんて情報も途中流れましたが、結局無事に出演決定し、フジロックはやって来て、そして俺はケミカル・ブラザーズのライヴを楽しみつつブラーのステージを待つことに。

しかし、この時に俺のテンションが思いっきり下がる光景が、客席前方で繰り広げられていました。俺と同じようにブラーを心待ちにしているファンの方々。彼らが、ケミカルのステージを観ることも踊ることもなく、ただじっと座って待っているのです。これは、余りにもケミカルと、ケミカルのステージを楽しんでいる客に失礼です。俺は、だんだん腹が立ってきました。「こんな失礼な奴らと一緒になりたくない!。」そんな思いから、ケミカル終了後、前に突進する予定を変更し、あえて下がってブラーのライヴを楽しむことにしました。連帯感なんてどうでもいい。俺は俺で楽しむ!そういうことです。

軽い怒りと、重い疲労と共に待つこと数十分。意外にあっさりブラーは登場しました。

「ウォ〜!!」

とりあえず、歓迎の意味も含め、叫んでみました。

そして、1曲目。予想通りのグレアムのギターが。“Tender”です。

ここ数ヶ月のブラーのライヴは、“13”からの数曲と昔の曲を2部構成で行うのが定例化しているので、苗場でも例に漏れずそういうセットで来るだろうとは分かっていました。 分かっていても興奮するのが、ブラー馬鹿の定め。イントロの数秒の間に“Tender”の歌詞を思い出し、一緒に歌う準備万端。さあ!来い! 来た!“♪てんだ〜いずざな〜い”。歌った!やった!野外でブラーだ!スタンディングでブラーだ!夢が叶った!

・・・と、興奮するもつかの間。あることに気付きます。
何だか、音が悪い。それ以上にメンバーのテンション低い。どうしたんだべ?(後から聞けば、デーモンはライヴ当日に日本に到着したとのこと。そりゃあ、元気ないはずだ。)
ライヴで、バンドの演奏が期待はずれになりそうなとき、俺は「自ら楽しむモード」にスイッチを切り替えます。調子悪いライヴを、調子悪そうに観ていたら楽しめないもんね。それに、今回はフェスティバル。ブラーの調子が良かろうが悪かろうが、俺が楽しめれば良いんだよ!お祭りなんだよ!そういうノリで今回はいくことに決定。
だから、ハッキリ言ってライヴの細かい部分は覚えてません。俺が歌い、俺が叫び、俺が声枯らした。それだけが今回のすべてだったりします。

ライヴ・レポートに戻る。
1曲目“Tender”。CDにあった荘厳さは、ハッキリ言って全くなし。グレアムのギターがよりノイジーに奏でられていました。でも、ブラーのライヴって大抵こんなものです。CDよりも、ギターの比重が高くなる。グレアム好き放題の場です。

2曲目“Bugman”。ほとんど覚えていません。とにかく俺はサビを熱唱。ホント、それしか思い出せません。

3曲目“Cofee & TV”。俺の一番好きなブラー、グレアム・コクソン。彼がヴォーカルを務めるこの曲を、何よりも心待ちにしていました。相変わらず愛想の欠片も見せないグレアム。メガネを外して、ひたすら歌い、ギターを弾く。こういう、ちょっと照れ屋で、ちょっと無愛想で、ものすごく真摯な部分に俺は惹かれます。グレアム、素敵すぎ。

ただ、この曲、ライヴでもフェイド・アウトさせるのはいかがなものか。客もどこで拍手して良いか分からないし。まあ、今回は、グレアムの「さんきゅう♪」という、最小限にして最大級の言葉に大歓声だったけど。

4曲目。この流れでいくと次は“Swanp Song”なのですが、ここで何故か“Chinese Bomb”。なんでだ?まあ、いいや。ブラーお得意の高速パンクですが、CDよりも断然速い。これもブラーのライヴではお決まりのこと。パンク・ナンバーは、回を増すごとに速度アップです。ついていけなかったりします。

5曲目。たたみかけるように“B.L.U.R.E.M.I.”。またも高速パンク。とにかく「びー・える・ゆー・ある・いえむ・あ〜い!」と叫びたいだけの曲。思いっきり叫んだので満足です。この頃から、声がかれ始めます。

6曲目、“Battle”。実は、“13”内ランキングで上位に位置するこの曲。圧巻はなんと言ってもデイヴさんのドラム。スネアの三連譜では左手を大げさに挙げて叩きます。昔からデイヴさんのドラムはブラー・サウンドの中核を担っていましたが、この曲をライヴで聴くとあらためてデイヴさんの偉大さが分かります。物言わぬブラー。しかし、そのドラムは雄弁に語っているのです。惚れるね。 7曲目、“Trim Trab”。グレアムは始めアコギを手にし、途中のブレイクでエレキに持ち替える。そういうことだったのかと、初めてライヴを観た意義があったような瞬間でした。まあ、それだけ。

8曲目、“No Distance Left To Run”。もう、たまらなく大好きな曲です。この曲のギターは、基本パターンをくり返すだけなのですが、それがまた泣きのパターン。この曲に関しては、ひたすらグレアムを観ていました。

で、ここで一旦メンバーはソデに引っ込みました。
客は“Song2”をやるまでライヴが終わらないことを知っているので、アンコールを求める拍手は少なめ。またも嫌な感じです。知ってても拍手しろよ。なに余裕ぶっこいてんだよ!今、この瞬間がどんなに貴重なのか分かってんのか!? 拍手が少なくても、出てくるものは出てくる。というわけで、ブラー再び登場。 アンコール1曲目は“Beetlebum”。この展開も最近のお約束ではありますが、あの「ガッ、ガッ、ガッ、ガッ」というカッティングが聞こえると、再び興奮状態に。いや、それにしてもこの曲、良くできた曲です。ブラー史上でも屈指の名曲です。大好きです。

アンコールの曲順は、ハッキリ覚えていません。確か、“The Universal”、“Country Sad Ballad Man”、“Popscene”、“This Is A Low”だったと思います。
特筆すべきは、やはり“The Universal”でしょうか。まさかこの曲をやるとは思っていませんでした。イントロのストリングスが聞こえてきた瞬間、マジで「ああ」という声が漏れてしまいました(「ウォー!」じゃなくて「ああ」)。苗場の夜空とこの曲が絶妙にマッチして、かなり感動の空間でした。

さらに個人的には“This Is A Low”が嬉しかったです。なにせ、俺内ブラーの曲ランキングで不動の1位を獲得している曲です。アルバム“Parklife”にこの曲が収録されていたからこそ、無題アルバムも“13”も抵抗なく聴くことができたのです。この曲に救われたこと数知れず。苗場でこの曲を聴くことができるなんて!これだけで感動ものです(感動してばっかり)。

“This Is A Low”で第2部は終了。でも、まだ“Song2”をやってないから、今回は3部構成になることは容易に分かりました。それでも拍手はする。当たり前です。

三度登場したブラー。そして演奏した曲は、まさかまさかの“Girls & Boys”!!浅いファンにしてみればやって当然の曲。しかし、コアなファンからすればやるはずがないと思っていた曲。つづく曲も“Parklife”という、ビックリしまくりの選曲。一体どうしたのでしょう?吹っ切れたのでしょうか?それとも、単なる日本へのサービス?どっちにしても、俺は歓喜です。改めて聴いてみると、いいんだよね、やっぱり。昔の曲を外すことが格好いいと思っていた過去の俺、さようなら。

そして、最後はやっと登場の“Song2”。俺のブラー馬鹿人生の全てをかけて、最大級の「Woo Hoo!!」。このタイミングを外している人が推定1万人はいたような気がしますが、とにもかくにもお約束の締めでブラーのステージは全部終了しました。

最初に書いたように、今回のライヴの感想は、とにかく俺が燃え尽きた。そういうことです。ゆえにライヴレポートとして成り立っていないかも知れません。読んだところで、現場の様子を伝えるには至ってないと思います。
ここで俺が言いたいことがあるとすれば、それは「君が与える愛は、君が与えられる愛に等しい」ということ(ビートルズの“The End”からサンプリング)。自分が無理からでも楽しもうとすれば、その分楽しめるっていうことです。こと、フェスティバルという舞台で細かいことを言うのは野暮というものです。 お祭りなんだもん、細かいことは抜きにしましょうね。細かいこと言わせる隙を作るんじゃないよ!ブラー諸君!(というか、デーモン当日入りというスケジュールを組んだヤツ、クビ。)

最後に。 このダラダラとした文におつき合いいただきまして、ありがとうございました。 俺より皆様に愛を込めて。

鈴木良一 as suzuki






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Last updated: 8/ 12/ 99