■ 東京ドーム - 1/15/93
--- FM Station誌93年3月1日号に私の投稿が掲載されています。
前回の来日から1年も経たずしての再来日。去年のライヴを収録されたビデオが出回っていて(その前にWOWOWで放送された)、それを何度となく見ていたこともあったこともあり、この日のライヴはまったく持って失望させられるものであった。なにせ曲順、構成ともどもほとんど同じだったからである。
この日は休日ということもあって、客席はほぼ満員。これ以外の日はやや空席があったと聞いたが、やっぱり大した人気である。しかし開演予定時間をはるかに過ぎてもステージが始まらない。やっぱガンズだわあ、とあきらめているのか、それとも楽しんでいるのか知らないが、結構客はのんびりしている感じである。待ちに待って1時間20分。やっと場内暗転である。ビールなんかを買いに席を立っていた客が急いで自分の席に戻る様が多少滑稽でもあった。
ベースのダフ・マッケイガンがステージ中央に立つ。もうお馴染みのイントロの「It's So Easy」でのスタートだ。リード・ギタリストのスラッシュは黄色のTシャツ姿にいつものトンガリ帽子をかぶり、トレードマークのギブソン・レスポールを腰下に抱えている。髭をはやしてたくましくなったボーカルのアクセル・ローズも出だしから精力的にステージ上を駆け巡る。続いて「Welcome to the Jungle」「Mr. Brownstone]と初期の代表的なナンバーを立て続けに披露する。音は東京ドームということを感じさせないほどに素晴らしくて分離もはっきりしている。スラッシュのソロもはっきり聞き取れて、これほど嬉しいことはない。
しかし「Live and Let Die」をやり始めた辺りから、様子がおかしくなってきた。いや別にステージ上で何があったというわけではもちろんない。ステージ構成が「まるでビデオとおんなじじゃん」ということ、すなわち前年の公演とほとんど同じであることに気がついたのだ。「Double Talking Jive」から「Voodoo Chile」をジャムって「Civil War」につながっていくあたりも全く同じ。「Patience」に入る前にRolling Stonesの「Wild Horses」をジャムることも、「November Rain」でのアクセルのピアノも同じ。「Bad Obsession」に入る前のブルースセッションも同じである。ついでに言えば「Sweet Child O' Mine」の前の「Theme of Godfather」も同じだったし、「Knockin' on Heaven's Door」の前のアリス・クーパーの曲も同じであった。なんかまるでビデオを見ている(あまりにもステージが遠いので、正確に言えば聞いている)ようで、あまりにも予定調和すぎるのだ。展開が読めてしまうほどつまらないコンサートはない。
あえて唯一のサプライズをあげるとすれば、それは「Knockin' on Heaven's Door」のときに、同時期に来日していたRolling StonesのギタリストRon Woodが登場してソロを弾いたことぐらいであろうか(もちろんこの時は狂喜乱舞してしまったが)。もっともっと意外性のあるスリリングなライヴを見たかったし、それが彼らの持ち味であったはずだ。まとまりのある予定調和なGuns N' Rosesなんてもう二度と御免である。
- Set List - 1/15/93
- It's So Easy
- Welcome to the Jungle
- Mr. Brownstone
- Live and Let Die
- Nightrain
- Attitude
- So Fine
- Double Talkin' Jive
- Civil War
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- Patience
- November Rain
- Bad Obsession
- You Could Be Mine
- Sweet Child O' Mine
- Knockin' on Heaven's Door
- Don't Cry
- Paradise City
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 12/31/97
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