Huey Lewis & the News WOWOWで生中継!

代々木第一体育館 - 4/ 7/92


シングル「Couple Days Off」がアメリカ系のビール会社のコマーシャルソングに採用されて、日本においても再び人気を獲得したHuey Lewis & the News。もちろん今回の日本公演のスポンサーはそのビール会社。なおかつこの日はWOWOWでの生中継というおまけつき。隣にいた客は、カメラクルーがリハを繰り返しているのを見て「ビデオクリップの撮影でもあるんのかなあ」などと呑気に言っていたが、これから全国のお茶の間にあんたの顔が写るかもしんないんだよ! などと私は心の中で叫んでいた。

この日は雨模様の天気で、客の出足は鈍い。やっと満員になったかならないかぐらいで客電が落ちた。ボーカルのHuey Lewisのハーモニカが鳴らされる中、開演前から掛けてあった垂れ幕がすーっと上がり、不動のメンバー6人の姿が現れる。一瞬間を置いてニューアルバム「Hard at Play」からの曲、「Build Me Up」でショーはスタート。実はこの曲は「Couple Days Off」とともに前回のドーム公演でも披露されているのだが、その時の客の反応は散々たるものであった。しかし今回は若干反応も違う。みんなそれなりに知っているようだ。というよりも音の良さと、さらに円熟してこなれた演奏に安心して身を任せているといった感じである。ギターのChris hayes、Johnny Colaともに愛用のストラトキャスターから乾いたトーンを聴かせ、バンドをグイグイ引っ張っていく。

3曲目に早々と登場「The Power Of Love」。映画「Back to the Future」の主題歌にもなった曲である。客の反応はこのライヴでもっとも大きいものとなる。続いて大ヒットアルバム「Fore」「Sports」からそれぞれ「Doin' It」「Walking on a Thin Line」を披露。お馴染みの曲に場内大盛り上がりだ。

するといったんメンバーはいったん下がって衣装替えを行う。いかにも50年代あたりのビーバップ調のコスチュームに身を包んでステージに戻ってきたメンバーは、2曲のアカペラナンバーを披露。ひとつは「So Much In Love」、そしてもうひとつはCurtis Mayfieldでお馴染みの「It's Alright」である。見事に息のあったコーラスに心から酔いしれる。

そのスペシャルコーナーが終わり、再び元のセットに戻るやいなやスピーカーから聞こえてきたのが「The Heart Of R&R」のあのハートビートの音。「おお!」という歓声が上がる。それから再びニューアルバムから3曲ほどたて続けに演奏したのだが、これはあまり良くなかった。客に声を掛けて何とか盛り上げようとしているのだが、あまりみんなニューアルバムを聞いていないせいか、盛り下がっていくのが手に取るように分かってしまう。ヒットシングルなど間に入れるべきではなかったろうか。

Chris Hayesのギターソロからなだれ込んだ「I Want a New Drug」。そしてメンバー紹介も途中にあった「Couple Days Off」。アンコールでは「Believe In Love」「If This Is It」「Working for a Livin'」といったように古いナンバーのオンパレード。やっぱりコアなファンとして、あれもやって欲しい、この曲はどうした、という意見が全くないと言ったら嘘になる。しかしそれを差し引いて考えてみても、新旧取り混ぜて非常にいい構成だったように思う。Hueyの声があまりにもしわがれて、昔ほどの伸びが聞かれない、ということだけが今後の不安材料ではあるが、このおっさん達まだまだ我々を楽しませてくれそうである。


- Set List - 4/7/92

  1. Build Me Up
  2. Time Ain't Money
  3. The Power of Love
  4. Doin't It
  5. Waling on a Thin Line
  6. So Much in Love
  7. It's Alright
  8. The Heart of Rock n' Roll
  9. Hit Me Like a Hammer
  1. Making Love
  2. Attitude
  3. I Want a New Drug
  4. Bad Is Bad
  5. Couple Days Off

  6. Believe in Love
  7. If This Is It
  8. Workin' for a Livin'


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Last updated: 12/31/97