Janes Addiction 追っかけ同然

Universal Amphitheater, Universal City, CA - 12/ 1/97


本当は翌日のサンディエゴでのショーを観るはずであったのだが、諸々の事情のため、それは泣く泣くキャンセル。ダラスでのライヴも観れなかった私は、落胆の域を越えて、もう泣き叫びたいぐらいであった。

しかしやはりどうしてもあきらめきれない。サンディエゴでのショーの前日にすでに現地入りしていた私は、ついに無謀ともいえる決断をした。それはこの日のロサンゼルスでのショーを観ようというものである。しかしチケットがソールドアウトである情報はすでに得ていた。でもとにかく行ってみよう、車で1時間半ちょっとぐらいだし、ひょっとしてなんかの拍子にチケットが取れるかも...。意を決して車に乗り込んだ私であったが、すでにその時夜の8時半。とてつもなく薄い期待の中で、私は暗闇の中をひたすらLAへと車を走らせた。

幸運にもこの日の会場はユニヴァーサル・スタジオにあるということで、迷うことなく現地に到着。しかし問題はこれからである。チケットを取らなければならない。ど、ど、どうしよう...。するとこれまた幸運なことに一人のダフ屋を発見。それもなおかつ定価より安く売ってくれるという。もう財布から現金を出すのももどかしいぐらい興奮していた私。もぎ取るようにしてダフ屋の手からチケットを奪取すると、一目散へとアリーナの入り口に駆け込んだ。

まあ安いということは、それなりのリスクもあるわけで、私の席はアリーナのはるか後方、なおかつ隅っこの方であった。ほんとよく見えない。なおかつ最近ライヴハウスでのコンサートばかり観ていたせいもあって、ステージまでの距離がはるか遠くに感じる。しかもショーは既に始まっているときたものだ。これが夢にまで見たJane's Addictionのコンサートか...。 とにかく早いところこの非現実の世界に自分をアダプトしなければならない。はやる心を落ち着けるために、席に腰を下ろして、この乱れまくっている呼吸を整えにかかる。

しばししてどうにか落ち着きを取り戻し、やっとステージの方に注意が行くようになったその時、あのブイブイ言うベースの音が聞こえてきた。Fleaである。曲は「Stop」だ。待ってましたとばかりに大歓声が上がる。私も飛び跳ねるように席から立ち上がった。よく考えてみれば、ここロスはJane's Addiction、そしてRed Hot Chili Peppersのホームタウンなのである。盛り上らないはずはない。モッシュピットの騒ぎも尋常ではない。この時やっとJane's Addictionのライヴに来たことを実感したのであった。

だが音ははっきり言ってよくない。特にFleaのベースの音がでかい。結構オリジナルに忠実にやっているように見せかけて、時々ドババババ、と怒涛のおかずを入れる彼のベースは、さながらオリジナルDeep Purpleに一時サポートギタリストとしてツアーに参加したJoe Satrianiの様であった(この例え分かるかなあ...)。

「Mountain Song」「Three Days」と演奏した後、メインステージを離れ、別に設けられたセンターステージに姿を現したメンバー達。しかしいまだもってよく姿が確認できない。Perry Farrelの衣装が変だということだけは分かる。言うことは過激なのだけれど、なんかまとまりすぎかなあ、ちょっと予定調和すぎるかなあ、といった印象も否めない。だがまだまだこれからだあ、暴発する様を見せてくれい! とばかりに期待に胸を膨らませていた。

しかし「Summertime Rolls」「Chip Away」など数曲を演奏すると、もうおしまい。ええええ、もう終わりいいいい!!?? ちょっと待てえい!!!アンコールもやってくれたが、あまりにも短い(ように感じた)コンサートに呆気に取られてしまった私。Dave Navarroはどうしたあ!! ボンゴの様なものを叩いていた時の彼の姿は楽しそうであったけれども、とにかく遠くてよく見えなかった。ギターの音もよく聞こえなかったし、何のギターを使っているのかさえも最後まで確認できなかった。

後悔はしていない。それなりに楽しかったし。でもこのコンサートで満足が行くほど、これまでの私の道程は楽なものではなかった。ほんとに別の意味でいろいろ思い出に残ってしまったこの日のJane's Addictionのライヴであった。


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Last updated: 12/ 3/ 97