J Mascis + The Fog バックステージご招待

渋谷オンエアイースト - 2/13/01

with Number Girl


ステージがすべて終了した後、テレビ番組の抽選に当たった我々2組4名様は、会場スタッフのお導きによってステージ後方の細い階段を上がった。「なんかお土産持ってきました?」という問いに、「うちらはおせんべい持って来たんですよー。」「あー、私はお団子持ってきましたー。」「いやあ、お互い考えることは同じですなあ。」という会話を交わすなんだかよく分からんこの4人。自分は掲示板でお馴染みさとみさんの当選分のおこぼれを頂いたわけだが、なにせこの日、そのさとみさんと会うのも初めてで、なおかつバックステージに招待されるのも初めてで、なにせ緊張続きだった。だからJ Mascisのステージも後半部分はほとんど覚えてなくて、ただ単に手に汗握ってあれこれあたふたしていたわけだが。

人1人がやっと通れるぐらいの幅しかない、そのバックステージへと通じる階段を登って行くと、ナンバーガールの向井くん(Vo&G)が上で待っていた。余りにも地味な佇まいで焦ったが、小声で「お疲れ様でした。」と言ってペコリする自分。バックステージへ上がる前、コインロッカーに荷物を取りに行っている間、さとみさんが向井くんと会話を交わしたらしいけど、写真はダメと断られたそうだ。しかし「ライヴ良かったですよ〜」というさとみさんの言葉のとおり、ライヴ自体はムチャクチャ良かった。最後に彼らのステージを観てからおよそ1年半になるが、その間に演奏がここまで洗練されているとは思わなかった。約50分ほどのショーだったのだが、MCを控えめにしてひたすらメドレー形式とも言える曲間の繋ぎで、切れのあるノリを最後の最後まで持続させていた。フロアに人もまだ少なかったこともあって、窮屈な思いをすることなく楽しむこともできた。ギターのひさ子ちゃんもバックステージ付近、及び終演後のフロアでその姿を見つけることができたが、普通のギターなのに、まるでどでかいプレシジョンベースを持っているように見えるぐらいに小さい彼女なのに、「Samurai」とかではブっといリフを弾くんだわ。ドラムもむちゃくちゃ巧いし、ベースとのコンビネーションも申し分ないし、はっきり言ってJ・マスシスの演奏よりもよかった。

階段を登り終え、とうとうJ・マスシスの楽屋に入る時が来た。自分はその部屋に1番最後に入ったのだが、みんな「ハーーイ!」とかなんとか言いながらフレンドリーに迎えてくれているようだ。さぞかし広い部屋なんだろうなあ・・・・と思って楽屋に入ったらビックリしましたわ。俺の部屋と間取りは変わんない(苦笑)。大体6畳ぐらいの部屋にテーブルがどかんと置いてあって、そこにワインやソフトドリンクがドカドカと置かれている感じ。そして肝心のJ・マスシスはといえば、向かって右側にボケっと突っ立っている。ステージではネルシャツ(死語?)にチノパンみたいなラフな格好だったのに、楽屋ではニット帽とダウンジャケットを着込んでいてちょっとビックリ。そ、そんなに寒いのかJ????

先の組がJと話している間、なんだかボケーっと順番を待っているのもなんなので、左側に座っていたドラムの彼に声を掛けてみることにする。

   「あなたのプレイはすばらしかったですー。」
   「ありがと。」
   「実は俺もドラムを始めたばっかなんすよ。スクールに行ってるんだけど、ほんの3ヶ月ぐらいだからまだまだ全然・・・・・。」
   「とにかくプレイし続けるこった。そんでもってラウドにやらなきゃだめだな。俺らのショーはラウドだったろ? どうだった?」
   「だんだんラウドになっていった感じっすね。最初はそんなでもなかったんだけど。」

ダイナソーと言えばとにかく音がでかい!というイメージだったのだが、今日はそんな大したことがなくて、正直拍子抜けしていた。

すると先の組がお土産のおせんべいをJにプレゼント。通訳と思しき方がいろいろせんべいについて説明しているが、物知りのドラムの彼は、

   「それ知ってるよ。ニューヨークではなんでも手に入るからね。」

・・・そこですかさず我らがさとみさん。「それじゃこれはどうだ!」と言わんばかりに持ってきたお団子を差し出す。あんことみたらしのチョイスにちょっと迷いながら、結局みたらしの方に手を伸ばした彼は、一口食べた後もまんざら悪くなさそうな顔をしている。

   「That's not disgusting.」(disgusting = むかつく、嫌う、などの意)

と言ったので、

   「そりゃどういうこと?」

と聞くと、

   「It's very good, very good.」

とのたまうドラムの彼。でもベースの彼にも勧めていたのでそんなに嫌いじゃなかったみたいだが。

うちらの順番が近づいてきたので、バッグの中から「写るんです」を取り出すと、またドラムの彼が口を挟んだ。

   「俺、そんなカメラほしいんだよー。ほしいんだよー。」

と騒ぐので、「どこでも買えるよ。」と言いそうになったが、

   「うちにはオフィシャルフォトグラファーがいるから。」

と言ってベースの彼を指差すドラムの彼。なんでも東京でデジカメを手に入れたそうで、

   「写真が気に入らなきゃすぐに消すこともできるんだよー。クール!」

って「そんなの常識だよ。」と言いそうになったが、SGのベースを持ってイギーポップの「No Fun」やフランク・ブラックのカバーなどでボーカルを取っていたベースの彼に悪いので、その言葉は飲み込んでおくことにした。

さて、そうこうしているうちに我々の番が来た。事前に計画していた通り、「さあ、Jにお団子食べてもらいましょう。」と言うさとみさん。

   「ちょっと食べてみてください。こっち(みたらし)よりもこっち(あんこ)の方が甘いですよ。」

と言ったら、みたらしの方を取ったJ・マスシス。

   「お団子を食べているところを写真におさめたいんですが。もしお気に障らなければ・・・。」

と言うと、

   「おーけー。」

という気の抜けたような返事とともにみたらしのお団子を口に含もうとするJ・マスシス。そんでそこでさとみさんがマイカメラですかさずゴー! Jも団子を口に含みながらカメラ目線でそのフィルムに収まり、続いてさとみさんと一緒に団子を口に含むJの写真を撮ってあげた自分。団子を食うJの姿が思いっきりハマっていて、ファインダー越しに笑いそうになった。

さて、今度は自分の番だ。とりあえずJと握手しながら

   「グレートなショーをどうもありがとう。」

   「さんきゆー。」

・・・・・・さて、ここから何を話したらいいんだ?と考えること約1秒。さらに彼の円らな瞳に吸い込まれそうになること約0.5秒。

   「あーー、これがボクからのプレゼントです。あなたまだゴルフやってますよね?」

   「いえあ。」

という会話のようなそうでないようなやり取りをしながら手渡ししたのが、日本語で「飛び過ぎ注意」と箱に大書されたゴルフボール6個パック。なにせJのゴルフ好きは超有名で、同じくゴルフ観戦好きの自分があげるプレゼントはやっぱりゴルフグッズでしょう、ってことで近所のスーパーで買っておいた品物がそれなのだ。

空けてみてくれます?と言うまでもなくそれを空けたJは、

   「おうぅぅぅ〜。」

と、なんとも言えない反応をしながらほんのちょっとだけ目を丸くした。

   「ここには日本語で『これはムチャクチャ飛ぶんでご注意ください。』って書いてあるんですよ 〜。」

と一応説明したのだが、嬉しいのか嬉しくないのか、それともそんなボール使わなくったって俺のボールは飛ぶわい!と言いたかったのか、かなり無表情にやり過ごした感のあるJだった。

持ってきた小さいスケッチブックにサインしてもらっている間、また登場したのがドラムの彼。

   「あ、その腕時計いいね!!」

ただの安っちいナイキの腕時計なのだが、俺もちょっと見栄を張って、

   「お、さんきゅー。これちょっと前にロンドンで買ったんですよ。」(=本当。)

と返事しておいた。

さあ、今度こそはJとさらなる会話を・・・・と思ったらまたしてもドラムの彼が再登場。

    「俺さあ、街でこーーんなチッチャイ携帯電話見たんだよ。こーーんなチッチャイんだぜ!!」

   「え? ほんとっすか? これよりも小さい?」

と言いながら、3年前に買った、着メロも、漢字表示もない自分のPHSをそのドラムの彼に見せる。

   「おーーー、なんだそりゃーー。ちいさーー。見てみろよーー。」

と騒ぎ出すと、

   「いえぁ。むにゃぁ。」

と言葉にならない笑みを浮かべたJ・マスシス。

いや、そんなことよりも、俺には伝えなければならないメッセージがあったのだ。北海道は札幌にお住まいのYSMZさんから掲示板上に預かったメッセージ。それは、「What Else Is NewとCan't We Move ThisとPuke + CryとThe Wagonをリクエストしておいてください。」というものだった。よってさとみさんがサインしてもらっている間に、

   「今度の土曜日、北の方からあなたのショーを観にはるばるやって来る友達がいるんですけども、彼はあなたにプレイしてほしい曲があるって言うんです。それは『Puke + Cry』と・・・」

と言うとまたしてもすかさずドラムの彼が口を挟む。

   「Oh!! That's the other one !!」

つまり「それも候補としてあったんだよ!!」と言いたかったんだと思うけれども、Jもその曲名を聴いてニンマリしていたので、つまり土曜日のショーで「Puke + Cry」が演奏される可能性はかなり大!と見てよさそうである。

さらに、

   「それから、『Can't We Move This』なんですけどね。」

というとこれまたちょっと驚いたような顔をして対応していたJ・マスシス。しかしこっちの方はちょっと演奏される可能性は少ないかもしれないな。「What Else Is New」と「The Wagon」はこの日のショーでプレイされたので敢えてまたリクエストすることはしなかった。なにせ「What Else Is New」はライヴの1曲目だったし!(・・・しかしなぜか反応は薄かった。次の「Same Day」の方がうけていた。)

スタッフの、「じゃあこの辺で・・・」という言葉に促されて楽屋を後にした我々2組4名。YSMZさんから要望のあった「フジロックに出てください」「おいなりさんの別の意味はあれのこと」などのメッセージを伝える時間はなく、「ダイナソー時代はステージ左側に立ってたのに、なんで今は右側なの?」とか「もっとニューアルバムから曲をやってくださいよ。」とか「Back Before You Goでギターを弾きながら歌うのはすごいですね。」とか「会場に来る時に渋谷の坂を降りてくるあなたを見たんですけども、どこに行ってたんですか?」とか他にもたくさん言いたいこと聞きたいことがあったのだが、たった5〜10分ぐらいの時間だったし、今回は腹8文目って感じでそれはそれでよかったのかもしれない。(しかしドラムの彼の名前は結局分からずじまい。)

いやあ、それにしても楽しかったなあ。そして、さとみさん、貴重な経験の機会を与えてくれてほんとどうもありがとう!


Back Stage Pass Back Stage Pass



(後日談:2/14 --- そのドラムの彼は、ダイナソーJrのドラマー=ジョージ・バーツだったんだって!! 全然気がつかなかった・・・・。そしてデジカメのベースの彼は、元ミニットメンのマイク・ワット!!)


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Last updated: 2/ 13/ 01