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Jon Spencer Blues Explosion | 新潟リベンジ ! |
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新潟フェイズ - 2/26/99
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徹底的に打ちのめされて |
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「Orange」の頃から好きで、ずっとライヴを観たかったのに、とにかく自分はジョンスペに関してはまったくついていない。
- ジョンスペンサーが奥さんのクリスティーヌとやっているバンド、ボス・ホッグのギグを観に行くつもりだった3年前のゴールデンウィーク。 しかしチケットを押さえたにも関わらず、連れが直前になって行くのを断念し、自分もライヴを
取りやめにする。
- ジョンスペに出演要請が寄せられていた97年のロラパルーザ。しかし金銭的理由から、開始直前で彼等はツアー同行をキャンセル。 ここでもライヴを見逃す。
- アルバム「アクメ」発売にあわせて行われた東京
渋谷タワーレコード屋上でのプロモーションギグ。 この時は自分ばかりか、掲示板のお客さんまでをも巻き込んでまでして入場招待券の抽選に挑んだにも関わらず見事に落選。 素直にあきらめる。でも某Dさんには気苦労をかけたのでかなり心が痛んだ。
- 今回のこのツアーで行く予定であった赤坂ブリッツでのギグ。しかし諸処の事情によりこれは2月に入って泣く泣くキャンセル。でも某Dさんはお陰で夫婦で行けることになりそれはそれでオッケー・・・・・か?(すげえ内輪話)
- 俺の無人島行きアルバム「Now I Got Worry」がこんな大事なときに紛失する
。
・・・・・・とまあジョンスペに関してはとことん運がなく、このまま一生ジョンスペのギグを観れないのか!! ・・・とまではさすがに考えなかったけど、何はともあれまた次の来日を待つしかないのかなあ、と今回のツアーでのジョンスペギグ初体験は半ば諦めていた。
しかし、ジャパンツアーが始まり、日を重ねるにつれ、26日の新潟公演はどうにかなりそうな気配が・・・・・。それに、各公演の興奮が次々と伝えられ、もうこっちとしてもどうにも観たいという欲求が頂点に達してしまったそんな自分。そして車を飛ばせば2〜3時間でどうにかなる新潟。 なおかつその新潟公演を観られる時間を確保できそうな確率は日を追って高まっていく。
でも当日まで時間が持てるかどうかの確信がなかったため、前売券は購入していなかった。 新潟県在住で、当日お世話になった某麗句さんによれば、チケットのソールドアウトはないだろう、とのこと。じゃあなんとか行くしかないよなあ・・・・・。
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来たぞ新潟! |
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どうにか新潟に行く時間を確保することができたライヴ当日。 一目散に車に乗り込み、一路新潟へのビクトリーロードをひた走る。 だが新潟はまったく知らぬ土地なのでちょっと不安。 でも新潟在住某麗句さんによる事前の手助けもあり、どうにか開場時間直前ぐらいに会場の新潟フェイズにたどり着けた。そして幸運にもいきなりその某麗句さんと会場前で遭遇する。あははは。幸先いいぞー。
よし、ここではっきり言おう。この日のライヴの目標は、ステージ中央最前列をゲットすることであった。ジョンスペのライヴに関してはここまで泣かされ、なおかつこんなに苦労して来た新潟だ。 なおかつ何を隠そう、首都圏以外で外人アーティストのライヴを観るのはこれが初めて。 だからもう絶対に何かやらかしたい、そんな気持ちで一杯であった。
それが証拠に、いつも携帯している眼鏡を、この日は会場に持ってきていなかった。自分の場合、眼鏡をするとき、それは「踊る&観る」ということに専念するということ。眼鏡をしないとき、それは「とにかく前に行く」ということ。 眼鏡を壊したくないからね。 でも、いつもはライヴ会場には眼鏡は持っていって、その場の雰囲気やライヴの出来などによって、眼鏡の着脱は臨機応変に対応している。 でもこの日は違っていた。眼鏡は最初から持っていかなかった。 とにかく前に行くこと、それしか考えていなかった。
でも自分の手元にあるのは当日券だ・・・・。列の最後部からの入場だ・・・・。でも新潟フェイズって思っていたよりも小さいハコ(ブリッツの半分?)なので、なんとかなるかな・・・・・・・。
(いや結論から言うと、なんとかならなかったんだけど)
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前座だ! |
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呼び屋のクリエイティブマンのホームページの情報では、この日はオープニングアクトなし、ということだったのだけれど、開演前の場内アナウンスでこの日も前座があることを知る(しかし、この場内アナウンス。思いっきり原稿を読み間違えて笑わせてくれた)。 そしてケミカル・ブラザーズのオープニングSEをかき消すようにしてその前座日本人バンドが登場。ダークスーツ姿でどうやらギターx2&ドラムのジョンスペ構成らしい。ドラマーは思いっきり頭がアフロだ。
しかしフロントの二人はスピーカーの上によじ登って、いきなりステージめがけて滞空時間の長〜〜〜いジャーーーーーーーーンプ!! しょっぱなからぶちかましてくれる。 ステージ向かって左のやつは、「つまんねえよ!!」という言葉を連発し、右側のやつは「おめえら最低! おれたち最高」などと言い放つ。 曲はすさまじいガレージパンク。早速2曲目にして太いギターの弦が切れる。 体がスタンドマイクにボコボコぶつかる。 マイクがあらぬ方向を向く。 しかしそれでも歌う。 マイクにかじりつく。 飛ぶ。 跳ねる。 首を左右に振る。 決めのところではもちろんジャーーーーーンプ!!
挙げ句の果てには、「お客のダイブ禁止!」というスタッフからの再三の注意にも関わらず、なんと出演者自らがギターを持ったままステージダイブ。 視界から突然消えたと思ったら、やっぱり思いっきりフロアーにたたきつけられていた。 そして挙げ句の果てにギターを客に取られそうになる。 でもすぐに担ぎ上げられ、叫びながらガッツポーズ!! フロアーもフロアーで前座なのにダイブだ!
その後そのダイバー君はは会場のステージスタッフに思いっきりマークされてしまい、スピーカーの目の前から再びダイブを狙ってみるも、いきなり背中を捕まれてステージ中央に引きずり戻される。そして調子の悪くなったギターアンプをいやいや調整に走るそのスタッフ。 あまりにやる気なげで、どう見ても怒っているような感じだったので、その彼を観てるのもなかなか面白かった。
そして最初はちょっと引き気味だった自分も、色々な人生模様が垣間見られたその楽しいステージを観るに付け、なんだかだんだんと顔がニヤニヤしてきてしまった。 そして曲は当然ノイジーなんだけど、実はリフとかの組み立てとかは案外ポップだったりする。結構アルバムなんかは聴きやすいかもしれない。 最後の曲はシーナ&ロケッツの「レモンティー」だし、思いっきりツボにハマってとにかく楽しい。 まあ腕組みしたまんまで最後まで観ちゃったけど、ステージアクションに関してはジョンスペ完敗!! 結構今後が楽しみ〜。
(後記:このバンドがキング・ブラザーズだってことをちょっと後で知る)
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ジョンスペだ! |
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そして前座が終わってしばしのインターバル。 ドラムがステージ上に1個づつ運ばれてくる。しかしいったいどこにドラムセットをセッティングしているのだ! 思いっきりステージの前方ではないか。ジョン・スペンサーが使うものと思われるアンプなんて小さくてよく見えないし、なんだかその上に置いてあるテルミンが目立ってしょうがない。
そしてとりあえずのセッティングが完了したおよそその10分後。 いよいよジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの登場! ジョン(Vo & G)の衣装は上下黒で、シャツは結構値段が高そう(当たり前か)。ジュダ(G & Cho)は、何と言おうか、らくだ色(?)のちょっとラメ入りシャツに、ノーマルなカーキっぽいスリムのパンツの組み合わせ。 ラッセル(drs)はシルバーのシャツかな? これもちょっとテカってるぞ。 そしてジョンの髪は風呂上がりのようにダラダラしていて、なんだかこれも結構かっこいい。某麗句さん曰く、「ヴァーヴのボーカルみたいだ」とのことだが、なるほどそんな感じ。 とにかく前座のバンドのルックスがイモ臭かった(死語)ので、なおさらジョンの姿が美しく見える。 というかまず顔が小さい。とてつもなくびっくりした。 というか日本人がやはり顔がでかいのか。 いや俺が特にでかいのか。
まず「イェアー!」と一言発して「Hell」へ。そんな殺生な〜。1曲目から「Hell」では死ねと言われているも同然。当然フロアーはぐちゃぐちゃ。当日券で入場の自分は開演前は後ろの方に居ざるを得なかったが、今や自分もその嵐の中にいる。ある瞬間ステージ左側に飛んだと思ったら、次の瞬間にはステージまで手の届きそうなところへ押し出される。くおー!! バンドをもっと観てえ〜〜〜! となったわけだが、ここで「最前を取る」という決意を思い出す。よってさらに前へ。 安定した場所を確保するには最前が一番。これスタンディングライヴのお約束(?)。 しかしジョンが「I'm gonna give her some hell〜♪」と連続シャウトするのに合わせてこぶしを振りながら「いぇい!」とみんなで叫ぶが、体の方は意に反してあっちに行きこっちに行きしている。でもまあいいか。これも結構楽しいし。
2曲目はまるでメドレーのように繋いで、ジュダのハーモニカが狂い咲く「Dang」。くおーー! ジュダもかっけええ! それにハーモニカも激ウマ(死語)!! しかしここからの曲がよくわからん! 昔の曲でもなさそうだし、まさかジャパンオンリーで発売になったミニアルバム、エクストラ・アクメからか? なにせ自分の近くのレコード屋ではほとんど見つけられなくて、やむなく未聴で臨んだこのライヴ。 しかしこのギグの後、改めてそのエクストラ・アクメを購入して分かった。 やっぱり思った通り、ここからはどうやらこのエクストラ・アクメから「Chowder」「Electricity」「New Year」の3連発だったようだ!! なんてことをするのだ!
そしてジョンは「さんきゅーべりーまっち、れでぃーせんじぇんろーめーん〜〜」とご挨拶。「いぇあー!」「いぇあー!」と客とのコール&レスポンスに熱心なジョンだが、自分は、「あー、やっぱりレコードと同じ声だ〜。」なんてことを思ってしまい期せずして笑い転げてしまう。
「Ladies and gentlemen! Right now! You! Get! Over! Here〜〜〜!」と叫んで、その名の通りの「Get Over Here」へ。 もうこの頃に自分の体はすでに最前まであと1歩というところまで迫っている。だがしかしそこからの壁が厚い! 左にジュダ、右にジョンを見ながら、残り1,2メートルの攻防が続く。 そしてそんなことにお構いなく「Bernie」になだれ込んで、ジュダのスライドギターだ! テレキャスターのリアピッキング音が心地よく耳に届くー! というかアンプからの生音が直に聞こえる!
そしてそうこうしているうちに「エクストラ・アクメ」から「Wait A Minute」。「あう・いぇー、あう・いぇー」とため息とも叫びともつかない発声を繰り返すジョン。曲が終わるとなにげにしゃがみ込んでジュダに一言かけるジョン。 ラッセルはなんかボーットしてる感じ。 でも「2 Kinda Love」あたりからラッセルのエンジンがかかってきた! なにせラッセルのドラムも、かなりそのドラム自体がステージ前方にセッティングされていることもあって、もはや生音で聞こえるのだからたまったものではない。 とにかくスネアスネア! ボコボコ、バカバカ、とにかくこれを本当の意味での生で聴けてこれ以上の幸せはないよ。
この「2 Kinda Love」のドラムに聴き惚れていたら、突然「Blues explosion, attack!!!!」という声がして慌ててジョンの方に目をやる。するとラッセルのドラムもより一層バカバカスピードが高まったので、またラッセルの方に目をやる。「Attack」である。このヤロー!もう殺してくれー!!とでも叫びたくなるほどの疾走感と重量感。とにかく「Blues explosion, attack!!!」というところでは、ジャンプしてシャウトだ! そしてこの曲に触発されてダイバーが後ろから前からガンガン降ってくる。ダイバーの飛び込み台にされることも2度や3度どころの話しではなく、そんな自分はすっかり戦場の砲台気分。とにかく絶好のミサイル乱射地帯にいるこの日の俺。
そしてまたしてもメドレーの如く「Talk About The Blues」へ。 メンバーと目で合図しながらの超絶ロングブルーズの中で、ジョンはテルミンと戯れながらブルーズの確信に迫っていく。「うーらら!」「にゅーよーく・すぃてぃー!」などと叫びながら観客とコミュニケーションをとっていく。「ろっけんろーーー!!」などと突然ジョニー・ウィンターのような雄叫びをあげる。ヴァーヴのリチャードの顔を持ったジョニー・ウィンター・・・・・・・・。結構当たってるかも。
「Do You Wanna Get Heavy?」のゆったりしたイントロから、ゴスペルのようなアカペラコーラスの至るまで、目を閉じたまままるで何かに取り憑かれたようにマイクに向かって歌詞を呻き通すジョン・スペンサー。そしてそこに鋭い加速度でジュダのギターとラッセルのドラムが切り込むと、とてつもないダイナミズムがが生み出される。 そして一瞬訪れる静寂の中で、ジュダは両手を掲げて手拍子を促しながら、「Do you wanna get heavy〜♪」という、アルバム「アクメ」の中で最も美しい旋律を観客と共に歌い上げる。 ジョンは「お〜〜〜〜〜、う〜〜〜〜〜」という神がかったファルセットを随所に織り込みながら、来るエンディングに向かってその最後のバトンをラッセルのドラムに託す。 そしてラッセルは恐ろしいまでの力を振り絞りながらドラムを叩き始める。踊るとか体を動かすとかそういうことまですべて忘れさせてしまうほどの圧倒的な音壁が体に容赦なくぶち当たる。とにかくこんなすさまじいドラムを聴いたのは初めてだー! ラッセル・シミンズ、恐るべし。
フィードバック音を残してステージを去ったジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョン。 やがてそのフィードバック音にドラムとギターのループ音が重なり、テンション上がりまくりの客の狂騒をさらに煽ってゆく。 そしてステージ左奥からジュダを先頭にしてメンバー再登場。アンコールと言うよりはジョンスペ物語第二部の始まりといった方が正しいかもしれない。
「I Wanna Make It Alright」を、もうここまでやるか!といった感じでまったりと演奏し、「I wanna make it, I wanna make it, I wanna make it・・・・・」「Alright, alright, alright・・・・・」と延々吐き出し会場をグルーヴさせるジョン。手元を見るとなにげに超極太のギター弦をフィンガーピッキングでつま弾いてみたり、突然ピックを持って細かいリフを刻むなど、そのパフォーマンスの裏側でやるべきことはしっかりとやっているのがさすがだ。ジュダもなんか軽〜〜〜く自分の仕事をこなしているようだが、突然ぶっとい5弦を切らしたりして、なかなかの熱のこもりよう。でも曲の流れを妨げないようにと、曲間でギターを変えるようなことはしなかったところがなおすごい! そして曲中にジョンにみんなが目を奪われているすきにさくっと変えちゃうんだからこれもまたすごい。
またしてもラッセルのドコドコドラムとジョンのスーパーシャウトから繋がるようにして、ジュダの下降ギターラインがロックの地平までジェット機を急降下させるかのような「Confused」。この曲もエクストラ・アクメのものだから、過去のフルアルバムからよりも、来日特別企画のミニアルバムからの選曲が多いというのはどういうことだ?! などとその時は知る由もなく、とにかくこのブルージーなリフの絡みが気持よすぎるー!などと思って体を揺らしていた。
そんでまた間髪を置かずして「Magical Colors」のまったり横揺れ狂騒曲が、ジュダのギターリフと共にそののろしを上げる。とりあえず「かもん・かもん・べいべー!」という出だしを歌ってみる。 「Talk about magical colors! Talk about me and YOU!」というところではジョンのところを指さしてみる。気が付けば後ろにダイバーが落下していて、急いでそいつの手を取ってmagical colorsな世界へ引き戻してやっている自分。
そしてさりげなく、本当にさりげなく始まった、待ってましたの「Wail」!!!! 来たーーーー!!!! 飛ばせろこのヤロー!!! 叫ぶぞ「うぇーーーーい(る)!!!」 全身鳥肌だ!! よし、この勢いで最前をーーー!!! だめだ行けない! 最後の諦めモード。だから今はちょっと悲しく染みるこの曲「Wail」。
またしてもさりげなく「Calvin」なんかも織り込みながら「Afro」あたりではもう酸欠状態で、「Torture」なんて、ジョンの何度となく繰り返された「いぇー〜〜」という雄叫び以外は完全に記憶から飛んでしまっている。と同時にもうこの辺になるとのどの渇きも頂点に達していて、「ビール、ビール、ビール、ビール、ビール飲みてえ!!!」ってことで頭の中では一杯になってしまっていた。
なんか微妙にアレンジが変わってたような気もしたし、カバー曲もあったみたいだし、自分の知らない曲もあったしで、山あり谷ありの本編が50分、高密度で迫ったアンコールという名の第2部(←勝手に命名。)が30分で、なにげに計20〜25曲は演奏したのでないだろうか。 弛緩する場面がまったくなく、とにかく全体の構成が完璧になされているステージング。 いやあ、恐れ入ったぞジョンスペ!!
果たしてジョンスペ・リベンジは達成されたのか? ・・・・・・いやあ、やっぱもう1回観たいね。もう1回。いやあと2回ぐらい。
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 2/ 27/ 99
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