Kula Shaker Fuckin' shit!

Deep Ellum Live, Dallas, TX - 2/ 8/97


前日の公演をみて、前座は飛ばすことに決めていたので、約10時過ぎに会場入りすることにした。数日前にこのダラスの夜の繁華街Deep Ellumエリアのライブハウス、Deep Ellum Liveの目の前を通りかかったことがあった。その時にたまたま、こういった劇場特有の出演予定者の看板(よくNYのアポロシアターの外なんかにあるやつ)に「Kula Shaker」と書いてあって、この町に本当にあのクーラ・シェイカーが来るんだなあ、と異常に興奮したのを覚えている。何せアメリカにきてはじめて予約して取ったチケットがこのクーラ・シェイカー・ダラス公演のもので、なんとも特別な感慨があったのだ。ちなみに予約は簡単、Ticketmaster Online(パール・ジャムともめたあのチケット会社)利用で自宅の端末から。

前日のオースティンから車を飛ばして、会場入りしたのが約10時半。ちょうどお香を炊きはじめるところだったので、クーラのほどない登場を確信する。前日の経験もあったので、するすると真ん中の前から5番目ぐらいを難なくキープする。たばこ吸いながら20分ほど待つといよいよ開演だ。

メンバーがぞろぞろと現れる。ボーカル、ギターのクリスピアン・ミルズは、いきなりスライドギターを弾きはじめる。昨日とは違うイントロ。やがてスライド・バーをポケットにしまうと、ワウのカッティングに猛然と突入する。これが長かった。長いように感じた。声を上げ、先を急がせる観客。程なくドラム、ベース、キーボードがなだれ込んだ。曲は当然「ヘイ・デュード」。まあ前日同様、ここで大盛り上がりというわけにはいかない。こいつらも曲知らないんだから。おかげで前の方でもたばこ吸いながら安心して観ていられる訳だ。でもなんかステージ上の様子がおかしい。曲の後半になると、ギターが途切れ途切れにしか聞こえない。クリスピアンも唄いながらギターを一生懸命いじって何とかしようとしている。ソロを終えエンディングでクリスピアンが叫ぶ。「ファッキン・シット!!」。この言葉に何も知らない客はもろ手を挙げて喜んだ。すると突然メンバーはステージから降りてしまったのだ。当然大ブーイング。でも私には大体見当がついていたので安心はしていた。

そのメンバーのいないしばしの間、ちょうど真後ろにいた女の子が私に声をかけてきた。「向こうのカウンターから誰かあなたを呼んでいるわよ」ときたもんだ。よくみてみるがそんな風な奴はいない。「行ってみれば」という彼女に、「そんなのいるはずがねえ」とつっぱねる。仮にいたとしても、こんな絶好の位置をみすみす他人に譲るわけにはいかない。その後完全に無視する。ほどなくして彼女はどっかに行ってしまった。ただ私が邪魔だったのか。頭でかいもんなあ、俺って。

5分ぐらいでメンバーはステージに戻ってきた。クリスピアンが言う。「この地球上の悪や憎しみなどのすべてのものが集まって、このアンプに宿ってしまった。だから壊れてしまったんだ」。んー、いかにもクリスピアンらしい。思わず笑ってしまった。そして「ほんじゃまた始めるぜい。ナイト・オン・ザ・タウンだ。」

その後のステージは極めて順調なものだった。前日同様演奏は完璧、クリスピアンも縦横無尽に動き回り、はじけまる。でも、なんかちょっと疲れてるかなあ、といった印象も。クリスピアン、本当に笑わない。テキサスじゃあ、食うものないもんなあ。牛は安くてうまいけど、クリスピアン、なにせベジタリアンだもんなあ。

やっぱり、「ゴービンダー、じゃいや、じゃいや」と「仁朗兵衛,仁呂兵衛の田んぼ」での歓声(あえて盛り上がりとはいわない)が一番で、後はそこそこといったところ。そういえば、友達のインド人が「ゴヴィンダ」をたまたま私のカーステレオで聴いて、「おい何インドのバンド聴いてんだよ」と言っていたのを思い出す。奴等本物ってことか。


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Last updated: 8/ 25/ 97