■ 赤坂ブリッツ - 2/7/99
Intro --- Holiday In The Sun, My Sweet Lord, Sweet Child O' Mine, and etc...
とにかく開演予定時間の6時を回り、SEが1曲1曲途切れるごとに客から上がる歓声。そしてツアークルーがステージ上の機材と後方のミキシングエクイップメントをやっとのことでいじり出したのが6時15分頃。これまたスタッフがギターやベースの音を鳴らす度に各所から歓声や奇声が上がる。とにかくこの久々のマニックスギグを待ちきれないといった緊張感で会場は包まれているのだ。そんな中でしばらくすると、「まもなく開演です」というアナウンスがあり、ステージ上に一瞬の静寂が訪れた次の瞬間、客電がひとつひとつ落ちていった。 1. Everything Must Go あの、あの、あの曲のストリングスのラインがスピーカーから流れ始めた瞬間、確かに会場の雰囲気が変わった。ニッキー(b)、ショーン( ds)、ジェームズ(vo&g)の3人はステージ右側から暗がりの中を一歩一歩踏みしめるようにして各自の定位置に着く。そしてジェームズがお馴染みの白のギブソンレスポールカスタムの弦を右手で大きくはじくと、青色の照明が一気にステージ上を照らし、彼らの今夜の勇姿が明らかになる。ニッキーは白のつなぎのようなものを来ていて無茶苦茶かっこいい。そしてジェームズはTシャツ姿ですごくラフだ。そんなに太った印象もないし、均整の取れた体だ。そしてショーンはやはり見た目には地味だ。でもこの人なしではマニックスは成り立たない。そしてそんな中でジェームズが「I just hope that you can forgive us, but everything must go!」と渾身の力を込めて歌うと、即座に全身に鳥肌が立った。本当に最高のオープニングである。 2. You Stole The Sun From My Heart 個人的にはニューアルバムの中でも最も好きな曲が、もう2曲目で登場してしまった。そしてなんとジェームズのギターには7フレットあたりにカポがはめられているではないか! そうかあ、だからノーマルのギターではあのアルペジオは弾けないんだなあ、と一人で納得。しかしそのアルペジオのラインと、中盤のハードなラインとの切り替えが見事! 「いち、にー、さん、しー!!」というジェームズの笑えるかけ声の後、「You Stole The Sun From My Heart !」と当然の如く歌う。 3. Kevin Carter 「ケ、ケ、ケヴィン・カーター!」と紹介して始まり、ジェームズのシャキシャキしたカッティングがすごく気持ちいい(・・・・ひょっとしてギターはテレキャスターだったかもしれないな)。またそれとは違う音色でぐるりぐるりと回転しながらソロを取るジェームズ。 4. La Tristesse Durera まったくもって恥ずかしながらワタクシ、セカンドアルバムを聴いていないのでこの曲はここで初体験となる。しかしなんかファーストアルバムの曲とはまったく違う印象で、それはそれで素晴らしいことではないか! メロディー、フレーズともどもちょっとさわやかモードに突入。 5. Stay Beautiful 「This next one's called Stay Beautiful」とジェームズが言ったとき、本当に耳を疑ってしまった。まさかやるとは思っていなかったこの曲。そしてあのハードロック張りのキャッチーなギターリフが、ちょっとうつむき加減のジェームズ本人のギターから本当に紡ぎ出されたあの瞬間、なんとも言えない戦慄が全身を駆けめぐった。そして発表当時はなんだか薄っぺらで安っぽい感じに聞こえたこの曲が、今ではすっかり生まれ変わり重厚なロックチューンとして機能しているではないか・・・・・・・・・・・・・・しかし!! 見えねえぞおい!! 自分は1曲目で出遅れてしまって、割りと後方で見ていたのだが、背の高い兄ちゃんと、でかい帽子を被った兄ちゃんが前方の視界を塞いでしまっため、ジェームズの姿がまったく見えなくなってしまった。おまけにこっちはこんなに感動しているのに、周りの反応はまったく薄い。ちょっとこの辺で、かなりストレスがたまり始めた自分。 6. Yes そして続いてこれである。自分が最も好きで、これまで最もCDトレイに載せた回数が多いアルバム、それが「Holy Bible」だ。そのトップにあるこの曲が演奏されて正気でいられるはずがない。しかしやっぱりステージは良く見えない。おまけにやっぱり周りの反応は寒い。よってここで決断。周りの迷惑を顧みず、前方へ突き進むことにする。いや迷惑なのは腕組みして見ているあんたらの方なんだからおあいこじゃないか。よってこの曲の後半で前方への進行を開始。がしかし第1歩目でいきなり人の足を踏みつけてにらまれる。 7. Tsunami 前方へ密林を掻き分けるように進むと、なんと後ろから客が数人ついて来るではないか。まあいい。密林探索は人が多い方が楽しい。でもにらまれるのはいつも俺だ。しかしどうにかこの「Tsunami」の始まった頃に結構みんな盛り上がって飛び跳ねているエリア中心部に到着。演奏されているのはちょっと冷たい感じの曲だが、このとき自分の体温がちょっとだけ上がった感じがした。そして自分はこの曲をマニックスがどう料理してライヴで披露してくれるのか楽しみにしていたのだが、やっぱりキーボーディスト(向かって左側)がいるお陰で比較的ノーマルなアレンジにまとめられていた。でもちょっとオリジナルよりもテンポが上がっていたかな? 8. Ready For Drowing さあ盛り上がっていくぜー! と思ったら結構静かなこの曲。でもジェームズのクリアーでざくざくとしたカッティングが気持ちいいねー!! 本当にジェームズの右手はギターを殴っている感じだ。とにかく前へ前へと進んでいってどこまでも果てしなく届く感じ。ニッキーも相変わらずニコニコだ。というかそんな風に見えただけかもしれないが。 9. No Surface All Feeling ジェームズがイントロの細かいフレーズを弾き始めた瞬間、また頭がボーっとなったよ。とにかく「Everything Must Go」と「This Is My Truth〜」両アルバムの架け橋的役割をしているのがこの曲だと思っていて、ハードなギターがフィーチャーされていながらすごくジェームズの声が優しく聞こえる。ソロを弾くジェームズも気持ちよさそうだ! っていうかこの人ギターうまいよ。誰も言わないかもしれないけど。 10. Motown Junk 「これはすごくすごく古い曲で、スウィート・ホーム・アラバマって言うんだ」、とジェームズが言ったらその通りにレイナード・スキナードの「Sweet Home Alabama」のイントロをギターで弾き始めた。そしてそのまま歌に入るのかなと思ったら、「Baby Love」の歌詞を歌い出し(←ケータくんの指摘)、そして「Motown Junk」のイントロへ〜!! か、かっこいい・・・・。当然の如く盛り上がる。昔の曲だけど自分を含めたここにいる人達のほとんどがこの伝説の「Motown Junk」を生で体験するのは初めてのはずだ。初期のまさに「解散マニックス」の代名詞としてその刹那さを象徴するように扱われてきた曲だが、現在のマニックスにとっても非常に大事な意味を持つ曲なのであろう。ただ単にぶっきらぼうに演奏されたわけではなく、このようにイントロまで劇的に持ってくるところなどは客が望んでいるからというよりも、マニックス自身、この曲に逆説的な、ある意味でアイロニックな、「スウィート・ホーム・アラバマ(=おお我が故郷のアラバマよ)」的なメンタリティーを感じてもらいたかったのであろう。つまりここからマニックスの今後の決意表明みたいなものを感じ取ってしまった。 11. Motorcycle Emptiness とにかくギブソンのフロントピックアップを使ったイントロのギターフレーズが美しい! まあ嫌いな人はこんな例えをしちゃうといやなのかもしれないが、この日のライヴのオープニングSEしても使用されていたガンズ&ローゼズの「Sweet Child O' Mine」のイントロ、及び途中のソロ部分を彷彿とさせてくれるような甘いトーンだ。しかしこれは「Stay Beautiful」の演奏時にも感じたことだが、あんなに薄っぺらに聞こえたファーストからのこの曲が、こんなに劇的でドラマティックに聞こえるなんてなんかすごい! それも今はメンバーが1人減って3人なのにも関わらずだ。なおかつ時代を経てもまったくもって色褪せていないのはどうしてだろう? まったく持って不思議な曲だ。今「Generation Terrorist」を再録したらナンバーワン取れるんじゃないか? 12. If You Tolerate This Your Children Will Be Next イントロのフレーズはひょっとしてギターにエフェクトをかけてやってるのかなあ、ともちらっと思っていたがやっぱりキーボードだったのね(笑)。 13. Black Dog On My Shoulder 「これはブラック・ドッグって曲なんだけど、悪魔の曲じゃねえぜ」と言ったか言わぬか知らないが、ジェームズがアコースティックギター1本で弾き語った2曲のうちの1曲。まずイントロ〜ヴァース部分のアルペジオがすごく綺麗だ。そして曲の終わりの方で、「東京(or 日本)のみなさんにメリークリスマスを」と季節はずれのことを言ってるなあと思ったら、いきなりワム!の「Last Christmas」の1番の歌詞を歌いだしたジェームズ。ちょっと居心地の悪さを心に抱きつつ思いっきり合唱させてもらう。 14. Small Black Flowers That Grow In The Sky ジェームズアコギセットのこれが2曲目。ステージ上の青白いライトが大体5,6方向からジェームズ一点に集められてすごく美しい!! 思わずそのライトに見とれてしまった。そしてそんな中で歌うジェームズはすごく気持ちよさそう。一体何を考えながらこんな極東の島国にいるアジア人達の前で歌ってるのかなあ、などと余計なことも考えてしまった。 15. Nobody Loved You 16. Australia 17. This Is Yesterday 18. A Design For Life 19. You Love Us 普通のバンドセットに戻った「Nobody Loved You」から最後の「You Love Us」までのことはほとんど覚えていない。ただ、「This Is Yesterday」とジェームズが曲を紹介したとき、「イェスタデイ?」とアホなことを言った客が一人いたこと。そして真後ろの客が一緒に歌うのはいいんだけど、あまりにもひどい音痴だったのではっきりいって大迷惑だったこと。そして「You Love Us」ではみんなドッカーン!と盛り上がり、曲の終わりにニッキーが縄跳びをおっぱじめたことぐらいか。 まあ結局、というか彼らの場合当然の如くアンコールはなし。どんなにアンコールの拍手でメンバーの再登場を促しても、スタッフはさすがに慣れているのか首を振ってにこにこするばかりだ。でもとにかく音の方もこれ以上はない!というぐらいに良くて、最高に楽しめた。とにかくギグの途中で自分が「前に行きたい!」と思わせるライヴはいいに決まっているのだ。
そして最後に。 当日のライヴ開始前、17名もの方々と『マニックスオフ会』なるものを開催しました。その参加者の中でホームページをお持ちの方々がそれぞれに様々な視点からこのマニックスギグをレポートしてくださっています(・・・もしくはレポート予定)。ご覧になってさらにこの素晴らしいギグの雰囲気をつかんでください! ● とみぃの宮殿 (とみぃさん)
next report: Beastie Boys (2/6/99)
Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 2/10/99 |