■ HMV渋谷店、新宿リキッドルーム - 9/19/98
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HMVでのインストア・イベント |
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この日の午後4時半から、マンサンのインストア・イベントがHMV渋谷店で行われた(ちなみにその日の夜に予定されていたのが、某ソリマチくんのイベント)。あらかじめそこで彼らのニューアルバム「Six」を購入していた人達だけが参加できるイヴェントという名目ではあったのだけれど、招待券を持たない一般の人達も遠巻きながら彼らの姿を拝むことは出来た。でも昨日のライヴでのメンバーの愛想のなさから見て、ポールあたりはひょっとして途中でキれて、イギリスに帰っちゃうんじゃないかとさえも思っていた。
それがどうだ。 もうメンバー一同ニコニコである。ポールは客に向かって手を振りまくるし、笑顔振りまきまくりだし、インタビューにもまともに答えてるし〜。まあ、そのインタビュアーがアホウ丸出しなへタレ野郎だったってことはこの際忘れて、メンバーと握手出来た同行者Dさんのご感想などを・・・・・。
「センスのいい服を着ていたチャドのほっぺたは意外にすっきりしてた。ストーヴの手はなんかヌメってた。ポールは握手してる最中にこっちを向いてくれないばかりか、せっかく作ったオリジナルステッカーを、手渡した途端に箱の中へポイっとほおり投げた。悲しかった。」
とまあ、かなりいい人達である。来年1月の再来日+全5公演も約束してくれたし。インタビューそっちのけで客に手を振り、黄色い歓声を浴びているマンサンは、まさにアイドルそのもの。それにしても昨日の無愛想ぶりは一体何だったのだ??!!
とにかくこのイヴェントが、その後の壮絶なライヴへの布石となったことはほぼ間違いない。
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Club Snoozer |
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音楽雑誌「Snoozer」が定期的に主催してきたクラブイヴェントがこの「Club Snoozer」。全国各地で開催されてきているが、なんと言っても東京でのClub Snoozerの目玉は、DJによるプレイの合間に披露される本物のライヴギグであろう。しかしそのClub Snoozerの趣旨から、そのライヴアクトは大々的に宣伝されることは少ない。
マンサンがスペシャルライヴアクトだった今回も、ご多分に漏れずライヴアクトの発表は、特に前日のライヴのプロモーションに比較して、かなり極秘然に行われたものであったように思う。しかしそれでも3000円の前売り券はかなり早くからソールドアウト。当夜も、当日券を求める人達が、開場の数時間も前から、会場となる新宿リキッドルーム周辺を取り囲んでいた。
開場は夜の12時。なんでも当日はジェイソン・ボーナム・バンドのライヴが同会場で行われたそうで、そのセットを撤収してからのイベントの準備、及びスタートだったそうだが、そんなこととはまったく関係ないような興奮が、そこには用意されていた。タナソウ&ムラくんをDJとして様々な曲が次々とかけられる中で、来たるマンサンのギグに向けて、フロアーの熱気は少しずつ高まってゆく。
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マンサンのスペシャル・ギグ、壮絶にスタート! |
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ジェームス・イハの曲でノリまくっている客を尻目に、リキッドルームのステージ上がなんだか慌ただしくなってきた。時間は真夜中の2時半。いよいよライヴのスタートを予感させる時がやってきたのである。すると前日のライヴ同様、「God Save The Queen」「Bodies」「Liar」といったセックス・ピストルズの曲にスイッチされ、いやが上でも気分が盛り上がってくる。なにせみんなそれまでにかなり踊りまくっていて、もう弾けまくる準備は万端。ノリまくるのに、これほどいいシチュエーションもない。
突然場内が暗転し(・・・とはいってもそれまでもすでにかなり暗かったけど・・・)、マンサンのメンバーがそそくさとステージに現れた。するとどうだ!! 前日と打って変わってのすさまじい怒号のような歓声。ギターのチャドもいきなりギターをフィードバックさせて、その歓声に応えているではないか。曲は前日のスタートと同様に「Negative」だったが、明らかにヴォーカル、ポールのテンションが違う。曲が終わると、昨日は言わなかった「アリガトウ!!!」などという言葉も出てきた。そして「Good evening!! モットモットサワゲー!!」ときたもんだ。
次の「Being A Girl」になっても、もう勢いは止まるどころか、さらに加速する一方だ。フロアーは爆発しまくりで、歌う歌う! それに乗じて自分の動きももう止められない。こういうときはもう意識はほとんどないも同然で、わけもわからずひたすらステージ方面に向けて前へ前へと進んでゆくだけだ。もう目にはステージしか入ってなくて、少しでも近づきたい、少しでも近くで音の洪水を浴びたい、その一心である。でも自分をこんな気持ちにさせるライヴは、年間通じてそうあるものではない。
そしてついにはベースのストーヴの目の前の最前付近まで来てしまった。ドラムもベースも、もはや生音が聞こえてくるような、そんな近い位置である。まだ序盤だというのに周囲のみんなは汗を飛び散らしまくりで、もうすごいとしか言いようがない。昨日はなかったダイヴ&フローティングまで出る始末。ポールも曲が終わるか終わらないかぐらいで耐えきれずに、「サンキューー!!!」と叫んでしまっていた。
この後、前日のライヴとは曲順はやや異なっていたことを除き、セットリストはほぼ同じ。でも「Mansun's Only Love Song」の後でポールは、自分達のほうをめがけてペットボトルの水をぶちまけて、思いっきり浴びてしまったり(・・・気持ちよかった!)、「Mansun's Only Love Song」で目の前のストーヴのベースプレイを目で追いながら歌っていたら、彼と目が会ってしまい、「I love you〜、I miss you〜.」と一緒に歌を口ずさんでしまうなんてこともあったりした。(しかしその歌詞をよく考えると、やっぱちょっと気持ち悪い。)そもそも曲のイメージが昨日とは全然違っていて、とにかくポールのボーカルに力が入りまくっているし、ストーヴも無茶苦茶嬉しそうでニコニコだし、チャドのギタープレイにも固さが全然見られない。昨日ガッカリさせられた「Six」も断然今日の方がいい。テレキャスターが本来持つシャープな音を生かし切っている。それに合わせ、頭がクラクラするほどの大声で歌ってしまった自分。もう最高である。
曲を紹介してから始まることも少なくなく(Six、Shotgunなど)、特に「Taxloss」の時には感極まってか、「たっくすろ〜す!!!」と絶叫してしまったポール。ミキサーに3回もヴォーカルのヴォリュームをアップするように指示するなど、とにかく自分の声が小さく聞こえてしまう、すなわち、もっともっと大声で歌いたい!!という欲求に歯止めがかけられないほどのテンションの高さを見せつけた。昨日はたった4回だった「サンキュー」も、今日はほぼ曲が終わるごとに発せられていたように思う。
本編最後の「Taxloss」でも、自分のギターを頭上に持ってきて弾くような真似をしてみたり、アンプに思い切り近づけてフィードバックさせたり、思いっきりヘッドバンギングしてみたりと、ほんとに前の日の淡々としたプレイとは180度違うこの日のポール。いつもはそのクールネスが売りのチャドもこの日ばかりは笑みを絶やさない。というかポールの盛り上がりに圧倒されている感もある。
盛り上がっていたのはメンバーだけではない。あのアンコールを求める拍手、歓声の大きさといったらこれまでのライヴの比ではなかった。みんな飛び跳ねて足踏みするので完全にフロアーが揺れている。
そうなればまた出てくるしかないメンバー達。まず出てきたのはドラムのアンディで、続いてようやく着ていたTシャツを脱いで上半身裸のストーヴ。ポールは大声で「サンキュー・ベリマッチ!」。そしてテレキャスターを持ったチャドのギターから「Legacy」のイントロが流れ出す。最高の場面である。違うキーでのプレイにも馴染みが出始め、非常にいい感じだ。
続く「Everyone Must Win」ではさすが演奏回数が少ないためか、出だしを思いっきり間違えて演奏がストップ。普段のポールだったらここでキレてたかもしれないが、客にバカウケしたことと、この日の彼自身の高いテンションもあったのでろう。思わぬ笑みをこぼした後、「It's Andy!! A-N-D-Y!!」と叫び、すべてをドラムのアンディのせいにする(笑)。チャドもストーヴも笑っている。この時、本当にパフォーマーとオーディエンスが本当の意味で一体になったような気がした。あのポール・ドレイパーの生身の姿を、初めてみたような、そんな気にもさせてくれた。
そして最後の圧巻は、ラストの「Take It Easy Chicken」だ。ポールはギターのネックをマイクスタンドに擦り付け音を出し、アンプの近くでフィードバック。その後、ギターを振り回しシンバルにぶつけ、アンプの上に一旦ギターを置いた後、ドラムセットの上に登り、仁王立ちを試みる。しかし危険だと思ったのか、スタッフに止められ、ポールは思わず苦笑い。残りのメンバー全員も苦笑い。しかしポールの今の勢いは誰も止められない。アンディーに代わり、ドラムセットの前に座りドラムを叩きはじめたのだ。やることのなくなったアンディは、代わりにポールのギターを持って飛び跳ねる、飛び跳ねる。なんとも美しい光景・・・・・。
ポールはそのドラムセットを木っ端微塵に破壊して、キレまくりのライヴはようやく終了。とにかくものすごいギグだった! あのアルバムで見せた並々ならぬ実力のほどを、ようやくライヴで証明してくれたとともに、ミュージシャン、アーティストが一体となっていいショーを作り上げた最高の例であるとも言えよう。とにかくそういった雰囲気作りに貢献したClub Snoozer関係各人の尽力に感謝したいし、これだけのライヴとイベントを3000円で提供してくれたことは、まったくもって驚きに値することだと思う。
とにかく、マンサンの天と地を見てしまった2日間だった。恐らくバンド自身も同じ印象を持っているに違いない。そして両日の公演とも、ファン、バンド共に、いい意味でも悪い意味でも一生記憶に残るものになることであろう。
98年を通じての最高のアルバムは「Six」、そして最高のライヴは、この日のマンサンのギグでほぼ決まったようなものである。
- Negative
- Being A Girl
- Stripper Vicar
- Shotgun
- Mansun's Only Love Song
- Wide Open Space
- She Makes My Nose Bleed
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- Six
- Taxloss
- Legacy
- Everyone Must Win
- Drastic Sturgeon
- Take It Easy, Chicken
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 9/ 21/ 98
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