Money Mark ありがとうチケプレ!

渋谷クラブクアトロ - 10/15/98


ロッキング・オンのチケプレで手にしたこの日のコンサートチケット。しかしその当選が伝えられたのがこのギグの一週間前で、なおかつマニー・マークのレコードは恥ずかしながらその時点で未聴だったそんな状態。よって急いでレコ屋に走って彼の最新アルバム「Push The Button」を買って聴いてみた。感想・・・・・すごくかっこいい!

会場の渋谷クアトロの門をくぐる。「招待者で〜す!」というお姉さんの声がちょっと嬉しかった。(←ただの田舎もん。) でも今日は前日まで前座として回っていたバッファロー・ドーターの出演はないので、正直客の入りが心配だった。でもそんなのは杞憂中の杞憂に終わる。入ってる入ってる! 自分はステージ右側の一段高くなったところに移動したのだけれど、全然ステージが見えない。なおかつライヴが始まってもフロアの客は前に詰めようとしないので、なおさら後方のぎゅうぎゅう感が増す。客層はヤローの比率が異常に高く、みんなおしゃれして着飾っている。よって自分は自然と浮く(笑)。

開演時間の7時の時報の音が聞こえたか聞こえないかのうちに、場内のライトが落ちた。するとグレーのTシャツを着て帽子をかぶった小太りの男がターンテーブルの前にやってきてお皿を回し始める。あれがマニー? いや、なんか違う。後で知ったことなのだけれど、この人、Kid Koalaという、日本やモントリオールあたりで有名なDJならしい。しかし個人的にはこの種の音楽はよく分からないので、ちょっと退屈。このDJタイムが約20分ちょっとぐらい続いたのだが、フロアの一部を除いてかなりざわざわと私語が多かったのも事実。「このまま続けられるとちょっとつらいよなあ〜」といった声も聞かれた。

そして再び10分ほどのブレイクタイムがあった後、いよいよマニーの登場である。黒のボトムと帽子+赤のTシャツ+白っぽいシャツ+サングラス、といった出で立ちだが、これを「いなせ」と呼ぶべきなのか、それとも「悪趣味」というべきなのか・・・・・、ちょっと悩むが、まず単独で姿を現した彼は、笛のようなものを小さなアンプにつないで様々な音のコラージュを聴かせる。でも悪いけど自分は退屈。早くバンドでプレーしてくれ〜!!

・・・とそんな願いが通じたのか知らないが、マニーはやっとキーボードの方へ移動。いきなりシリアスなピアノのラインをつむぎ出す。そしてそうこうしている間にバンドメンバーがステージに登場。しかし残念なことに、前方右側の壁が邪魔して、自分のところからドラマーとパーカッショニストの姿を観ることができない。ステージ右側でキーボードを弾くマニーの姿も半分ぐらいがやっと。しかしその代わり、ギタリストはよく見えるので一安心。一応お約束ということでスペックを紹介すると、アンプがフェンダーのコンボで、その下にマーシャルかなんかのスピーカー・キャビネットが見える。ギタリストは2人いて、白のストラトキャスターをメインで使用するギタリストがこのフェンダーのコンボを使い、もう一人のギブソン・レスポール・ゴールドトップをメインで使用するギタリストが下のスピーカーキャビネットを使っているようである。ただしこの2人が一緒にギターを弾くことはなく、スキンヘッドのギブソン君の登場はフェンダー君がキーボードを操作しているときのみ、といった感じであった。ちなみにベーシストはデブなモヒカン君だ。

まあそれはともかく、「東京に戻ってこれて嬉しいよ。次の曲はAll The Peopleだ。」と言って始まったバンドによる演奏は、もう正直言って鳥肌ものであった。マニーは歌が下手だ、なんて誰が言ったんんん????? もう「ソウルフル」としか言いようがないその声と、タイトなバンドの演奏は、沈みまくっていた自分のテンションを一気にフルスロット付近まで持ってきてくれた。

マニーが彼の茶色いギターをセットアップしているときに、ギターヘッドがボーカルマイクに触れてノイズが出た。それを見たマニーはそのボーカルマイクをおでこに当てながらラップのようなリズムを刻む。会場大爆笑。そしてそこから「Tomorrow Will Be Like Today」「Too Like You」など。これらの曲のポップな作りもあって、フロアのみんなはノリノリだ(←死語?)。

何度もハウリングしていたけど、音はすごくクリアー。しかし中央でギターを弾くマニーの姿がよく見えないのでちょっと横に移動。やっと黒のギターに持ち替えた(赤もあり。)マニーの全身を確認・・・・・したかと思えば、キーボードのところに戻ってまた見えなくなる(苦)。そして曲紹介の前にため息を付き、ここでも笑わせるマニー。

「このツアーに対してのインスピレーションを与えてくれた男」ということで、DJのKid Koalaを紹介する。その後キーボード(or イス?)の上に仁王立ちしたマニーは、「上を向いて歩こう」のラインを笛(?)で滑らかに弾いてみせる。

「この前来たときは、ちょっとしたトリックを見せたと思うんだけど。今回はもうちょっと付け加えたりして、多分誰もやったことがないと思うんだけど・・・・(中略)・・・・もう一回、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、・・・(様々な人物名&奇妙な名前列挙)・・・に捧げるよ。そしてこれが正しいコンドームの使い方だ。」などと言って取り出したのはゴム風船。その一つを膨らまして、「誰か誕生日の人はいない? いない。あ、そう。」と言ってそれを飛ばしてしまう。もう一つの風船を膨らませていると、ターンテーブルから「What are you doing?」という言葉の入ったリズムが流れてくる。そしてその音楽を聴きながら、膨らませた風船をトランペットのマウスピース部分にくっつけ、風船から漏れ出る空気を使ってそのトランペットを弾く(吹く?)荒技を披露。その間に絶え間なく流れ続ける「What are you doing?」という声も相まって、会場は再び大爆笑+大歓声。マニーの芸人根性丸出しの演出である。

「Maybe I'm Dead」のアウトロ部分では、スキンヘッドのギブソン君のギターから延々と流されるフィードバック音を、マニーのキーボード上に置いてあった白い小さなスピーカーから出る音で受け継ぎ、そのままインド風楽曲の「Dha Teen Ya」へと入ったりもした。あまりの壮巌さゆえにし〜んと静まり返ったフロアーだが、ファーストアルバムからの曲を含め「Rock In The Hard Rain」「Hand In Your Head」からの曲で盛り上がりを取り戻す。曲中ではギターソロが終わるとすぐさまキーボードでソロを取るなどなかなか心憎い演出もあったりした。

「Good night, everybody!」と言って一度下がったマニーだが、1,2分もしないうちにまた小走りでステージに戻ってきた。そのうちにドラムソロのようなものが聞こえてきたのだけれど、自分のところからでは誰が叩いているのかも分からなかったが(ひょっとしてマニー?)、かなりの歓声が上がっているので何か面白いことをやっていた模様。そしてファーストアルバムからの曲と思われるソウル系のナンバーを披露して(←なにせファーストは聴いてないの・・・。ごめん。)、「Power House」へ。小さい点滅式ライトを手に持ちながら「俺はこれ以外何もいらねえ。ギターもキーボードもshitもいらねえ、」とつぶやく。さんざん調子の悪かったマイクのこともあってか、「このshitなマイクもいらねえ」と言ったがそれはさすがに手放すわけにはいかずに、「Power House」はスタート。それまでのソウルフルな、ある意味でおしゃれな雰囲気は一変して、真っ暗なステージ上から放出されるマニーの小型フラッシュライトがあっちいったりこっちいったりとせわしない中で、マニーの絶叫ヴォイスがクラブ内にこだまする・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そしてそのままマニーはステージを降りた。

最初のDJプレイを聴いていた時には、一体どうやるものやらと危惧したこのコンサートだったが、終わってみればすごく楽しませてもらった感じがしている。基本的にファンク、ソウルというのは、得意じゃないけど、大好きな分野なので、そのバンドのグルーヴに身をゆだねているだけでハイになれた。それは、後ろの長髪兄ちゃんが延々とマ○ファナを吸い続けていたことと関係がある・・・・とは考えないことにしよう。


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Last updated: 10/ 16/ 98