Ocean Color Scene 春の甲子園常連校

赤坂ブリッツ - 3/24/98


胸躍る赤坂ブリッツ初体験。オー、広いね、いいねー。コインロッカーもあるし、トイレもきれい。なんかアメリカのライヴハウスなんかと比べてしまうとちょっと過保護かなあ、なんて思ったりもしたけれど、それが悪かろうはずがない。日本ではドラッグ云々なんて話しもよく聞くようになったけれど、なーんも臭いがしないところから察するに、まだまだ日本も大丈夫。ずっとこんな風に健康的にライヴを楽しんでいきたいものだ。

健康的といえば、この日のライヴはまさにその健康そのものといった感じだった。満開の桜を見て、「ああ、なんて綺麗なんだー」とほんのり頬までピンク色に染まってしまうようなそんな状態にあるオーディエンス。そして春の嵐が吹き荒れようとも決してぱっと散ってしまうようなことはないステージ上の桜の花々。こういうほんわかしたライヴってほんと久しぶりに見たような気がする。

定刻を15分ほど過ぎた頃、Ocean Colour Sceneの面々がほぼ満員のオーディエンスの前に登場。だが広いステージをちょっと持て余し気味にも見える。ギターのスティーブはギブソンのレスポール・ゴールドトップをマーシャルアンプにつなぎ、ドラムのオスカーはいつものようにニット帽のようなものをかぶっているのが目に入る。ボーカルのサイモンが「Let's do it! 」と言うのを合図に、1曲目の「Hundred Mile High City」へ。レコードよりもさらにギターロック色の強いアレンジだ。ベースのデーモンは常にニコニコしていてご機嫌な様子。オーディエンスも冬眠から目覚めた蛙のようにぴょんぴょん飛び跳ねている。しかも殺気だった様子は微塵も感じられなくて、割と穏やかで快調な滑り出し。

スティーブのピアノをフィーチャーした「Better Day」、サポートを加えての「Travellers Tune」と続き、最新アルバムの曲順の通りにステージは進んでゆく。太った白人スタッフのデイヴは、サイモンにちょっかいを出されて喜んでるし、外国人オーディエンスに無茶苦茶なことを言われてもメンバーは笑顔で返答している。そんな風に終始穏やかで和やかな調子でステージは進められてゆく。

私自身、そんなにマニアではないのでよく覚えてはいないのだが、以降本編は、順に「Lining Your Pockets」「One For The Road」「The Circle」「You've Got It Bad」「It's My Shadow」「The Riverboat Song」「Get Blown Away」「Debris Road」「The Day We Caught The Train」といったところで、プラスもう1曲ぐらい間にあったかもしれない。アンコールにはサイモンの弾き語りの「Foxy's Folk Faced」を持ってきた(すまぬ。あとの2曲は忘れてしまった)。ほとんどがセカンドとサードからの選曲で、ファーストを持っていない私には、なじみのある曲がほとんどで結構嬉しかった。

野球で言えば、フォアボールで出たランナーを、送りバントで2塁へ進め、ライト前にしぶとく落として1点取るような、こつこつした非常に手堅い攻め、それがOcean Colour Sceneの持ち味だ。まあ、凄腕のカリスマ達が集まったチームでもないし、爆発力があるチームでもなければ、ピッチャーは器用だけど剛速球を投げるわけでもないから、おそらく甲子園で優勝するとかいうチャンスはないかもしれない。でも常に甲子園の土を踏んで、地味だけどさわやかなチームでいて欲しいと思っている。こういう味を持ったバンドって、今結構いそうでいないわけだから。


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Last updated: 3/ 25/ 98