Pulp 見つめないでジャーヴィス

渋谷オンエア・イースト - 9/20/98


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HMVでのインストア・イベント

昨日のマンサンに引き続き、パルプのイヴェントがHMV渋谷店で行われた。まあ、個人的にあまりにも暇で、ちょっと時間潰しの意味合いもかねて立ち寄ってみたこのインストア・イヴェント。しかしイヴェントスタート予定時間の2時までまだかなり余裕があったので、その店内の立ち読みなどしていた。するとふっと振り返った後ろのエレベーターの所に立っていたのが、パルプのサポートギタリストであった。んでエレベーターに乗ってどこへ行くのか?と思っていたら、ファンの子に発見され、サインを求められ、時間を失い、そそくさと控え室に戻っていったそのサポート君。彼は一体、どこで、何をしようとしていたのか?

まあそれはともかく、そのインストア・イベントはほぼ定刻通りの午後2時にスタート。前日のマンサンのイベントとは異なり、きれいなお姉さんが終始司会と通訳を務めていたが、今日は期待の写真撮影タイムはなし。時間も30分程度と短いもので、簡単な自己紹介、インタビュー、そしてメンバーの手によるお楽しみ抽選会、といった内容であった。インタビューの中で、グラストンベリーフェスでトリを務めたことに話が及ぶと、ストライプのシャツに黒のジャケットを羽織り、眼鏡をかけたジャーヴィスは、「(立って膝の当たりを指でさしながら)雨で水が膝ぐらいまできていて、まるで一面が湖のようだったよ。」などと話し、今日のギグのセットリストに関する質問では、「サウンドチェックでちょっと違う曲なんかも試しにやるつもりなんで、たぶんセットリストはちょっと違うものになるんじゃないかな。」などとも語っていた。

ファンの興奮は昨日のマンサンのそれと比べるとかなりおとなしいものであったが、ジャーヴィスのショーマンシップにはやはり感動させられた。客が静かになるとわざわざ席を立ち、おどけてみたり、話しかけてみたり。でもインタビュー中にあった、「今日のセットリストが変わる」という言葉は、絶対に社交辞令だと思っていたのだが・・・・。

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パルプのオンエア・イーストでのギグ

会場のオンエア・イーストに到着する。そして着くなりいきなりしゃがみ込む私。マンサン〜パルプに明け暮れたこの週末。楽しい出来事もたくさんあったけれども、さすがにこの頃になると心身共に疲労感がどっと襲ってきていた。そしてその最後の最後(・・・いやこの後5時間以上かけてうちに帰らねばならない・・・)が、一番濃いめのパルプだ。なんかそれを考えただけでも疲れが増しそうな感じであった。

定刻を20分ほど回ったところでショーはスタート。メンバーの中で最後にステージに現れたのがヴォーカルのジャーヴィスだ。はっきり言って今日はこの人を見に来たようなものなので、思いっきり彼の真っ正面に陣取らせてもらう。しかし最初から奇妙な動きでこちらの方をじっと見据えるので、思わず体が後ずさりしてしまう。でも頑張ってジャーヴィス観察を続けること にする。

まず良かったのが2曲めの「Do You Remember The First Time?」だ。個人的にパルプの中でも最も気に入っているナンバーの一つでもある。こういったポップチューンが一番場にハマっているような気がした。そして続いては「長い間プレイしてなかった曲をやってみたいんだけど、うまくいくといいなあ」というジャーヴィスのコメントで始まった「Joyriders」。なかなかいいチョイスである。

「Seductive Barry」に入る前には、ジャーヴィス:「日本人に多い名前って良くわからないんだけど・・・」 客:「太郎!!」 ジャーヴィス:「タロー?」 ジャーヴィス:「日本で貴重なものってなんだかもわからないけど・・・・」 客:「ワマシ!!!(←和菓子?)」 ジャーヴィス:「ワマシ?」 ・・・・ジャーヴィスにはちゃんとした日本を伝えてもらいたい・・・・。

さて、なにもパルプはジャーヴィスだけのものではない。彼の後ろに目を移してみると、Warholのアンプにギブソン、フェンダーなどのギターを組合せ、様々な音色を出しているギタリスト、マークの姿があり、そしてその右後方には、5150アンプにセミアコかなんかのギターをプラグインしているサポートギタリスト君。彼の姿はあのHMVで見たときの彼の姿とまったく一緒である。その後方にいるニックのドラムセットには小さい子供の写真が張り付けてあり、そのほのぼのとした風情に一人和んでしまった。ジャーヴィスと彼らの絡みは非常に少ないけれども、曲の出だしでジャーヴィスの所にギタリストのマークが顔を近づけに行ったら「Fuck off, man」と言われてしまったり、ドラムが勝手にスタートしたら、「俺が合図するまで始めるなよおい。」と言われるなど、言葉にするとすごくきついように聞こえるけれども、逆に思いっきりその場の雰囲気を和ませてしまうのだから、これはジャーヴィスの人徳がなせる技としか言いようがない。

「T.V.Movie」でアコースティック・ギターを持ったそのジャーヴィス。ギターを持ったら似合わなそうなヴォーカリスト・ベスト5にランクされそうな彼だが、今日は不思議とうまく調和がとれている。そしてそのギターをカッティングしながらボソボソっと歌い始めると大歓声が上がった。

「A Little Soul」の前には「ゲンキデスカ?」なる言葉も飛び出し、「答えはなんて言えばいいんだ?」という問いに対しては、客から「げんきでーす!」という声が挙がる。不思議に思ったジャーヴィス。「Did I say,"How're you doing?"?」と訝しがる。確かに「I'm fine」が「ゲンキデス」になるところに疑問を感じてしまうことはよくある。この辺はそこらへんのガイジンとちっとも変わらないジャーヴィスだ。ちなみにこの「A Little Soul」では、ジャーヴィスに合わせ、客から手拍子が起こったりもした。

「If you didn't come to the party, why did you come here?」とゆっくりと話した後、本編のラスト「Party Hard」がスタート。ギターのカッティングの音が気持ちいい。そしてアンコールには「This Is Hardcore」をまず用意。そして「Glory Days」からメドレーのように「Common People」へ。もうお約束の大盛り上がり+大合唱だが、やっぱりこの曲だけがものすごい反響があるところに、今のパルプにとっての問題点もあるように思えた。メンバー達もこの光景に結構複雑な気持ちを抱いているのではないか、などと突然考え込んでしまい、周りの熱狂とは裏腹に、自分の気持ちはだんだんと冷めてしまっていた。そんな自分の目の前にいるジャーヴィスの表情を、これまで以上にじっと見つめていたのだが、正直ジャーヴィスにも苦悩の表情が浮かんでいるようにも見えてならなかった。

てっきりこれで終わりかと思っていたら、スタッフがギターのチューニングを再度始めたので、また曲が用意されていることを知る。再々登場のジャーヴィスは、ドラムセットの横にあったクラッカーを発見し、「What the hell is this?」。そしてそれを鳴らしながら「今日はパーティーだぜ!」などと前日の自分の誕生日を自ら祝うような演出も。それから、「今日のサウンドチェックのときにちょっとやってみた曲なんだが・・・Underwearってやつなんだけど・・・・日本語では"シタギ"って言うらしいね。」などと語り爆笑する。でもHMVでのイベントでの言葉通り、2日前のブリッツ公演と異なったセットリストでのギグ。あの言葉に嘘はなかったのである。

  1. The Fear
  2. Do You Remember The First Time?
  3. Joyriders
  4. Live Bed Show
  5. Seductive Barry
  6. Sorted For E'z & Wizz
  7. T.V. Movie
  8. A Little Soul
  9. Help The Aged
  1. Sylvia
  2. Party Hard

  3. This Is Hardcore
  4. Glory Days
  5. Common People

  6. Underwear

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Last updated: 9/ 23/ 98