■ 幕張メッセ - 6/25/00 (reported by しげやん)
幕張メッセ国際展示場8番ホール.Rage Against The Machine (以下レイジ)にとってはあまりにもミスマッチな会場だ.ちなみに1番ホールは「第3回オール家具バザール in 幕張メッセ」だ.どうだ. 前座の Bloodthirsty Butchers は...うーん,残念ながら興味は沸かない.悪くはないが格が違う.それ以上にステージ横にセット済みのトム・モレロ (Tom Morello, g) のギターが気になる.弦の余った分が無造作に残されている例のメイン・ギターをはじめダブルネック・ギターやら色々と置かれているのだから...あ,ギターおたくの血が騒ぐ!そんなチェックをする自分たちのポジションは前後に分けられたA・B ブロックのうちAブロック後方.自分たちの前方はモッシュ愛好者の野郎度数82%,後方は博愛主義者レディ度数66% (推定)という,モッシュに対する態度が見事に二分された場所だ.その移行帯に陣取った状態にて同行者は来るべき騒乱に不安を覚える.で,自分は「いや,ここだったら前にも後ろにも行けるから」と説得を必死に計る.いや,しかし.その判断は甘かったのだ. いよいよ4人が登場し,ザック・デ・ラ・ロッチャ(Zack De La Rocha, vo)が "Good Evening!" と叫ぶ.意図的なのか,狂喜する一同に対して間を置き,微妙にジラした後 "We're Rage Against The Machine, from Los Angeles, California!" と吠える.そして「Testify」「Guerrilla Radio」のニューアルバム2連発.ヤバい,ヤバい,ヤバい.演奏がヤバい,でもフロアもヤバい.A ブロックに一体どれだけの人が詰め込まれているのかよく分からないが,後方へ移動しても全く身動きがとれない. 3曲目は....あれ,どこかで聴いたことあるようなないような.少なくとも1枚目・2枚目ではないなー,って思っていたらサビの "Kick Out The Jams!" というフレーズで全てが関連づく.そうだ,MC5 だよ!ホントかよ,この曲カバーしてたっけ,なんて考えたいのはヤマヤマだがそんな余裕もなくフロアは更にパンパンとなる. ちょうどアタマの中に「乗車率250%,中央線中野 - 新宿間」などの言葉が駆け巡った頃だ.決定的な瞬間がやってくる.すし詰め状態に耐えかねた脱落者が一名,同行者の隣でグッタリとする. そして.その犠牲者の体臭が我々を襲う. そのニオイを両鼻腔で受けとめてしまった同行者がギブアップし,体調不良を訴える.よってAブロックより緊急避難. しばし休憩した後,幸いにも同行者の体調は復活の兆しを見せる.よって,以降はステージ後方,Bブロックにてマッタリと観ることを決める.A ブロックとは違い,後方にはゆったりとリラックスし座るエリアが十分に用意されている.まさか休みながらレイジを観るとは考えてもいなかったが,まあそれはそれで楽しい. 前述の通り,自分がギターおたく,いや,モレロおたくであることは認めざるをえない.忘れもしない,「Bullet In The Head」で初めて彼らの音を体験してモレロのギターに衝撃を受けて以来,モレロ技については可能な限りの解明を試みてきたつもりだ. なのに.今回のライブにおいてモレロの小技をいちいちチェックする気にはなれないのだ.確かに,モレロは相変わらずアホなことを色々とやっている.ノッケの「Testify」のソロではわざわざギターのプラグを抜き,ノイズ音にいちいちワウペダルをかけてアホな音を出す.「Guerrilla Radio」ではイントロでトレモロ系のエフェクターを新たに使用する.「Bullet In The Head」ではスライドバーを用いてランダムに出した和音にスイッチングをかける.「Born Of A Broken Man」ではエフェクターのセッティングが違うとか,「Tire Me」ではフレーズの音を変えてるな,とか,その位しかチェックしていない.本当に微々たるもんだ. でも.そんなことよりも. 音の塊だ!音が殴りかかってくる!その音塊が我々を襲い,その破壊力たるや圧倒されるだけだ.バンドのメンバーそれぞれがどのようなアクションを取っていたか,全くと言っていい程思い出せないのもそのためなのか.ステージ後方にいるゆえに,個人のプレイやアクションにとらわれることなく,そのインパクトが直撃するのかもしれない. 見せ場は次々に訪れる.「People Of The Sun」「Know Your Enemy」など,余裕に満ちあふれた四身一体のパワー.すでにクラシックと化した「Sleep Now In The Fire」における一音一音の説得力.「Born Of A Broken Man」「Freedom」のダイナミズム.モレロのあまりにも美しいクリーン・トーンのアルペジオにて導かれた「Bulls On Parade」のカオス. 本日のバンドのテンションは明らかに高い.それはザックの調子に象徴されるだろう.少なくとも,これまでの数々のブート音源やビデオでここまで至ったのは見たことがない."Yo! Yo! Yo! Yo!" と叫びながら観客を煽る煽る.あれだけ暴れながらそのテンションは尻上がりで,「Freedom」では "Freedom---! For Mumia---!" と叫び,アンコールの「Bulls On Parade」ではトムのキュッキュッキュッとしたギター・ソロがかき消されてしまうほどのシャウトが入る.エンディング近くの "Bulls on parade!" の繰り返しは余韻としてアタマの中で反響する.そして,「Killing In The Name」では気迫が全ての毛穴にまで伝わる. 結局トムのギター・プレイを殆どチェックする間もなく放心状態のままライブが終わる.未だかつてないほどニヤッとしピックを楽しそうに投げるトム.感謝の言葉を述べるザック.そして客電がついた後セットリストをゲットする自分. いかんせん「オール家具バザール」をやってる位だ.ライブ用に設計されたホールでないゆえに,残響音は特にステージ後方にてグルグル廻り気味だった.でも悔しかったのはそのくらいだ.あれだけのエネルギーがありながら恐ろしいほどクリアかつパワフルな音を出すレイジにはどういう会場がいいのだろうか?音楽専用のホールの方がいいのか,座席のない東京国際フォーラムなんかだったら心地よいのか,それとも赤坂Blitzか. いやっ.やはり野外だろう.何万人も,何十万も相手にして.フジロック99のように,レディングのように. ライブを見ていたときよりも,これを書いている今の方が何故か異様に興奮している.もしかしたら,すでに次回のツアーに向けて臨戦態勢に入っているのかもしれない.我ながら気が早いものだ.
*** これがゲットしたセットリスト *** ![]()
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Last updated: 6/ 27/ 00 |