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The Smashing Pumpkins | そんなこんなで甘い罠 |
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■ 日本武道館 - 6/23/98
この日のライヴの話しはやっぱりアンコールのところから始めねばなるまい。私はこれで完全にイってしまった。それはアンコールの拍手に呼び戻されてメンバーが再登場したときのことだ。まずそれまでひたすら寡黙だったダーシーがこんなことを言う。「今日は我々にとって特別なコンサートなのよ。この会場はとても伝説的なとこなのよねえ。ずっとここで演ってみたかったの。んでもって特別にこの曲を披露しま〜す。」 そしてビリーが続ける。「アイ・ウォンチュー・・・・・トゥ・ウォント・ミー!!」 その言葉を聞いた瞬間、声にならない声を上げて悶えまくった私。「うっそー!! チープ・トリックの曲だアアア!!! ライヴ・アット・武道館だー!!!!」もう目の前真っ白である。それでも「クライン・クライン・クライン!」のところではしっかりこぶしを挙げて叫んでしまった私。スーパー大反則技である。客の反応ははっきりいって「なんじゃこの曲は? でもノリがよくって楽しい!」ってもんだったけれど。
というわけで話しを最初から始める。開演15分ほど前に武道館入りした私だが、いつものようにスタンド席から人は埋まっていき、アリーナは開演時間を過ぎてもなかなか一杯にはならない。それでも開演時間を5分ほどまわったところでメンバー3人と、4人のバックミュージシャンがステージに現われた。今日は私が眼鏡を忘れてきたせいもあってステージはよく見えていなかったのだけれど、ビリー(G,Vo)、ジェームス(G)、ダーシー(B)ともども黒っぽい衣装で、ダーシーのパンツがピンクの模様が入っていて密かにかわいい。ギターはビリーがジャガーのような黒っぽく白のピックガードの入ったものでまず登場し、その後ストラトなども使っていたようだ。ジェームスも黒っぽいギターで、テレキャスなども途中で使用していた。
とにかく客の方もこのコンサートがニューアルバムの流れを汲んで、比較的静かなものになるということを知っていたのであろうか? アリーナはともかく、スタンドは1曲目から総立ちにならないどころか、半分以上は座ったままである。特に私の横の1階席南側は一部を除きまったく立つものもおらず、まったくもっての静観。私も何といっていいのか分からない。
一曲目は予想通りニューアルバムのオープニングを飾っていた「To Sheila」。後ろの客がさかんに「ヨシノブ〜!(=ジェームスの日本名)」と叫んでいたのが笑えた。音は武道館のわりにはそんなによくない。だがビリーの声は聞こえるから十分だ。その「ヨシノブ君」の短いソロも決まった。まずまずのスタートだ。
そこから間髪入れずドラムの短いフィルが入っての2曲め。ここまではステージ上が暗くてよくメンバーの表情が見えなかっのだが、ピアノのイントロが導入された次の「Tear」では一変してオレンジ色のライトがステージ上いっぱいに焚かれた。アリーナ左側の客がさかんに手を振ると、ビリーははにかみながらその方向へ指を差す。この「Tear」はオリジナルをはるかに凌ぐハードなアレンジで、個人的にもこの曲が一番よかったように思う。イハがリフを一生懸命弾いていたのも印象的。
背中からピックを投げ、正面でキャッチするという芸当を披露したビリー。そして前半の一番のハイライトになったのがニューシングルとしてヘヴィローテーションされている「Ava Adore」。多分今日のコンサートで一番客の乗りがよかったよかった曲ではなかろうか。次の「Daphne Descends」ではビリーが客席にタオルを投げるという嬉しいハプニングも。このあたりでようやくMCらしいMCがあったものの、「ここに来れて嬉しいよ。ええっと・・・・、ああ・・・・・・・」と言っておしまい。
しかしライヴの中盤でアコギを抱えたビリーがようやくいろいろ語り始めた。まずお約束のこれ。「発音するのスゲエ難しいんだけど・・・、ドモアリガトウ、スミマセン、コンニチハ、そして・・・・オハヨゴザイマス。」 もちろん客には最高に受けてはいたが、ビリー君、あなたもただのアメリカ人だったのね。もう日本に何度も来てるんだからそのぐらい話せたからって、わたしゃ驚きませんって。
そしてみんなに投げキスをしながらさらに続く。「ジェームスはちょっと病気でねえ。なんか日本で変なヴィールスみたいなのをもらっちゃったみたいなんだな。だからキスは勘弁してもらって、その代わり愛をみなさんにお届けしま〜す!」。そして「ワールドカップのサッカーは残念だったね。」と言ってキックの真似をするビリー。「ジェームスはロナウドよりもうまいぜ。」などと言うもイハは下をうつむいたっきり・・・・。まあこの辺は2人ともお茶目さんだということで許しておこう。
そしてお待ちかねの「Tonight Tonight」。アコースティックバージョンではあったが、私はイントロで分かってしまった。この後、長めのドラムソロがあり、まるでエアロスミスの「イート・ザ・リッチ」のイントロのギターリフ部分のドラムのようなリズムを刻んだところで(=分かるやつには分かる!!)、あの「Bullet With Butterfly Wings」の歌詞へ! オリジナルとはメロディーもアレンジもまるで違っていて、ものすごく新鮮かつより直下型になっている。でもやっぱ、前のテキサスでのライヴで聴いたこの曲のイメージがものすごく強く残っているので、やっぱこのアレンジはもうひとつと言った感じ。でもビリーの気持ちも分からんでもない。
ここでペットボトルを頭の上に乗せようとして失敗したビリー。思いっきりボトルをステージに叩き付ける。当然その後、ペットボトルは客席へ。これらはそれまでも各国で演じられてきたパフォーマンスでもある。
再びニューアルバムから「Shame」「For Martha」というスローな2曲をプレーして、ちょっとあっけなくステージを去っていったメンバー達。ダーシーが恥ずかしげに「ドモアリガトゴザイマシタ」と言ったのはほほえましかったが、客の方はなんかやや拍子抜けしたような感じであった。
しか〜し!! 最初にも言ったように、チープトリックの「I Want You To Want Me」で奴らは戻ってきた〜!! ちゃんと「ライヴ・アット・武道館」のように曲紹介付きで!! (だってスマパンって普段曲紹介をしないもんね。) そして続いてはお待ちかねの「1979」。この曲の中でもビリーはステージ向かって右側の2階スタンド方向を指さして「I want you.....to want me!!」と叫んでいた。しかしこの曲、テンポ早すぎ(笑)。私はもっとゆったり目の方が好きだ。
そして最後の「Blank Page」で幻想的な雰囲気を会場に残したまま、ライヴは終了した。この曲が終わると、ビリーは客席に降りてアリーナの客とハイタッチ。一瞬にしてアリーナ前方は無法地帯と化してしまった。
ジョイ・ディヴィジョンのカバーを最後にやると聞いていたのでちょっと拍子抜けの感はなくもなかった。しかしとにかく何度も言うが、チートリでイカせてもらったこの夜、後のことは頭真っ白で良く覚えていない。まあ、はっきり言えばみんながみんな満足したコンサートではないだろう。特にハードなスマパンを期待して武道館に来た人は、かなりの欲求不満を残したまま会場を後にしたに違いない。それに武道館というハコの性格上、やりたい放題に暴れまくるというのも難しいだろう。でも武道館という、世界のロックミュージシャンの夢の舞台でありながら、客を楽しませるにはかなりの難しい技術を必要とされるこの諸刃の剣のステージで、スマパンは最大限の用意と努力をしたと思っている。そして何よりもまずはこの感動への伏線と歴史を作ってくれたチープ・トリックに感謝!!
- To Sheila
- Behold! The Nightmare
- Pug
- Tear
- Once Upon A Time
- Crestfallen
- Ava Adore
- Daphne Descends
- Thru The Eyes of Ruby
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- Perfect
- Tonight Tonight
- Bullet With Butterfly Wings
- Shame
- For Martha
- I Want You To Want Me
(Cheap Trick Cover) - 1979
- Blank Page
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Send comments to: Katsuhiro Ishizaki Last updated: 6/ 24/ 98
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