The Rolling Stones

Texas Motor Speedway, Fort Worth, TX - 11/ 1/97

Mick & Keith  at Texas Motor Speedway
さて期待に反して後ろの方で見ることになってしまったストーンズ。だがそれでもステージまでは前に東京ドームで観た時の約半分の距離である。スマッシング・パンプキンズの熱いショーが終了して、ステージの入れ替え作業が始まった。場内放送が入って、まるで日本のアリーナ・コンサートのように、客に対して諸注意が促される(こっから始まるまでが長いことは日本もアメリカも同じ)。

余談だが,前にいた客がなかなかクールなTシャツを着ていて、それが気になってどうしようも無かった。ストーンズの他にZZ Top、 Fabulous Thunderbirdsの名前も書かれたもので、レアなやつに違いない。あまりにも珍しいので、いつのTシャツかと聞くと、81年のダラス公演の記念のシャツだという。16年もの間、ストーンズがやって来るたびにそのTシャツを着ていっているのであろう。まるでジョニー・ウィンターのような風貌の彼であるが、その話をする時の彼の顔は本当に嬉しそうであった。

さて、ステージ上に注意を向けてまず驚いたこと。それは開演前に流れていたSE。MGsからセックス・ピストルズ、そしてプロディジーまで。誰の選曲なのだこれは。プロディジーの「Breathe」を流すなんぞ、なかなかいいセンスだ。続いて流れてきた曲がオアシス。こりゃ流行に敏感なミックの仕業か。

そのオアシスの曲が終わった頃に場内が暗転。そしてステージ後方の巨大円形スクリーンがその姿を現した。その時客席から怒涛のような歓声が上がると、まずトラめのコートを羽織ってサングラスをかけたギターのキース・リチャーズがステージ前方に出てきた。ギターは白のピックガードの着いたテレキャスター。アフリカのジャングルを思わせるようなSEが一瞬止むと、キースがあの「Satisfaction」のリフを弾き始めた。するとステージ後方の巨大スクリーンから花火が炸裂! ものすごいオープニングに一瞬にしてからだ中に鳥肌が立ちまくる。

そしてヴォーカルのミック・ジャガー、ギターのロン・ウッドが登場。ドラムのチャーリー・ワッツは青いシャツで小奇麗にまとめている。場内はストーンズの代表曲でのスタートに、みんなで大合唱.....とまではいかない。思ったより静かである。やっぱテキサスってこんなもんか。

それにしても、音のいいことったらありゃしない。キースのギターも、ミックの声も本当にクリアーに聞こえる。前の東京ドーム公演での音質にはがっかりさせられていただけに、非常にうれしい。ちょっとロニーとチャーリーの音がいまいちよく聞こえない、というよりもキースのギターの音が馬鹿でかい。でもライヴハウスで観ているような錯覚に陥るようで、こりゃあうれしすぎる。

続いて「It's Only R&R」。キースが持っているのは赤いES系のギターだ。Rock n' Roll系の曲はほとんどこのギターを使っているようである。鳴りも非常にいい。キースのコートにもすごくマッチしている。Voodoo Lounge Tourの時のようなベース、キーボード抜きの間奏も聴かれて、キースのギターが更に強調されているような感じだ。

続いてブギっぽいピアノの音が流れてきた。後ろの客がすかさず「Let's Spend the Night Together!」と叫んだ。おお! 初めて聞く「夜をぶっとばせ」だ!(笑) キースのギターは驚いたことに5弦ギターである。それで「Still Life」の「Let's Spend」のようなリフを刻んでいる。非常にオリジナルに近いアレンジで、この曲から登場したコーラス隊も大活躍。新加入のコーラスの1人、ブロンディ・チャップマンの顔がスクリーンに大写しになり、一瞬そのWeirdな顔に圧倒されてしまう。しかし、スクリーンの映りが非常にきれいだ。ステージ上のメンバーの動きもよく見えるのだが、どうしてもその巨大スクリーンに目が行ってしまう。

ここでミックのMCが入った。ひとつ日本のストーンズコンサートと違うことに気づく。それは当然のことながら、みんな英語が分かるということである。すなわちミックの言うジョークや皮肉が分かるということだ。私にはいまいち聞き取れないことが多かったのだけれど、結構様々なジョークが飛んでいたようで、みんなげらげら笑っていた。

ニューアルバムから「Flip the Switch」。テンポは若干オリジナルよりスローな感じ。キースのギターは再び白いピックガードのついたテレキャス。やっぱイントロはああ弾くんだあ、などとちょっとお勉強しているうちにあっという間に終了。客はここでちょっと一服といった感じ。続いて「Gimme Shelter」のイントロが聞こえてきた。キースの赤ギターから怪しげなリフが響き渡り、コーラスのリサ・フィッシャーの声がその怪しいムードをさらに駆り立てる。テンポは限りなくオリジナルに近い感じ。キースとロニーのソロがゆったりとしたタメを作っていて、こっちをのけぞらせてくれる。

さてここでミックがアコースティックギターを抱えてMCを始めた。何をやるんだろうと思っていたら、この日のサプライズ「Dead Flowers」が登場。テキサスでのコンサートであるがゆえのこの曲。カントリーを意識してのものである。ナッシュビルのギグでも「ファーラウェイ・アイズ」をやったとのことであるから、地域性を考慮してのことであろう。個人的にカントリーは積極的に嫌いだが、こういうサプライズなら大歓迎である。この曲でキースは白のピックガードのついたテレキャス、ロニーはBベンダー付きのテレキャスを持って演奏していた。なんかロニーのソロはいまいちだったけれども、二人でリックを弾きあっている感じで、ちょっといつものヴァージョンとは違って聞こえた。一緒に歌いまくる私。前の客がその声を聞いて振り向く。でもやっぱこの曲はマイナーな部類に入るのであろう。私の盛り上がりと裏腹に、オーディエンスの反応はいまいちなものであった。

ミックが「howdy」といってひとつ笑わせた後、「Anybody Seen My Baby?」のベースラインが鳴り始めた。オリジナルはダリル・ジョーンズのものではないが、ここで聴ける彼のベースもなかなかいい。しかし問題はミックで、オクターヴを上に行ったり下に行ったり。モロにLove Is Strong状態に陥っている。キースは相変わらずガーンとやっているが、そのメインのベースラインをきれいになぞることもあった。ロニーはまだおとなし目の感じである。ラップの部分はミックとコーラスのバーナード・ファウラーの2人で取り、途中にテキサスの名前が入ると、会場から歓声が上がった。でもオリジナルの方がいいな、この部分は。



次は「Bitch」だ。「This is called Bitch」と紹介した時の皆の反応は薄い。この曲ではホーン隊が活躍。Steel Wheels Tourの時のそれよりも格段とR&Rしていて、サックスの音も邪険に聞こえない。続いてニューアルバムから「Out Of Control」だ。客はぼちぼちと座り始める。Voodoo Lounge Tourの「Sparks Will Fly」を思わせるライティングに、若干盛り上がりを取り戻す。ロニーはワウペダルを踏みながらのカッティングだ。この曲の後半でのミックのダンスは素晴らしかった、というかミックらしかった。

さて、うわさのインターネット投票結果発表の時間である........

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Last updated: 11/ 2/ 97