Third Eye Blind 暮れなずむ街に贈る言葉

Deep Ellum Live, Dallas, TX - 11/22/97


Third Eye Blindのボーカル、Stephanのコメント。「みんなもう知ってるだろうけど、俺ら今U2とRolling Stonesの前座でまわってるんだけど.....まったくもうダラス来るのが待ちきれなかったぜえええ!!」。そう、ちょうどThird Eye BlindはU2とStonesのスタジアムツアーの前座の真っ最中。ちょうど前日がNew Orleans、翌日が同じテキサスのSan AntonioでのU2のライヴのオープニングアクトを務めることになっていて、ちょうどこの日がなぜかぽっかり開いていたのである。そんな背景もあって組まれたこの日の単独ギグであるなのだけれども、デビューしてまだ日が浅いというのに、スタジアムコンサートをしてきた余裕もあってか、とにかく堂々とした風格さえも感じさせるライヴであった。

しかしながらまだそんなにシングルヒットに恵まれているわけでもないので、この日のDeep Ellum Liveは約6割程度の入り。でも客電が落ちた時の客の歓声は、今までこの会場で観たライヴの中で最も大きかったような気がした。

1950年代を思わせるSEが続いた後、突如ステージに光が当たる。続いて「Losing a Whole Year」のイントロがKevinのギターから流れ出した。なんか変な形と色のギターだ。ヘッドの部分にはぽっかり穴まで開いている。一方ヴォーカルのStephanは、ヒョウ柄のコートを羽織って1曲目から大熱唱。そして私の目を特にひいたのが、ベースのArion。長い髪を後ろで一つに縛っている彼の姿は、在りし日の、いや若き日の武田鉄也そっくり。非常に愛敬のある表情に一瞬心が和む。

バンドをフィジカルに扇動するのがStephanと坂本金八、いやベースのArionだ。跳ねる、跳ねる、飛ぶ、飛ぶ。それとは対照的にギターのKevinとドラムのBradはどちらかというと黙々とプレーをしている感じ。この構成、まるでReefのようだ。あ、そういや彼ら、つい最近までReefとツアーしてたんだっけ。

ヴォーカルのStephanだが、その声は文句無く素晴らしい。レコードよりもたくましくなっている感じで、ひ弱な感じは微塵も見せない。彼はギターも時々弾くのだが、特にひっきりなしにギターを取り替ているのが印象的だった。それも曲中に交換するんだもの。同じモデルの色違いのなんかも持っていて、隣の客が「あ、今度は緑だ。前は赤だったよねえ」などと言うので気が付いた。時々リードギターよりも音がでかいなんてこともあったし。

「I don't want to go to London」と言って始まった「London」。Stephanの弾き語りの「I Want You」、和みに和んだ「How's It Going To Be」などなど、デビューアルバムからはほとんどの曲をやってくれた。それに加え、パンクナンバーのカバー、そして新曲も披露。この新曲、ベースラインが非常に気持ちよくって、この日のパフォーマンスの中で個人的に最も気に入ったナンバーである。

しかし、こんなに幸せな気分にさせてくれたライヴは久しぶりのことだ。多分私、終始ニコニコしていたように思う。そしてこの日始めてダイヴしている人達が羨ましく思えた。その若者達が気持ちよさそうに客の頭上を転がっていく様を見ているだけで、幸せな気分になっていくのだ。そんな不思議な魅力を持ったThird Eye Blind。彼らのロゴマーク「3b」が今、3年B組に見えて仕方が無い。


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Last updated: 11/ 23/ 97