Tonic (& Summercamp) 秋風漂うこの頃

Dallas Music Complex, Dallas, TX - 10/17/97


なぜ見出しが(& Summercamp)なのかって? それは私が見逃しちゃったからさ。場所間違えて探しまくった挙げ句、会場に着いたときにはもう彼らの出番は終わってた。でも、「俺はSummercamp観に来たんだぞお!!!」って叫んでみたところでもう遅い。みんなメインのTonic待ってんだから。

この日の会場のDallas Music Complexは、よっぽどダラスの地理に詳しい人間でない限り知る由のない、とてつもない辺境の地にあった。Dallas Music Complexという名前自体はそれっぽいが、しかしこの先にも後にもここでのライヴの予定は組まれていない。中はまるで巨大な自動車工場の抜け殻のようで、鉄筋が所々むき出しになっている。推測するに、ずっと閉鎖されていた音楽ホールを、突然この日のコンサートのために整備し直したのではあるまいか。落書きされ放題の外観を見るに、そんな印象を強くした。

最初にも言ったけれども、遅刻してしまったのでお目当てのSummercampは観れなかった。そこで帰ってしまってもよかったのだが、チケットは取ってあったし、この会場を散々探しまくった挙げ句に何も見ずにすたこら帰るのもしゃくだったので、Tonicは観ておくことに決める。シングルの曲ぐらいしか知らなくてそんなに期待していなかったのだけれど、開演前はOasisの曲がガンガンかかっていてそんなに気分は悪くない。Tonicのメンバーは、Oasisに相当入れ込んでいると見た。なにせ「Be Here Now」まるごとかけてたから。

さあLed Zeppelinの曲にのってメンバー登場(注: Tonic関連のWeb Siteによれば、彼らはLA出身で、Clash, U2, Pixies, そしてLed Zeppelinなんかに影響を受けているらしい)。ボーカル(Emerson Hart)以外のメンバー3人(G - Jeff Russo, B - Dan Lavery, Dr - Kevin Shepard)のルックスは悪くない。そのボーカルのEmersonはアコギを持ち、ストロー・ハットをかぶっての登場。いきなり一曲目からどっかで聴いたことのあるナンバーだ。客の方も最初は少しモッシュが起こったが、曲が進むにつれてみんなおとなしくなっていく。なんでも新しいアルバムが間もなく出るとかで、そのプロモーションのためのツアーということならしい。よってニュー・アルバムからの曲もかなり演奏されていたようで、よく言えばじっくり聴いているような、悪く言えばひどく退屈しているような、そんな雰囲気がオーディエンスの方にはあった。

でも演奏は文句のつけようがないぐらいにうまかった。というか、ボーカルのEmersonが何度も歌詞の説明をしていたことからも分かるように、異常なまでに生真面目なバンドであった。彼らがこのステージに至るまでには、これまでに相当な長い苦労があったであろうことが容易に想像できるような、そんな風情を持っていた(注: またしてもTonic関連のWeb Siteによると、本当のところ彼らはデビュー以来どうやらあんまりこれといった苦労もないらしい)。コーラスは抜群にうまいし、ギターも絶対に外さない。しかし、あんまり上手すぎて生真面目なもんで、なんかもう一つ足りないなあと無い物ねだりをしてしまうのも事実。いいバンドなんだけれども、このままだとこの先きついかなあ、って気も正直してしまう。そういった意味でも、今がこのバンドにとって最も旬な時なのかもしれない。

本編をいま全米でバカ売れ中のシングルで締め、その後のアンコールの2曲をドラマティックに展開させて終了。1時間ちょっとのライヴであった。しかし返す返すもSummercampを観れなかったのはちょいと痛かった。Tonicも健闘したと思うのだけれども、しかし私には彼らのライヴビデオでも見たかのような断片的な印象しか残っていない。ライヴハウス内の扇風機の風もちょっと冷たかったし。夏は終わっちゃったんだなもう。Summercampも行っちゃったしね。


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Last updated: 10/ 18/ 97