Wilko Johnson これもフジロック

フジテレビ - 5/22/99

with Sheena & Rokkets + Polysics
+ デキシード・ザ・エモンズ


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「Factory」っていうフジの番組

フジテレビとかスカイパーフェクTVなんかで放送されている「Factory」って番組知ってる? いや、自分も知らなかったのだ実は。 でもスマッシュのホームページで、この「Factory」という番組の観覧者を募集しているってことで、なおかつ「ウィルコ・ジョンソン、シーナ&ロケッツ、ドクター・ジョン(!)、ポリシックスが出るってことで何気に応募してしまった。そしたらある日、突然携帯が鳴って、「フジテレビです。ご当選おめでとうございますー。」って感じで権利が当たってしまったんす。

というわけで、当日午後4時にフジテレビ1階正面口に集合。番組収録の終了は夜9時で招待客は約300人とのこと。まあ応募した人がどれぐらいいたかは全然知らないのでなんとも言えないけれど、シナロケやドクター・ジョンのファンはこの「Factory」って番組を観てないかもね。 

がしかし喜んだもつかの間、またフジテレビから電話があって、「ドクター・ジョンさんは都合により出演がキャンセルになりました。」とのこと。 がっかり。 一番観たかった人だったのに。「それでもご覧になります?」との問いに力なく「はい、とりあえず行きます・・・・」と答えるのが精一杯。 でもタダだからね。 文句は言うまい。


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恐るべし、ナマ「Factory」

そして当日。 お世辞にも手際がいいとは言えないスタッフの誘導作業にちょっとイライラしながらも、なにはともあれ初訪問のフジテレビ社屋を見学。 新しい割にはそんなに中は綺麗じゃないね。 

一応、番組収録のスタジオは3階だか4階だかにあった。 でもここはすごい。 まるでライヴハウス。 セットもしっかり組まれているけれど、張りぼての印象はまったくなし。ステージも広くて、これでもか、ってぐらいに前から後ろからスモークが焚かれている。 SEもしっかりしていて、カメラが数台あることを除けばほんとにこれはまるでライヴ会場。 「まあ各アーティスト2,3曲演奏して、インタビューとか長々とやって、そんで番組のADとかにしこたま拍手の練習とかやらされて・・・・・」と思っていた俺が大間違い。 これは完全に300人収容のライヴハウスであり、趣は完全にライヴコンサートである。 (・・・なんでもジョンスペやドラゴン・アッシュ、ブランキー・ジェット・シティー、ミッシェル・ガン・エレファントなんかも演奏したことがあるらしい・・・・・とは言っても番組知らないんだからしょうがない。) お客さんも老若男女様々だ。


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ポリシックス & デキシード・ザ・エモンズ

そして本当のライヴみたいにいきなりポリシックスがステージ上に踊り出てきた。 しかしながら彼らに対する知識は、掲示板で数人の方がちょっと書きこんでいたのを拝見していて名前は覚えていた、って程度。 まあ全然知らないのとほぼ同義ですね。

しかしこの話題のバンド、マジでかっこよかった! メンバーは揃いも揃って、サングラスをしながら「P」と書かれたオレンジのつなぎのようなものを着用。 ドラム+ギター+キーボード(+α)のベースレス編成。 その楽器構成もものすごいが、曲もいままでには聴いたことのないようなデジタル&ハードロックみたいな感じで、とにかく新鮮だった! ギターはステージを飛び跳ねるし、マイクスタンドも倒すし、それでいながらしっかりギターリフとギターソロは決めるし。 もう聴き手をどんどん引き込んでゆく。 もちろん彼らのファンもたくさん来ていたみたいで、メンバー登場と同時にフロア前方に駆け出した輩もかなりあり。 もういきなり大盛り上がり大会である。

しかし、この番組に対して、ある意味でミュージックステーションみたいな、ああいう杓子行儀な音楽番組みたいなものを想像していたので、何度も繰り返しになってしまうけれども、このごく自然なライヴ空間が、こんなテレビ局の収録スタジオに創造されてしまっていること自体がたいそうな驚きだ! ほんとにすごいなこれは。

しかしいかにもテレビらしかったところが一点。 スモークを焚きすぎてドラマーが見えない(笑)。というかドラマー自身も前にいるメンバーの姿が見えなかったはず(笑)。 でもまあいいや。濃厚な曲を3つ4つ演奏してくれたポリシックスに免じて許す。

続いてはボサボサの頭で黒のスーツ(?)に身を包んだ司会の小西康陽(ピチカート・ファイヴ)が突然ステージ右手に現れて会場にご挨拶。今日の出演バンドがいかに素晴らしい面々かをそれぞれに紹介して、今度はドクター・ジョンのピンチヒッター、「デキシーズ・ザ・エモンズ」が意気揚揚とステージへ。

このバンドも文句なく当たり!!! ギター、ベース、ドラムのスリーピース構成だが、まずドラムセットがステージ右手前ってとこがすごい。そんで百面相のベーシストはステージ中央奥、ギタリスト兼メインボーカリストはステージ左手前、といった感じでもうヴィジュアル面からエキセントリック。 演ってる音楽はモロ60〜70年代のソウル、ファンク、ポップ、といった感じなのだけれど、いやあ、一瞬女性と間違いそうなほどに細いボーカル兼ギタリストがこれまたすごくいい!! セミアコを抱えて、顔でギターを弾く(笑)。 右手が意味なく回る回る回る。 へたれのピート・タウンゼントみたい。 突然思い出したような含み笑いはタイミングを推し量ったかのような精密さ。 いやあ、両手振り振りステージを去っていくあの姿もかっこよかったなあ。(・・・・全然レポートになってない。)  

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シーナ&ロケッツ

そしてまあ、メインのシーナ&ロケッツ。 小走りにステージに踊り出てきた鮎川誠は・・・・・細い!! 細すぎじゃあこのオヤジはぁ! 前のデキシード・ザ・エモンズのギタリストの線の細さも並じゃなかったが、鮎川の細さはさらに尋常じゃない。 アバラが浮き出ている。 そしてその鮎川が九州弁全快でなにやらくっちゃベッた後、鮎川ボーカルの曲へ。 まあ普通のロックンロール。 ドラムとベースはひたすらエイトビート。 鮎川のギターは轟音。 耳が痛い。

2曲目の「You Really Got Me」(・・・・なにせ自分はカバーしか知らないの・・・ごめん。)でボーカルのシーナが登場。 当然、生地が覆う面積が極端に少ない彼女の下半身に視線は集中。 そしてこれまた人間業ではない線の細さ。 顔もナマだとそんなに悪くない。 「博多から羽田に降りて、そこからここに直行よ〜ん」と言うシーナは、シーナなりのシーナである。

そこからはひたすらロックンロールでぶっとばす。まだやるか、まだやるか、まだやるか〜〜!!って感じでセットリストも作ってないのに、シーナと鮎川がその場で次の曲を決めながら10曲以上演ってから、さらにお気に召しませ「レモンティ」!! 司会の小西康陽が前説で「今日はレモンティ演ってくれますかね〜?」と言っていたが、当然のことながらシナロケは演る。 前夜、新宿のローリングストーンで、「ストロール・オン、トレイン・ケプト・ア・ローリング、もしくはレモンティ」「レモンティ絶対にお願い!」とリクエストしたのだけれど聴けなかったので、ここでは本当の音を浴びながらその欲求不満を解消させてもらう。 


ウィルコ・ジョンソン

そしてウィルコ・ジョンソン。ちなみに彼は、ミッシェルガンなどにも強い影響を与えたドクター・フィールグッドという伝説的なパブロックバンドのギタリストでもあり、メジャーデビュー前のミッシェルガンエレファントとライヴをしたことがあることでも有名。 シーナ&ロケッツのリスペクト事業の一環として今回の日本ツアーは実現し、ウィルコ・ジョンソンのバンドの中には、イアン・デューリーのバンド(・・・・本家フジロックにも〜〜。)のメンバーだったプレイヤーがベーシストとして起用されている。

黒いテレキャスターのフィンガーピッキングでガシガシとリフを刻みながら、暇があれば前、後ろ、上下、左右と、まるでラジコンのようにカクカクと動き回るウィルコ・ジョンソン。 当然、ギターからアンプにはカールコードのダイレクトプラグインで、音量の調整すらほとんどなく、ひたすらもうコードカッティングをビシビシと繰り返す。 時々ブラッシングストロークみたいな空ピッキングが入るとこなどはまるでミッシェルのアベである。 髪の毛の残り少ない、志村けんと高松茂郎を足したような濃いベーシストのほうが音数が多い感じ。 ほんと、シナロケってよりは、まさにガレージパンク。 ちょっと洗練されすぎの感じもないわけではないけど。

5,6曲演奏したところで最後の曲。 おお! これはドクター・フィールグッドの曲ではないかぁ。 クラブで何度か聴いたことがある! 「ずっずっずっず、ちゃららら」というリフは一度聴いたら忘れませんって。

この曲を最後にステージを去ったウィルコ・ジョンソン。でもねえ、ライヴ前からずっとシナロケの機材がステージに据え付けられたままなんだよね・・・・・・。だからこの後の展開は自然と読めちゃう。

1分もしないうちにウィルコ・ジョンソン・バンドがシーナ&ロケッツを引き連れてステージに再登場。 ウィルコと熱い抱擁を交わす鮎川誠。 これはテレビ的に大変美味しい。 

そして当然曲は「ジョニー・ビー・グッド」。もう会場大爆発。 自分も爆発に加わっちゃう。 カメラは客のほうばっかり撮ってたのだけれど、テレビに映ってないといいなあ。 鮎川は肝心のソロのところでシールドがギターから抜けるアクシデント。 でもどういうわけだかウィルコはニコニコ。 みんなニコニコ。 シナロケのドラムはタンバリン。

2曲目はやっぱりドクター・フィールグッドの「バック・イン・ザ・ナイト」(←たぶん。サビはそう歌ってた)。ウィルコがボーカルよん。

そんで、そのいわゆる大フィナーレが終了してみんなステージを降りて、まあこれで終わりだろう、と思いつついつものライヴのように一応アンコールを求める拍手をしてみる。 でもすぐにわかることだけれど、これはテレビ番組の収録なのである。 実際にスタッフは機材の撤収作業に入っているし、アンコールなんてあるはずねえだろ・・・・・・・・・と思うがつかの間、ステージにウィルコ・ジョンソンが再登場! 呆気に取られるスタッフ。  そしてギターも片付けれられてしまった模様。 探すウィルコと喜ぶ客。 慌てるカメラクルー。 そんな風にして「うぃぶ・がっと・わん・もあ・そーんぐ! じす・いず・あ・そーんぐ・おぶ・らーぶ!」と言いながら始まった曲は・・・・・・知らない(笑)。 でもたぶんドクター・フィールグッドの曲なのかな。 ウィルコはさっきよりも全然ニコニコ。 欽ちゃんジャンプも見せたし。


番組収録終了後に思ったこと

収録後、といっても特に変わったことはなかったのだけれども、まあスタッフの決して手際のいいとは言えない、まるで小学生の遠足みたいな退場誘導にちょっといらいらさせられながら、とにかくフジテレビを無事に後にした。

しかしここまで読んでいただいてわかるように、テレビ番組の収録ということをまったく感じさせない、はっきり言ってこれは普通のライヴと同じである。 若いバンドから年季の入ったバンドまで出演したライヴイベントである。 これが無料なのである。 あ、無料どころかEVIAN飲み放題のおまけ付きである。 やたらとセットチェンジが速いし、フロア内も各自の自主管理に任されている。ステージ上のカメラも全然気にならないレベルだったし、バンドの方もそれを気にしている様子もなかったなあ。

・・・・でも自分はこのライヴのオンエアがいつなのかを知らない。


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Last updated: 5/ 23/ 99