Guitar Wolf よんこくフィーバー

仙台マカナ - 3/3/99


約1年半ぶりのギターウルフだ。当時は彼等のギグを仙台で観ることになるとはまさか思ってもみなかったが、とにかくこのキャパ200のハコでギターウルフを拝めるとは何と素晴らしいことか。それもチケット代はたったの2000円である。この日ばかりは高速料金を惜しまず出すことができた。こんなケチな俺なのに。

前座が2組出演したらしいが、自分は2つ目のバンドをチラっと観ただけなので、詳細は割愛。 しかしとにかく演奏は下手だった。 でもパワフルだった。 面白かった。 ベンチャーズのフレーズがしつこかった。 ストラトでガレージパンクは珍しかった。 「仙台かかってこいよ!」と言われて困った。 でもなんかいい人達そうだった。

そしてメインのギターウルフは1年半前に観たときと何も変わっちゃいなかった。

まずドラムのトオルが自らドラムのセッティングをする。 もうこの時点で笑えた。 すべてのセッティングが終了して15分ぐらい経った8時きっかりにベースのビリーが登場。 いきなりベースをベンベケベンベケ、これも変わっちゃいない。 最後にギター&ヴォーカルのセイジが登場。 いきなり「和田くんいる? 和田くん? いたら手を挙げて〜」ときたもんだ。さっぱり訳わからん。 そしてセイジは缶ビールを一気に飲み干して、片やビリーはクシで頭のリーゼントを整える。 これも前とおんなじ。 セイジのギターは(たぶん)ギブソンのSGモデルでビリーのベースはプレシジョンモデル。これも前とおんなじ。 3人ともサングラスに革ジャン姿。 当然これも前とおんなじ。 ちなみにセイジのインナーは黄色いTシャツ。 これはちょっと違ってるけど。 ビリーのインナーがタンクトップ。 これはおんなじ。

セイジとビリーはそれぞれ左右に分かれステージサイドによじ登り、スピーカーに手をかけながら吠える、煽る。 でも客がついて来られない。 「久しぶり、仙台。 1年ぶりだね。」というとちょっと歓声。 するとやっと1曲目の「ジェットジェネレーション」へ。 

なんとしたものか、ギターウルフのくせに音がいい。 ヴォーカルの歌詞も見事なまでに聞き取れるし、セイジのギターの鳴りがものすごくよくて、「あー、SGの音だー」とはっきり分かるし、ギターの音がくっきりとした輪郭を持って耳に届いてくる。 時々、「音量上げろ!」風にジェスチャーするのはいつものことだが、なんかいい意味でギターウルフじゃないみたい。

お客さん達もダイブはなしでモッシュもなし。 というかダイブするには前方のスペースがなさすぎ。そしてモッシュするにはフロアのスペースがなさすぎ。 そんなもんでフロア中央で楽勝で観させてもらう。 もちろんみんな踊ってジャンプして歌いまくってるんだけどね。

そしてもうここからは観たことがある人には分かる、観たことがない人には全然分からない、ギターウルフ恒例パフォーマンスのオンパレード。 「ロッケンローーーーー!」と叫ぶ回数こそ少なかったが、「仙台カモンベイベーーーーー!」と言うのは当然でしょう。 「伊達政宗ベイベーーーーー!!」っても叫んでたし。 「フジヤマ・アタック」は「ジャイアント馬場に捧げる。」と言って始まったし、ライヴを開始してすぐにトオルは革ジャンを脱いで上半身裸になっちゃったし、ビリーも4曲目ぐらいでタンクトップ姿になって頭振り乱してるし、セイジは革ジャンを脱いで、Tシャツも脱いだかと思えば、革ジャンをまた着るし、おまけに振り向きざまにペットボトルの水をぶちまけてビックリさせるし、投げたビールの缶は誰も拾わないし、ソロを弾き終わった瞬間に必ずぽーんと弾けるし、ジミヘンポーズで頭の上でギターを弾くし、ピート・タウンゼントポーズで右腕を振り回してカッティングをするし、ビリーがメインボーカルを取る「サマータイム・ブルーズ」に入るときにセイジは、自分のマイクスタンドをわざわざ中央に持ってきちゃうし・・・・・・という感じ。 もちろんギターの弦が2本ぐらい切れちゃったのに、そんなことをお構いなしに弾きまくっていたことは言うまでもない。

客をステージに上げてギターを弾かせるあの芸当ももちろん忘れちゃいけない。 今夜そのラッキーカードを引き当てたのは、丸坊主で身長165cmの「千代大海クン」(セイジ命名)。最前列中央で観ていた彼は、セイジにごぼう抜きにされただけではまだ足りず、スタッフの力を借りてどうにかステージに上がることができた。 そこからはもうセイジのなすがままに、黄色いギターピックを大事そうに預けられ、無茶苦茶なギターカッティングをさせられ、ジャンプを強要され、スタッフにも煽られてガッツポーズなどもして、結構それなりに楽しんでいた模様。 その傍らでセイジはフロアーに飛び出してボディーサーフを楽しみ、汗を飛び散らしながらジャンプをしまくり、しまいには「サンキューベリマッチ、千代大海!!」と来たもんだ。 でも爆笑した。

アンコール・・・・などという大袈裟なものでもなく、本編を終わってすぐにステージに戻ってきた3人。 上半身裸のセイジからは、「今までで一番だぜ仙台!!」なんて言葉も聞かれたが、これはどこででも言ってる言葉なのかな? まあとにかく「カミナリワン」でも吠えまくり飛びまくりのセイジで、ドラムセットから頭をぶつけるんじゃないかってぐらいに天井ギリギリまでジャーーーーンプ!!

「まあ雪国のみんなに聞くのもあれなんだけど、バイクに乗るやついる?」「そん中でKawasakiのに乗ってるのいる?」と聞くと、「環七フィーバー」へ。 もう最高にベタな振りで思いっきり笑ってしまうが、2回目のアンコールも面白かった。 「仙台ってかなり都会に見えるんだけど、自分を都会人だと思ってる人、手を挙げて〜」・・・・・挙手するもの誰もなし。「じゃあ田舎ものだと思ってる人手を挙げて〜」・・・・・挙手するものかなり多し。 思わず苦笑いするセイジ。 「じゃあそんな田舎ものに捧げます。島根スリム〜!!」

とにかく最高の1時間半だった。 トオルはトオルでドラムから水しぶきが上がるほどの熱演。 ビリーのリーゼントは崩れまくりで、ちょっと粋がったサラリーマン風に見えたのもなかなかの好印象。 セイジは言わずもがなでギターのチューニングは狂いまくり、ソロは外しまくり、そしてリズム崩れまくり・・・・・。 でもそれ以上にこの人はやっぱかっこいいよ! 自分が「ジェットジェネレーション」のディスクレビューで書いたように、「もはや笑いさえも通り越して残った強靱さ」・・・・・これに尽きると思う。 こんなステージを毎日、世界中で繰り広げているギターウルフって本当にすごいと思う。 もう徹頭徹尾、骨の髄まで染みついたプロフェッショナリズム。 「俺が観たいのはこれなんだ!!」「エンターテイメントとはかくあるべきだ!!」「ロックンロールのかっこよさってこういう形でも表現できるんだ!!」などということを改めて再確認させられたギターウルフ仙台公演。・・・・・昨日は青森で、そして翌日は新潟で、またこんなステージを繰り広げていったんだろうな。


 ・・・・・いや本当にこれを世界中でやってるんだよ。 マジですごいよこれは。



  • ジェットジェネレーション
  • ミサイル・ミー
  • 宇宙人ガール
  • サイボーグ・キッス
  • フジヤマ・アタック
  • ガクラン・ライダー
  • サマータイム・ブルース
  • インベーダー・エース
  • オールナイトでぶっ飛ばせ
  • ワイルド・ゼロ
  • マシンガン・ギター

  • カミナリワン
  • 環七フィーバー

  • 島根スリム
  • 爆音ブラッド


↑ ソングリストだけど、最初の方と最後の方を除いて曲順はバラバラだ。 なおかつ抜けている曲もあると思うけどその辺はご勘弁を。 というかその辺指摘してもらえると嬉しいです。ちなみにタイトルにある「よんこく」とは、東北、関東地方を縦断する「国道4号線」の略称です。


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Last updated: 3/ 4/ 99