Zebrahead メタリカポイズンガンズン

渋谷クラブクアトロ - 4/12/99


珍しく仕事中に携帯が鳴る。「あのう・・・Kowalskiなんですけどぉ・・・」。はいはい。ここのライヴレポートではお馴染みのええ男Kowalskiさんからの電話だ。「ゼブラヘッドのチケット余ってるんですけど・・・・千円でもいいんで・・・」

そして7時過ぎ。なぜか知らないけれどスーツ姿で渋谷のクアトロに向かっている自分がいた。前日のベック公演の時に集まった仲間には、「絶対にスーツ姿でなんてライヴに行かないよ! 着替えて行っちゃうもんね。」と断言していたにもかかわらず、その翌日からこれである。なおかつよりによってゼブラヘッドである。あの美脚のお姉さんがスペーシーに写っているジャケットをご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれないが、彼らの音楽はもろハードコアである。ハードコアでクアトロ。よってスーツ姿はかなりヤバい。いや逆にこれってロックかもしれない。逆にみんな「あ、この人ってこんなにしてまでライヴを観に来るほどゼブラヘッドが好きなのね。」と思ってくれるかもしれない。でもゼブラヘッドのことはほとんど知らないのだけれど。

そして腰の低いKowalskiさんと合流していよいよクアトロへ。月曜なのに結構お客さんは入っているみたいだ。しかし当然のことだが前日のベックの時のオーディエンスの感じとまったく違う今日のハードコアな面々。みんな完全に臨戦体制だ。ほとんどの人がすでに半袖。というか実は会場入りしたとき、すでに前座バンドの演奏が終わっていたためかなんかやたらと蒸し暑い。

そんなこんなでゼブラヘッドのショーがスタート。やたらとフットワークの軽いバンドのノリで、オーディエンスをあっという間に彼らの世界に引き込んでしまう。ちなみにギターx2で、一応のリズムギタリスト君(ジャスティン。一応男。)は自分で言うのもなんだがかなりの大顔なのだけれど、一応バンドの先導役を担当。曲のサビは大体彼が受け持つ。もう一人のギタリスト(グレッグ)は普通のまじめな大学生風なんだけれども一応リードギタリストということで、テクは激ウマ。 ベースは崩れ太っちょレゲエミュージシャンみたいで、サングラス装着のドラマーの傍で結構淡々とリズムを刻みつつ、なにげに突然変なポーズをしたりする。 そして肝心のボーカリスト(アリ)は短いオレンジの髪でちょっと無国籍風。主にラップのボーカルパートを担当。

4曲目に、Kowalskiさんから昔もらったテープに入っていた結構有名な曲をプレイ。やっぱりサビはリズムギタリスト君。そしてリズムギタリスト君は早速ステージダイブ。なおかつこのリズムギタリスト君、やたらと「どうもありがとう」の発音がうまい。日本人よりうまい。「東京大好き〜」なんて日本語ははじめて聞いた。「昨日のギグにも来た人いる? 今日のギグは昨日のよりも全然いいやつにすっかんねぇー!」って感じで気合入ってる〜。しゃべり方はまるでグリーン・デイのビリー・ジョーみたいだ。「You fuckin' ball, man !!!」なんて言われて笑って応えている彼はいいやつに違いない。一人喋りまくった後に、「そういやみんな俺の言ってることわかんないんだよね、」と言うと客の一人から、「分かってるよー!」ってな声が上がると、「お、お、おめえ分かってる? マジでうれしいっすよー。」と言ったかどうかまでは知らないが、とにかくかなり喜んでいた。(ような気がした)

とにかく動き回るメンバー。もうとことんプロフェッショナルで見せる見せる見せる。色々なものを投げる投げる投げる。客は騒ぐ騒ぐ騒ぐ。スーツ姿の自分が本当に恨めしい。同じロサンゼルス出身のベックもプロフェッショナルだが、ゼブラヘッドはそれとは全然違うベクトルに突き進みつつこれはこれでまたプロフェッショナル。

ライヴ半ばで、「昨日のギグとは全然違うものにすっからよう。なんかやってほしい曲ねえ? なあ? なあ?」ってな感じで、「あー、それはこれからやっからよう。」、「うーん、それはいいかもしんないが、難しいなおい。」ってな問答がちょっと続いて始まった曲が、なんとメタリカの「エンター・サンドマン」!! しかしそれがなんと完コピ! イントロだけで終わっちゃうのかなあと思っていたら、あのリズムギタリスト君が歌い始めて、なおかつそのリズムギタリスト君はあの難しいギターソロまで完全コピー。「へへへ、どうだおい?」みたいなことを言って演奏を終えると、さらに「リクエストねえ?リクエスト?」って感じで続けて、「ミニストリー? いいっすねえ。ポイズン? あははは!! いいっすねえ。」ってなことを言っていると、リードギタリストがそのポイズンのバラードを弾き始めてしまった。曲名は忘れちゃったけど場内バカ受け。単なるバカだこいつらは。

さて、曲はほとんど知らないのだけれど何はともあれ曲がキャッチーなので非常にノリやすい。そして、ラップ&ポップなサビ、という構成は非常に分かりやすい。単純明快で即効性抜群。だからゼブラヘッド初心者のこんな自分でも十分に楽しんでいられる。

約50分ぐらいの本編が終了して、会場が一体化したかのような怒涛のアンコール攻勢。ライヴクルーが、「ゼブラ! ヘッド!」と煽ったのはちょっとハズした感が無きにしもあらずだったが、メンバー再登場するやいなや水鉄砲攻撃を客に食らわしてちょっと会場側からお目玉。スピーカーとか照明とかに水がかかったらヤバイからねえ。

そしてアンコールの1曲目は唯一タイトルを覚えていた「Feel This Way」。友達からもらった編集テープに入っていた曲だったからすぐに思い出した。そして「いやあ、次の曲で終わりなんだけど、すげえ残念だねえ。昨日のギグよりも倍は良かったよ。また来てくれるよな? な?」みたいなノリで、「帰んなくちゃなんないなんてちょっと悲しいよ」、とちょっとガラにも無く感傷的になった無国籍ボーカリスト君。 な〜んてまじめになっていたのはちょっとだけで、最後の曲に入る前にガンズ&ローゼズの「スウィート・チャイルド・オヴ・マイン」を〜〜!! 本当にこいつらバカである。というかネタの振り方が思いっきりベタである。そんでもって思いっきりその演奏がうまいから結構シャレになってなかったりする。でも好きだそういうの。ついでにベックの「ルーザー」でもやってくれれば言うことなかったのに。

あ〜、楽しかった。スーツ姿の自分を見たKowalskiさんは散々恐縮していたみたいだけれど、自分こそこんないいライヴに誘ってくれた彼に感謝したい。しかしゼブラヘッドは本当にいいバンドだわ〜。曲は月並みな感じもしないではないのだけれど、パフォーマンスは文句無く素晴らしいわぁ〜。もっと広いところでやってもすごく楽しいかもぉ〜。



| Back | Home |



next report: thee michelle gun elephant (4/8/99)



Send comments to: Katsuhiro Ishizaki

Last updated: 4/ 13/ 99