8.グループ・プロセスとは(2)

 

(2)話し合っているメンバー間の感情のもつれや、それを取り巻くメンバーの感情

 簡単にいうと、Aの発言に対してBは好意をもったのか、反発を感じたのかということである。たとえば「AさんとBさんは私語が多くて不愉快だった。2人だけで話していないで、グループに対してもっとキチンと意見をだしてほしかった」というのが、プロセスのふりかえりである。

 昔から「情から入って理に抜ける」という諺があるが、これは気持ちがつうじあわないと正当な理屈もとおらないということである。反発する気持ちがあると「あなたの言うことは正しいと思う。だけど、あなたが言うから認めたくないんだ」ということになってしまうというのである。

 感情の動きに気づかず放置すると、グループに悪い影響を及ぼす場合があるので、早く解消させなければならない。特に討議が堂々めぐりになるのは「誰かが感情的に対立しているのだが、それを言うのは大人気ないと考えて、理屈を言いあっているからだ」と解釈して、感情の対立を解消する手を打つことが必要である。

 感情はプロセスの中でいちばん重要でありながら、いちばん見過ごしがちなものである。

(著者の許諾を得て「新グループ・トレーニング」より抜粋)