<参考資料>南山大学人間関係研究センターの考える体験学習


体験学習の特色−「体験から学ぶ」学習法

 

講師の先生から何かを学んでみよう。それが普通、学校や講座で学ぶスタイルです。「体験学習」の学び方はそれとは大いに異なります。どう違うのか、それを少し説明しましょう。

◎参加者が中心の学習

体験学習の主人公はこの学習の場に参加した人自身です。講座の学習プログラムを決めるのは講師の人たちですが、そのプログラムに参加していったい何が学べるのか、学ぶ中身は参加した人によって異なります。それは体験学習が参加者自身のその場での人との関わり方や気持ちの変化や考え方の変化を学習素材として活用しながら学習が進められるからです。自分のその場での体験をもとに分析をしてみることで、普段見落としがちな自分の行動や考え方の特徴に気づくことができるとともに、効果的な人との関わり方を試してみるチャンスにもなります。

 

◎体験と理論を統合する学び方

体験学習はただ体験する場を提供するだけではありません。自分のそこでの体験の意味や課題の解決方法を見つけるための理論も小講義の形でプログラムに織り込まれています。体験から気づいたことと一般的な理論とを照らし合わせ、自分自身の特性に適応した「自分の理論」をつくる手助けをするプログラムでもあります。

 

◎体験学習を構成する要素

(1)主体性−『わたしが』

学習に主体的に参加すること、つまり、心も体もそこにあることが望まれます。体験学習はあくまでも自分の体験から、学習がスタートするからです。

(2)現実性−『いま、ここで』

学習の場、いま、ここの場で起こっていること(自分・他者・グループそれぞれの関係の中で)が学習の素材ですから、そのことに対し、開かれた心、聴く耳、観る目をもっていなければなりません。それらは、体験学習の過程で次第に体得されるものでもあります。

(3)協調性−『たすけ、たすけられながら』

この学習の場に参加する人どうしが、対話の場面で、グループ活動の場面で、お互いの関わり方を検討する場面で、お互いに相手を映す鏡になりあって、学習が深められます。

(4)試行性−『こころみて』

体験から導き出された仮説(こうしてみたらより良いのではないか、というアイデア)を試みてその効果を知ることも期待されます。これまでの行動の枠にとらわれず、新しい状況にチャレンジしてみることで、新しい体験の場が生まれてきます。

(5)創造性−『つくりだす』

体験学習は、知識を増やすことが目的ではなく、参加者が新しい自分を見いだし、みずからの手で自分の可能性を開発してゆくことを援助してゆく学習の方法です。

 

◎体験学習がめざすところ・学習効果

体験学習は、「変化すること」に価値をおいています。個人の態度や行動傾向が変化し「成長すること」がめざされています。実際の人との関わりをとおして学ばれたことは、日々の生活の中で応用効果の高いものとなります。その意味で、体験学習は生涯学習の効果的な学習方法であるといえるでしょう。

 


このページの文章は南山大学人間関係研究センターの許可をいただき、「人間関係研究センター」事業案内より引用させていただいております。