GWTの活用方法

 

グループワークトレーニング(GWT)の活用の方法は大きく分けて3つの方法があると我々は考えている。

 

(1)グループで活動する場合のきっかけづくりとして活用

 

小学校、中学校、高等学校等の学校教育でGWTを実施する場合の多くがこれにあたる。例えば次の様なケースが考えられる。

@クラスがえが行われた「学級はじめ」にGWTを実施し、クラスの協力づくりのきっかけとする。

A遠足や修学旅行の前にその活動をする班でGWTを実施し、班活動を活発にするきっかけとする。

Bどうしても仲良くグループ活動ができない時GWTを実施し、仲良く活動するためのきっかけとする。

Cクラスで友達の意見を聞けない時GWTを実施し、お互いに意見を聴き合うためのきっかけとする。

Dグループでボランティア活動をする場合GWTを実施し、コミュニケーションを深めるきっかけとする。

いずれのケースもGWTだけで効果を期待するのではなく、GWTはあくまできっかけづくりで、GWTに続く日常のグループ活動(グループワーク)でGWTでの気づきを活用し、くり返しGWTでのできごと(気づき)を事例にしながらグループ活動を展開しなければ充分な効果は期待できない。しかし、活動での「GWTの気づき」の活用が図られたとき、予想以上にグループは成長し、変化をすることが報告されている。

 

(2)人間関係について体験的に学ぶ学習方法として活用

 

生涯学習講座やリーダー養成カリキュラムの一部としてGWTを実施する場合の多くがこれにあたる。例えば次のようなケースが考えられる。

@市民講座「人間関係講座」でGWTを実施し、人間関係の各種理論等を学習する場合。

Aジュニアリーダー講習会でGWTを実施し、コミュニケーションについて学習する場合。

B中間管理職研修でGWTを実施し、リーダーシップについて学習する場合。

C看護婦の研修でGWTを実施し、自己認知と他人に与える影響について学習する場合。

Dスポーツ健康大学(市民講座)でGWTを実施し、良好な対人関係について学習する場合。

いずれのケースもGWTの実施により一定の成果(学習結果)が求められるため、成果に合わせた実施時間(90分〜3泊4日)が必要である。また必要におうじて小講義を行い、体験(GWTでの気づき)と一般的な人間関係諸理論とのすりあわせがアドバイザー(講師)によって行われ、気づきの一般化を図ることも特長のひとつである。

 

(3)体験から学び自己成長を図る方法として活用

 
野外活動やボランティア活動の研修の一部としてGWTを実施する場合で、特に「体験から学ぶ」ということに重点をおいて実施する場合がこれにあたる。実際のケースが少ないのでイメージしづらいと思うが上記の2つとの違いを簡単に説明してみよう。

上記の2つの共通する目的(ビジョン)は「GWTを実施しそのGWTでの気づきを日常活動に活かす」という点である。それに対してこの「体験から学び自己成長を図る方法として活用」するというのは、GWTでの気づきを活かすというのではなく、GWTの基本概念である「体験から学ぶ」という方法をGWTで学び、その「体験から学ぶ」という方法を、野外活動やボランティア活動に応用していこうという考え方である。

具体的に「体験から学ぶ」方法とは何かといえば、それは”ふりかえり・わかちあい”つまりプロセスをふりかえり、気づきを文字化し、グループで紹介するという方法である。たとえば実際にボランティア活動で実践されている事例を紹介すると、あるイベントスタッフをするボランティアの事前研修にGWTを実施して、ふりかえりの素晴らしさ、そしてそれをグループでわかちあう効果等の「体験から学ぶ」方法を学習する。そして実際のイベントのボランティア活動の終了後、ボランティア全員が小グループにわかれ、まず今回のイベントでボランティアしてみて@参加者とのふれあいで気づいたことA他のボランティアに影響を受けたことBボランティア活動の中で気づいたこと感じたこと等を個人でふりかえり用紙に記入、そしてその後グループでわかちあい、時間があれば全体で紹介といったボランティア活動をひとつの実習にみたてたふりかえりを実施するのである。こうすることによって、イベントのボランティアが単なる社会貢献の場となるだけではなく、さらに自己成長の場として位置づけることが可能になるのである。