[GWTネットワークオリジナル実習]
実習:『四角と3つの丸』

 

1.ねらい
ひとりひとりの認知の仕方が違うという事実を体感するとともに、対人関係において「認知の仕方の違い」を意識することの大切さに気づく。

自分の認知の仕方の特長に気づく

2.対象者

社会人一般(小学生高学年以上可能)

3.進め方

所要時間:45分 (導入で使用する場合は最低30分で実施可能)

(1)導入:2分

・はじめに(位置づけの説明)

・グループ分け(5〜6人)

(2)ルール提示:3分

・ルールの提示

・白紙(A4)の配布

(3)実習の実施:15分

・伝えられた情報を白紙に記入する

・グループのメンバーと見せ合う

・グループでひとこと感想を言い合う

・白紙をイスの上に置いて全員の絵を見る

・全体のデーターを収集する

(4)ふりかえり:15分

・個人でのふりかえり(個人記入)

・グループでのふりかえり

(5)小講義:10分

・認知の仕組みについて

・体験学習の流れ(導入で使用する場合)

4.課題とルール

○課題1

これから説明するとおりに、今配った白紙に記入してください。

終わったら筆記用具を置いて紙を裏返しにしてください。全員が紙を裏返しにしたら次の説明をします。

「その真ん中に正確に四角形を書いてください。(カードを見せる)」

終わったら筆記用具を置いて紙を裏返しにしてください。全員が紙を裏返しにしたら次の説明をします。

「その上下にバランス良く3つ丸を書いてください。(カードを見せる)」

記入し終わったら筆記用具を置いて紙を裏返しにしてください。

【ルール】

 ・白紙を受け取った後から、指示があるまで話をしないでください。

 ・また質問はいっさいできません。自分自身で判断をしてください。

 ・他の人の書いたものは絶対に見ないでください。後で見せ合う時間はとります。

○課題2

それでは今紙に書いたものをグループで見せ合ってひとり一言感想をのべてください。

時間は5分間でお願いします。

○課題3

それでは他のグループもどんなものを書いたか気になるとおもいますので、全員のものを見てみましょう。自分の書いたものをイスの上に置いてください。

それでは2分間時間を設定しますので自由に見て回ってください。

時間になりましたら元の席に着席してください。

○課題4

先ほどの説明をもう一度確認しましょう。(2枚のカードを見せる)

「その真ん中に正確に四角形を書いてください。」

「その上下にバランス良く3つ丸を書いてください。」

このふたつの説明で書いてもらった結果(事実)が、今見てもらった全員の絵です。

それではこれから、もうすこしこの結果(事実を)分析するため、データ(事実)を収集してみますので、該当する人は手を上げて下さい。

@紙の使い方について

・紙を縦に使った人

・紙を横に使った人

・他の人が紙をどのように使っているか気になってついまわりを見てしまった人

・特に他の人のことは気にならなかった人

A四角形について

・真ん中ということで紙を折って真ん中を決めた人

・定規を使って書いた人または定規を使おうと思った人

・定規を使おうとなんてこれっぽっちも思わなかった人

・正方形を書いた人

・長方形を書いた人

・菱形を書いた人

・自分が書いた以外の四角形を見て「あこの人間違えた」とちょっとでも思った人(正確な四角形とは四つの直線で囲まれた図形)

・書いている時点で、色々な四角形があると思いながら書いていた人

・色々な四角形があると思いながらも正方形を書いた人

・色々な四角形があると思いながら特殊な四角形を書いた人

・四角形を大きく書いた人

・四角形を小さく書いた人

・これから沢山いろいろ書くのだからと考えて四角形の大きさを調整した人

・いわれたときに感じたまま四角形の大きさを決めた人

B丸について

・丸を3つ書いた人

・丸を6つ書いた人

・自分と違う丸の数を書いた紙を見て「あ!この人間違えた」とちょっとでも思った人(「3つづつ」とも「合わせて3つ」とも言っていない)

・書いた丸の大きさが全て同じ人

・書いた丸の大きさが違う人

・説明の「その上下に」の「その」を四角形ととらえた人

・説明の「その上下に」の「その」を白紙ととらえた人

・説明の「その上下に」の「上下」を「四角形の外側の上下」ととらえた人

・説明の「その上下に」の「上下」を「四角形の内側の上下」ととらえた人

C全員の書いたものを見て

・自分と同じように書いた人を見つけようとした人

・自分と違うように書いた人を見つけようとした人

・自分と同じ図を見つけたときホッとした人

・他の人の書いたものの中で、どうしてそのように書いたのか理解できないものがあった人。

・自分はいわれたまま書いたと自信のある人

・全員の書いたものを見るまで、自分の書いたものはみんなとほぼ同じだと思っていた人。

・自分の書いた図と同じものが多くて安心した人

・自分の書いた図と同じものが少なくてがっかりした人

・他の人の図を見るとき、自分の図との共通点を探した人

・他の人の図を見るとき、自分の図との相違点を探した人

5.教材(情報カード、紙片、様々な材料など)

指示カード

「その真ん中に正確に四角形を書いてください。」

「その上下にバランス良く3つ丸を書いてください。」

6.ふりかえり用紙の設問

(1)今の体験であなたが、学んだこと、気づいたこと、感じたことを自由に記入してください。

(2)あなたの日常の中で、「ひとりひとりの認知の違い」を意識する必要があると思われる、具体的場面をひとつ以上記入してください。

7.学習の内容

「その真ん中に正確に四角形を書いてください。」「その上下にバランス良く3つ丸を書いてください。」の2つの指示で書いた図形が、メンバーの認知の違いによって、いろいろな図形になるという事実を実際に体験することで、「認知」について改めて学習をする。

8.学習のできること

「私はそういう意味できちんと説明した」「いや、あなたはそうはいっていない」というような、その人の「認知の違い」から起こるトラブルは、日常生活の中で多かれ少なかれ存在する。しかし、グループのメンバーが協力して何かを成し遂げようとする場合、「認知の違い」からくる実質的な解釈の違いを極力少なくして、コンセンサスをとることは重要なことである。この実習では、「たしかに人によって解釈の多少の違いはある」と簡単に考えている人に、現実的に「認知の違いが」どれだけ大きいかを体感することで、あらためて「認知の違い」を意識したコミュニケーションがとれるようになる。

9.会場の設定

全グループが同じ部屋で実施できる方が良い。

グループ毎机を囲んで座るか、イスだけの場合は人数分画板を用意すると良い。

10.準備物一覧

ねらい、進め方を書いた模造紙

白紙……各自に1枚

画板……各自に1枚(机が無い場合のみ)

指示カード(2枚)

ふりかえり用紙……各自に1枚

筆記用具(各自用意)

 

<注>この実習の著作権は『GWTネットワーク』が所有しております。この実習は自由にかつ無償で利用できますが、その際必ず出典(『GWTネットワーク』のホームページより引用)を明記、または口頭でご案内ください。また資料として複写・複製(プリントアウト含む)、または、テキスト・書籍に掲載する場合は必ず『GWTネットワーク』にメールで許諾を得てください。基本的に営利目的以外の場合はご連絡いただければ無償でOKをいたします。宛先 kumasan@eva.hi-ho.ne.jp