●いろいろなフォーマット
 写真を撮るためのフィルムにはいろいろなサイズ、ミノックスサイズ、APSサイズ、35ミリサイズ、ブローニーサイズ、シートフィルムなどと様々あるが、各フィルムサイズを使うカメラの撮像比率というもののバリエーションは多くはない。
冒頭のモンドリアン風の図を見ると分かるがタテヨコの比率として、1:1、6:7、3:4、2:3、1:2 が揃っているのはブローニーサイズである。35ミリサイズでは、現行商品にはハーフサイズ(18x24)はほとんどなく(ロシア製LOMOなどくらい?)、ロボットサイズと言われた正方形サイズのカメラも製造されていないので、擬似パノラマサイズを除けば、実質35ミリサイズでは24x36のサイズで撮るのが一般的である。(フジフィルムのTX−1はデュアルフォーマットという2つのフォーマットを切り替えて使えるようになっていて、24x65のフォーマットを選択できるカメラである。※同カメラはハッセルブラッドからもX-panという名前で発売されている)

●フォーマットの選択
 フィルム面積の違いはそのままプリントの緻密さ・画質に影響するので、目的に応じて使うフィルムを選ぶということは単純に理解できる。でもフィルムサイズを選ぶこととタテヨコ比を選ぶことは分けて考えたい。4x5などのシートフィルムの場合フィルムサイズはそのまま一枚のフィルムであるが、ロール状のフィルムの場合のタテヨコ比というのはかなり自由に決めることができるのだから。
ブローニーで6x6と6x9を使い分けるのはその比率に重点があって画質が大きな要素とも思えないし、そのようなことをいう人もいないと思う。むしろカメラの使い勝手やレンズのラインナップなどの要素のほうが大きいと思う。であれば35ミリサイズのロールフィルムを使う以上その比率を使いやすい比率で使うことはしごくまっとうなことだという気がしてくる。

 と、言い訳じみたことを書いてきたのは後付けの理由であり、僕はローライまたはハッセルのごとく、35ミリサイズのカメラで正方形のフォーマットで超広角から望遠レンズまで軽々と持ち運び、正方形の写真を撮りたかった、ただそれだけのことである。なによりもハッセルSWC(対角線画角約92度の超広角レンズ付きブローニーサイズ用カメラ)を使ったスクエアな比率の画面の中に世界のすべてを捉えるような写真を撮りたかった。

 というわけで。
今回の目論見
 「既存の35ミリサイズのカメラを使い、
  1:1のスクエアフォーマットの写真を撮る。」
 ・フィルムへ撮像する部分にマスクすることによって
  正方形で感光させられるようにする。
 ・一眼レフの交換用スクリーンにマスクをし、
  撮影画像を正方形で確認できるようにする。


●作り方
 今回の作業はOM−1を使って行った。まずはファインダーで1:1の比率で撮影画面を確認するために、フォーカシングスクリーンを取り出し、薄い「絶縁テープつや消し」を使ってスクリーンに正方形にマスクをする。

 OM1の場合露出計が指針計のため、コノ部分を隠さないように指針の動く範囲のテープを切って剥がしておく。なお同様の加工をもう一台のOM機OM2SPでも行ったが、こちらはファインダー内露出情報は液晶を使用しているため、OM1のような指針計用の切り抜きは必要なく、簡単。
左図:デジカメで撮影したファインダー



 続いて、カメラ本体の裏フタを開け、フィルムガイドレールの間にポッカリと空いた24x36ミリの中にマスクして24x24ミリに変える。
今回使用する素材は小物が入っていた透明のプラスチック箱(厚さ0.2ミリほど)を必要な分だけ切り取り細工したあと、マットブラックの塗料をスプレーし使用した。

ガイドレール自体はそれほど段差があるわけではないのでガイドレールとガイドレールにはさまれた部分に薄いマスク用プラスチック板を両面テープを使って貼り付ける。
作業前にガイドレールに目印になるように開口部左右縁から6ミリづつ下がった位置に印をつけておくと位置のあたりがつけやすい。

左図:マスク用のプラスチック板、とマスク後のフォーカシングスクリーン(これはライカR用みたい)


と、ここまで作業して一応大まかな形にはなったのだが、一つギモンが残る。
「ファインダーで見えている画像は果たして映る画像と同じ範囲なのか?」と

作業を終えたカメラの裏フタを開け、はずし三脚に取り付ける。裏フタ側からピントルーペを使って撮像の範囲を確認し、ファインダーで見えている範囲と照らして4隅の確認をする。
OM1がもともと100%のファインダーではないので上下に関してはファインダーで確認できる範囲を超えた画像が実際に映ることはしょうがない。しかし横幅についてほぼ撮像に近い範囲でファインダーで確認できる位置にフォーカシングスクリーンのテープを張りなおして、個人的に満足いく範囲で位置を決めた。

 ここまでが作業の内容であり、あとは撮るだけである。
このカメラを使って撮った写真は、当HPにアップしていくつもりでいる。
 ←アップはココ

 今回は1:1の比率にこだわったのだけれど、その他の比率または雲形であろが円であろうが、撮影時に画面で見て、そのまま写すということがとても自然なことだという気がしている、既存の規格に自分をはめるだけではなく、その辺りはそのときの気分にまかせて写真を撮っていきたいと思うこの頃である。
 35ミリ一眼レフで覗くスクエアフォーマットは非常に魅力的で超広角から望遠まで、交換レンズによって現れるスクエアな画像は今まで見慣れた世界を見直すきっかけになり、写真を撮ることに対しても新鮮な気持ちにさせてくれる。
                            いまのうちはね・・・・(笑)
おしまい
                                       宝まる