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「ダブルキャスト」ショートストーリー
止まった時間 〜序曲〜
作者・WildCat&TOM
私が目覚めると、そこは見渡す限り暗闇だった。
私はぽつんとそこに立っていた。
ここに来る前は独りではなかったのに・・・
あの人はどこへいってしまったの?
あぁ、そう私からあの手を離してしまったんだっけ・・・
・・・そう、あたしがね。まったく冗談じゃないわ。
あたしが、どんな思いであの子を今まで守ってきたと思っているの。
まったく、あの子はまだ分かってないわ、男なんてみんな同じという事に。
あの子には私のような辛い思いを絶対にさせたくなかったの。
それなのに・・・。
でも、もう大丈夫よ。こうして二人で静かに永遠の時を過ごせるんだから。
あなたを傷つける人はだれひとりとしてここにはいない。
あたしが、あなたを守ってあげたのよ。
違う、姉さんは間違ってるよ!!。
あの人は、ボクを・・・まったく素性の知れない記憶すら失っていた
ボクを下心無く二つ返事で家に招いてずいぶんと良くしてくれた。
あの人は・・・上手く言葉に出来ないけど、姉さんをだましたような
男とは全く違うんだよ!!。
姉さんの考えは、あの時から進んでないんだよ。
どうして死んじゃったの?。死んじゃったらそこで終わりなんだよ。
きっと姉さんにも素晴らしい彼氏が出来たはずなのに、
姉さんの考え方も変わったかもしれないのに
どうして待てなかったの?。どうして自分の可能性を奪っちゃったの?
5年前のあの日、あの人は、私を助けようと必死になって私を呼んでくれた。
でも私は、姉さんの私を思う気持ちに打ち勝つことは出来なかった。
そして私は、あの人の手を振りほどいてしまった。
あの人は声にならない声で私を呼ぶ。
私はあの人の呆然した顔を思い出として消えていった。
そしてこの暗闇に私はいる。
これはあの人を苦しめている罰。
長い時間あの人時間を止めている罰。
でも私にはどうする事もできなかった。
私はこの暗闇にただ待ち続ける事だけ・・・
どこへいく事も何を聞く事もできずただこの闇に囚われつづける。
あの人の時間はまだ動き出さない・・・・
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