定年後の読書ノートより
敗北を抱きしめてー第4章:敗北の文化―ジョン・ダワー著、岩波書店
  • 人々の行動が変り、思考が変り、かって経験したことの無い状況が出現した。それは流動的で、自由で、開放的で、新たな権威のありかた、新たな行動の規範がまだ形成の途上にある希有の瞬間であった。
  • 軍国主義者の下では不可能だったことを実行し、発言し、考えてみる機会がやってきた。
  • 初期の占領軍は、かっての支配層の威圧的な支配手段を壊滅した。それは民衆がそれまで思いがけなかったような感情表現と独創性の花を咲かせるに十分な自由をもたらした。
  • パンパンは公然と、恥じしらずに征服者に身を売ったが、他の日本人、とくにアメリカ人のお近付きになった、いわゆる善良なエリートたちもまた、肉体そのものではないが、ある意味では身を売っていた。
  • アメリカが偉大に見えた理由は、とてつもない金持ちだったからであり、民主主義が魅力的に見えたのは、それが豊かになる方法に見えたからである。
  • 大衆の意識に衝撃を与えた3つのサブカルチャー。パンパンと闇市とカストリ文化であった。この3つは、虚脱状態の混乱と絶望を示す具体例であった。
  • 弱い者を大胆に、強い者を乱暴者に変えたカストリ焼酎もまた。明らかに反体制的な人間を多数産み出した。
  • カストリゲンチャの書き物は、道徳をひどく無視した生活スタイルにも何等の意義や哲学めいた理論があるかのように主張した。頽廃こそは本当の正直だった。
  • 退廃した不道徳であることこそが、真実であり、現実であり、人間的であった。堕落にたいして謙虚になることによってのみ、本物の道義性について考えることができた。
  • 彼等はみな、大衆の意識をおおいにかきたてた教条的な思考のあり方を疑問にさらした。旧式な価値観に対する彼等の挑戦は、忘れ難いものであった。
  • ある者から見れば革命的な対抗文化のように思えたものが、ほかの者にとっては反革命的な策謀と考えられたのである

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