定年後の読書ノートより
カラマーゾフの兄弟、第8編、ミーチャ、ドストエフスキー著、河出書房
娼婦グルーシェンカの愛情を、父フィードルと奪い競い合う長兄ミーチャ、彼はグルーシェンカを自分の妻にしたい一心で、それのみを思い詰める。ミーチャにとって、グルーシェンカが娼婦であり、カーチャが金持ち令嬢であることなど、もうどうでも良いことだった。2人が昨夜ひどい言い争いをしたという報は、彼の耳にも入った。ミーチャにとって、令嬢カーチャから借りた金3000ルーブルを即刻返し、カーチャと手を切らないと、グルーシェンカとは一緒になれないのだと思うと、もう金を返すことだけが頭に一杯だった。早く金を返して、その上で「俺と一緒になってくれ」と娼婦グルーシェンカに迫ろうと考えた。先ずは3000ルーブル全額返却の資金を作り出すこと、兄ミーチャの頭の中はもうこのことだけで一杯だった。

最初に借金に訪れたのは、グルーシェンカの親類であり、パトロンでもあるサムソノフ。老人サムソノフに父から譲られるはずの土地を担保に3000ルーブルを貸してくれとせがむ。しかしサムソノフ曰く「御免蒙る。訴訟を起したり、弁護士を頼んだり、桑原桑原」。しかし、サムソノフは猟犬とあだ名がつく、ある一人の百姓上がりの土地ブローカを紹介した。ミーチャは早速、その男を求めて旅だった。老人サムソノフは、ミーチャの愚かさを手玉にとったお遊びにすぎなかったのだ。

ミーチャは屈辱の数々を堪え忍び猟犬と称する百姓ブローカに「3000ルーブルをなんとかしてくれ」と頼みこんだ。しかし当然ながら、猟犬は取り合おうともしなかった。「俺は何と言っても分別ある人間だ。どうしてこんな馬鹿な百姓を相手に、1日一杯棒にふったのか。」ミーチャは急に自分が腹立たしくなってきた。次第に自分が崩れ始めていることも自覚出来た。

次に出かけたのは、金持ち貴族ホフラコーブ夫人、彼女はお金のことなら幾らでも面倒を見てあげましょうと言いつつ適当に話をはぐらかす。ミーチャは執拗に食い下がる。そしてやっと話が金の問題になったとき、夫人曰く、「私は貴方の話を間違って解釈していました。とてもそんなお金はありません。

グルーシェンカを追い求めて、ミーチャは夜の街に出ていった。「大変だ、誰か殺す気になっているのだ」とグルーシェンカの召使いフェーニャは叫ぶ。

ミーチャはオヤジから金をすくめようと、邸宅内に忍びこむ。一方従僕グレゴリーは屋敷を見まわり、忍びこんだ男を発見、猛然と捕まえようとして、頭に一撃を食らう。ミーチャは血だらけの姿でベルホーチンを訪ね、グルーシェンカが知り合いの将校と隣町にいると知る。

ミーチャは握りしめた金をもって、隣町に走り、深夜の酒場で大乱稚気騒ぎをして、グルーシェンカの気をひく。娼婦グルーシェンカはミーチャの情熱に酔い、自分が愛するのは貴方だと告白する。ミーチャは有頂天になる。その時、殺人犯ミーチャ逮捕に警察署長が登場した。しかしミーチャは、何のことやらわからなかった。彼は野獣のような目つきで一同を見回していた。

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