定年後の読書ノート

創造的に生きる4つのコツ、菅 靖彦、NHKこころをよむ

1、生活を楽しむコツ

完全に制作に没頭している画家は、絵を描くことそのものに熱中している。私たちの身の回りには、やれば、やるだけで楽しいことがいろいろとある。活動するとその体験そのものの中で、何もかも忘れる状態になれる活動というものがある。

そうした活動は楽しめば楽しむほど、生活そのものが、いっそう楽しくなる。そういう活動の中では、人間は自分の潜在能力をいかんなく発揮できるようになる。そういう状態になると、生活の不安や心配が忘れられる。何かに熱中しているとき、私たちは幸せを感じる余裕がないのに、幸せなのだ。

2、創造的に生きるコツ

フローの状態に在る時、自意識から解放されるばかりではなく、宇宙と一体化する体験さえ起こりうる。フローは、人生を創造的に楽しく生きる鍵になる。創造的な生き方をするのに、遅すぎるということはない。創造的な生き方をする第一歩は、好奇心を養うこと。そのためにはこどもを見習え。毎日何かに驚け。あえて習慣を破れ。習慣になってしまうと、生活から新鮮な驚きが失われる。ぶらりと一人旅にでかけてみよ、そうしたことが生活に新風を送り込む。自分の驚いた体験は書きとめたり、他人に話したりせよ。何をするにも、明確な目標を持ち、行動の結果に注目せよ。創造的な生き方をするには、好奇心を養うことが必要だ。自分の興味のあることや、やりたいことを見つけたら、それに専念せよ。

3、性を楽しむコツ

現代の男性にとって、性は全体的な生の営みから切り離され、ストレス発散の手段と化し、セックスに依存する傾向がある。性が表層化し、深い満足をもたらさなくなってきた。性に振り回されない為には、強い倫理観だけでは難しい。性のエネルギーは知性では操作しきれないほど大きな生命エネルギーだから。性を安易なストレス発散の手段とせず、全人格的なまじわりのひとつとして、神聖な気持ちとして扱うこと。性は魂とも深くかかわっている。

4、老いと向き合うコツ

老いは誰にでも訪れる自然なプロセスである。にもかかわらず、現代では、老いを哀しむべき出来事のように思われている。これは経済性や効率性を重んじる現代社会では、どうしても「若さ」や「健康」がもてはやされ、老いは若さや健康の喪失と見なされるからだ。老いをどのように迎えるか、これは個人の問題に任されているのが現代ですが、このことが、老いを「衰退」として捉える傾向を助長しているのです。しかし、かって歴史的に多くの先輩たちは、宗教的な修行などを通して、自我を超えた精神的な成長を遂げた。彼らの精神的な境地を、人間の心に備わっている潜在的な成長の可能性として、評価していくことによって、老いの意味を新たに見直すことが出来る。すなわち、自我を確立した人間が超個人的な発達をとげ、失われた万物との一体性を取り戻していく道程を、老いの最大に重要なテーマとして位置づけるのです。自我の確立を分岐点として、人間がさらなる成長をとげる可能性を精神に求めていくのです。

「方丈記」の世界は正にそうした老いの世界です。老年期に適した人生の生き方、成長の仕方が必要なのです。それは基本的には精神的なものであり、その人がこれまで獲得してきたものをひとつひとつ手放していき、霊的な成長に繋げていくことが必要なのです。その先にあるものは、命への執着をすてて、死を受容し、あの世へと旅立つのです。

老いは自然なプロセスであり、誰にでもやってきます。そのとき、人間は基本的に精神的な存在であるという認識をもてないと、喪失感ばかりが膨れ上がり、惨めな老後を送らなければならなくなるのです。

老いの問題は、自分の変化を受け入れられるかどうかの問題です。めまぐるしく変わるこの世の自分の世界を、じっと見守り続けるもう一人の自分、そうしたもう一人の自分を養うことが大切です。精神的な存在である人間は、もう一人の自分を、自分の中に養い内在させていくのです。老いは、確実にやってきます。老いを自ら受け入れ、静かに死を受容できる自分を育てていくことが大切なのです。