定年後の読書ノートより
IT革命と日本資本主義の課題(上)、北村洋基著、雑誌「経済」10月号
  • ITとはインフォーメーション・テクノロジーという漠然とした用語の略語としてよりも、インターネット・テクノロジーの略語として理解するほうが、情報技術発展の現段階と到達点を明確に把握出来る。
  • 産業革命は、マニュファクチュアから機械制大工業へ生産様式を変革することによって資本主義を本格的に確立させた。
  • 繊維工業が産業革命の開始を告げた産業であり、繊維産業における資本・賃労働関係がイギリスの自由競争段階の資本主義のあり方を規定している。繊維産業はイギリス国内需要を満たしたのみならず、{世界の工場}として、繊維産業が主導する産業構造の段階であった。
  • 激しい資本間競争が展開され、少数の支配的大資本がカルテル・トラストといった資本の集中と寡占体制を形成し、繊維工業から重工業指導の産業構造へ移行した。この過渡期においては、生産力の急激な増大と旧方法に固執する資本間競争が、価格の持続的な低下と低水準による固定費の増大、利潤の圧迫を長期にわたって持続させた。
  • 鉄鉱資本は固定費の圧迫のために操業率を落せず、生産拡大と価格低下・利潤圧縮それをカバーするためにさらなる生産拡大へという悪循環に陥った。
  • 「大不況」からの脱出は、長期にわたる激しい競争過程を経て、淘汰と独占の形成によって始めて可能となった。こうして帝国主義的傾向がいっそう強まった。自由競争は制限され、独占的競争の時代、すなわち独占資本主義の時代を迎えることになる。
  • 産業構造の転換は決して簡単には進展せず、長期にわたる「大不況」を経て、始めて構造転換が達成された。
  • サービス業も次第に資本集約的なサービス業に変化していく。高価格・高利潤を維持するために独占資本相互の間で需要に見合った生産調整をする場合もあれば、競争相手を蹴落とすために価格破壊による他の資本の排除と市場支配という戦略をとる場合もある。
  • 産業構造の転換、軽工業から重化学工業段階への移行、資本主義の独占資本主義化は資本主義国家間の利害対立を深刻化させ、帝国主義化をともなった
  • 世界史的には1970年以降、従来の重化学工業段階から情報関連の産業が主導する産業構造の段階へ、そしてまた情報資本主義への移行期に入っている
  • 技術は一般的に、ある目的に対する手段ないし手段の体系であるといえる。
  • 現代の情報技術とりわけIT段階の情報技術は、ほとんどどのような目的に対しても手段としての役割をはたすことが可能な技術であるというところに特長がある。
  • 資本は科学を創造しない。しかし資本は科学を徹底的に利用し、科学を生産過程に従属させる。
  • 現代の情報技術を構成する主要な要素は第1にパソコンであり、IC集積回路の集積度の飛躍的向上を背景とし、命令コードが組み込まれた中央処理演算装置CPUとメモリー(ROMとRAM)とを一つのチップに組み込んだマイクロプロセッサーに入出力装置をつけることによって、キーボードで操作出来るコンピューターにしてしまった。
  • パソコンは資本の力によって、商品として大衆のものになった。
  • オープンソース型ソフトLinuxは、今やサーバ用OSとして使用されている。まさに「無償」の知識をもとにし商品化し、利潤を得るという情報資本主義の新しい形態である。
  • インターネットが軍用ネットから「商用利用」に解放され、広範に利用され、インターネットの意外な普及により、今や全てのネットワークがインターネットをベースとして構築されようとしている。
  • 通信衛星や光ファイバー網、ルータなどの通信インフラも軍事目的から民間利用の技術として、アメリカで潜行した。しかし通信ネットワークは技術革新があまりにも早く、インターネットや携帯電話等の急激な普及と高度化に対応した通信関連諸産業の大規模な再編成が進行中であり、今後もとどまることはなさそうだ。

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