定年後の読書ノートより
日本のIT革命、森谷 正則 著、 毎日新聞社
  • IT革命には、産業、経済の面があり、eコマース、eビジネスによって、産業が大きく変化し、経済が新たな方向に発展すると言われる。IT革命を声高に言っているのはITに夢中になっている経済学者や経営コンサルタントである
  • 経済学者は、世界中から最安値の部品調達が可能になり、消費者への直接販売によって中間段階抜きの経済へと変わり、経済活動の大改革が進むという。
  • だが経済学者の説は、そうした事象が経済全体に広がるという論拠に欠けている
  • 経済学者も経営コンサルタントも、これからの高度情報化を見通す基本的な視点を持っていない
  • 消費者向けe コマースは、これから急速に伸びていくという予想だが、2004年に全消費支出の2%ほどである。しかも住宅、乗用車など高価格商品が大きな割合を占めていて、日常的に買う商品でのeコマースの比率はさらに低い。
  • 日本は高度情報化で何を目指すのか。より豊かな生活を実現することである。ここで、これから日本が目指すべき豊かさとは何であるかが重要になる。
  • いま日本は、真に豊かであると聞かされると、多くの人は異を唱えるであろう。ある面では大いに豊かであるが、豊かさとはおよそ言えない面が多々ある。それは豊かな物質的生活、貧しい精神生活、言い換えれば個人的生活と社会的生活の大きな格差である。
  • 日本は経済、産業の大発展によって、安くて良い製品が大量生産による恩恵を享受して、物質的にはとても豊かになった。しかしこれは個人の生活に関わるものである。一方日本の社会には、環境問題、廃棄物処理、交通事故、教育、医療、福祉、介護等の遅れなど社会問題が山積している。
  • 高度情報化を生活の豊かさの向上に向けていくのでなければ意味が無い。やみくもにインターネットの利用拡大、デジタルテレビの普及を進めるのではなく、何のために情報化を進めるのか、目標を明確に打ち出すことが不可欠である。そのためには、この日本において、いま何が求められているかを深く考えることが必要である。

ここをクリックすれば、読書ノートの目録に戻れます。