定年後の読書ノート
第2回ヘーゲルを読む会、福田静夫先生
「キリスト教の精神とその運命」に入る前に、15歳のヘーゲルが読んでいたギリシャ・ローマ哲学の一端を覗いておく必要がある。そうした意味で・キケロ「スキピオの夢」を取り上げる。キケロは、ローマの政治家。独裁者カエサルの好戦的性格に対し、キケロは弁論でカテリーナの陰謀を倒した理性的性格。キケロ「スキピオの夢」では、ローマ時代の宇宙論が展開されている。ヘーゲルに与えた影響は、キケロの天体論。地球宇宙論。自然科学の実測重視の考え方。ヘーゲルはギリシャ哲学を良く読んでいる。ギリシャ哲学から、魂の永遠性を学んだ。特に「スキピオの夢」では、天空は球状円形で、生命のあるものは、内からの、つまり自分の動力によって球状円形天空へ飛翔する。という宇宙観を15歳のヘーゲルはギリシャ・ローマ哲学より身に付けている。

ヘーゲルはマルクスに受け継がれている。マルクスの博士論文は「デモクリトスとエピクロスの自然哲学の相違」は、運命や必然性からの人間主体の思想をテーマとする。人間主体の思想は、古代ギリシャ哲学の最終期の自意識哲学。これが近代人の思想をも示していた。自然をどうとらえるか、宇宙をどうとらえるか、魂の行きどころ、こうしたテーマに注目すべき。

ヘーゲルは「キリスト教の精神とその運命」を書くに際して、聖書を徹底的に読みこんでいる。ヘーゲルがキリストに注目しているのは、垂直的な愛から水平的な愛を大切にしているところ。奴隷も人間であるという平等の思想、これはパウロによって、明確にされた。パウロは、水平思想を展開し、異邦人へキリスト教を広めた。実存主義には、すなわちサルトルには、愛はない。

愛とは、相手の中に、自分の本質を発見することだ。自分の本質性は他人の中にあるという考え方。ヘーゲルはギリシャに対して、強い憧れを持っていた。ヘーゲルが生きた時代。ドイツは封建的専制政治。ヘーゲルは世俗的権力と訣別していく外的な力の象徴としてフランス革命にあこがれた。しかし、フランス革命がテロリズムに脱落していく経過から啓蒙思想だけでは駄目だと気づいていく。そうした出口をヘーゲルは、ギリシャ哲学、キリスト教の考え方、すなわち愛による運命との和解、調和を求めた。掟では和解できない。初期ヘーゲルのポイントは、愛である。啓蒙思想への疑問。

以上の予備知識をもって、第3回からいよいよ、「キリスト教の精神とその運命」に入る。

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