定年後の読書ノート
がん告知以後、季羽 倭文子 著、岩波新書
著者は岡山病院看護婦を経て、ホスピスケア。医者ではない。だから自己セーブがあちこちに目立つ。この重いテーマは看護婦の立場から書くのは矢張り限界があるのかも知れない。むしろ、がん患者看護法みたいな視点から書いた方が良かったのではないか。

がんと診断されたとき、誰もが強い衝撃を受ける。まるで死の宣告のように受け取られる。その打撃を乗越えていく心の中の苦しみは、大変なものだ。しかし、がんは治療経過が何年に及ぶことも多いので、がんは慢性疾患であることを先ず認識すべきである。

がん告知が行われた後の精神的な不安や動揺は、長く続く。こうした症例研究は数多くある。ストレスは長期化しやすい。ストレスは副腎から分泌するホルモンの量に影響し、免疫系に大きな影響を与える。病状経過をよい方向に導く為にストレスを長引かせないよう、対処するが必要である。

ここで、ストレス解消法が列挙される。

  1. 十分に運動をする。2、適切に栄養をとる。3、楽しいことをする。4、自分が心の中で自分に語りかけていることを見詰める。5、自分自身のことより、周囲のことに関心を持つ。6、徹底的に話合う。7、自分の体力の限界をふまえて生活する。8、心身の負担になると思うことを断る。9、時にはあきらめる。10、1日に1回は心の底から笑う。11、適切に睡眠をとる。

痛みについて。痛みは、人によってあらわれる時期も、強さも異なる。その人が感じている痛みは、本人しか判らない。しかし、痛みが軽いうちから鎮痛剤などを使って痛みを抑えるようにすれば、気分も明るく、食欲も睡眠もよい状態に保つことができ、痛みをコントロールしながら、健康的な生活を送ることが出来る。痛みは軽いうちに鎮痛剤などの使用により抑えるのが正しい方法である。

1日に内服するモルヒネの量は、ある人は20ミリグラムであっても、他の人は1000ミリグラムの場合もある。多量服用する人の方が病状が重く、モルヒネのために日常生活上の動作を人手に頼らねばならないということはない。モルヒネに対する不必要な不安感が影響して、痛みを抑えられないことがないようにすることが大切である。

モルヒネを服用しながら、何年間も社会生活を継続している人もいる。

いずれにしても、がんの治療によって発生する身体的な変化を予測し、なるべく身体への影響を少なくするように配慮することが大切である。

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