定年後の読書ノート
「日本」を再定義する、名古屋哲学セミナー、4月26日
網野善彦著、日本の歴史、「日本」を再定義する、を1年間にわたって、テキストとして読んできた。終りに近づくに従い、網野氏の歴史観に対して、メンバーの目は鋭くなり、網野氏の限界を強く意識するようになってきた。今回最終回にあたり、福田先生が、自前の試みとして日本の再定義に挑戦され、その歴史認識には多くの学ぶべきところがあった。
  • 世界システムの変容と動揺が始っている。

「文明の衝突」型戦争を契機に、中近東、東欧の結集軸の模索が始った。今後の世界全体の管理をどうするか、新しい問題提起が始っている。

  • グローバルな資本主義世界システムの転換期が始っている。

国連での多数派形成に失敗した、アメリカの統治力、覇権の衰退がイラク戦争で顕在化した。アメリカは国際関係での道徳的正当性を喪失し、アメリカのデモクラシーは自閉症状を呈している。

  • 「国民国家」の動揺と再定義

伝統的「国民国家」のパラドックス:「独立国家」であるためには、「従属国」「従属民族」を持たざるを得ない。そして「従属国民」であることによって、「従属国民」を確保するというパラドックス。

「国民の安全」を確保するために「他国民」を殺害する可能性をはらむパラドックス。

世界が200を越える国民国家で覆われている地球において、国際的価値観と一国的価値観との葛藤とパラドックス(スターリン国家の行きづまりと崩壊)

「国家主権」と「人権」との葛藤とパラドックス。

なをこうした複眼的歴史認識に参考になる文献として、福田先生は次をあげておられる。

歴史認識の論争、高橋哲哉編、作品社

ナショナリズムと国民国家、デリタ論争、高橋哲哉、講談社

昭和天皇、H.ビックス著、講談社

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