定年後の読書ノート
シルクロード第10巻、アジア最深部ソビエット(2)、NHK出版
全12巻の作品中で、この巻が一番興味深かい。ウズベキスタン、サマルカンド・ブハラ・ヒワがしっかり書かれている。チムールの歴史も、ソクド人の歴史も、キジルクム砂漠やカラクム砂漠に関しても、この本ほど詳しく書いてあるシルクロードの本は今まで読んだことはない

シルクロードの主役はソクド人だった。ソクド商人は国際商人として実に商売が巧かった。中国の史書「旧唐書」に出てくるソクド商人は、口に氷砂糖、手に膠を握って生まれてくる。まさにユダヤ商人気質である。ソクド人は、中国に絨毯、ガラス、楽器、薬品、食べ物等数多くの西の品物を首都長安に運びこんだ。胡桃、胡麻、胡瓜、葫、胡色一色がそうである。

李白も胡人を多く機会に謳っている。ソクド人の故郷はソクディアナと呼ばれるオアシス。サマルカンドを中心とするゼラフシャン川流域の古称。シルクロードの十字路であった。

古代アケメネス朝ペルシャ、アレキサンダー大王、バクトリア王国、クシャン朝、ササン朝ペルシャ、遊牧民エタフル、遊牧国家突蕨が肥沃の地サマルカンドを支配した。ソクド人は時の権力に巧みに取り入って、いつの時代も生き延びてきた。

しかし8世紀、アラブの襲撃でソクド人は死滅した。ソクド語もソクド文字も、歴史の彼方に消えてしまった。今は何も歴史資料として残さない謎の民族となった。このソクド人末裔をタジク共和国のパミール山中に、NHK取材班が発見した。ソクド人は1200年間もの長きにわたって、一民族がゼラフシャン山中奥深く隠れていたのだ。NHK取材班は今も奇跡的に生きていたソクド語を話す老人とチャイハナで語り合う。これは歴史的にすごいことだと思う

サマルカンドでは、チムール発掘の歴史小話が面白い。1941年6月21日、地下のチムール墓は暴かれた。しかし予言通り、当日戦争が起きた。ドイツは独ソ不可侵条約を破ってナチスドイツ電撃侵略を開始した。不思議な予言一致だった。

サマルカンドの最高芸術は、やはりビビ・ハヌイム寺院。チムールはこの寺院完成を必死で急いでいたが、とうとう待ちきれず中国明へ戦争に出かけ、途上70才の生涯を終る。ビビ・ハヌイムは未完の寺院として、今も美しく哀しく輝く。

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