定年後の読書ノート
シルクロード12巻(最終巻)すべての道はローマに通ず、NHK取材班
昭和59年(1984年)第1刷発行。この本は良く売れたのだろう。手持ちの12巻は平成4年第5刷。全巻完結を記念してこの12巻には、関係者9名の座談会―シルクロードを考えるーがのっている。豪華メンバー。井上靖、司馬遼太郎、陳舜臣、榎一雄、樋口隆康、護雅夫、加藤九祚、岡崎敬、長澤和俊先生ら、シルクロードの大御所が勢揃い。こんな座談会はこれからも不可能。この座談会が実に面白い。きっと当時松本清澄氏もこのメンバーに加わりたかったろうに。

先ず、ラクダに乗るのは難しいとの話、実は自分も南京でラクダに載ったことがあったが、あれは馬よりはるかに揺れるし、乗りにく。それに馬より背が高いから怖い。落ちたら大変だとしがみつくが、これが不安定。マルコ・ポーロが紹介したアラムート山。麻薬と美女で若者の心をとらえ、要人暗殺に狩り立てる。テロリストの養成組織のこと。あの険しい山の道場でそんな歴史があったと知った時は、自分も胸高鳴った。陳舜臣さんも同じだった。加藤九祚氏は、サマルカンド、ブハラ、など貴重な遺跡も立派だが、何といってもメルブを取り上げる。自分もウズベキスタン出張の時は、メルブの近くに出かけただけに、砂漠の中に取り残された遺跡に興味は大。

砂漠は怖い。新疆社会科学院の副院長ですら、ロブ・ノールの砂漠で行方不明になって亡くなった。スタインがわずか14日の探検で、23箇所の遺跡発掘をやっている。スタインは遺跡発掘ではなくて、完全に考古文化財盗掘としか言いようがない。勿論、ベリオ・ル・コックも文化財窃盗として厳しく問われるべきだ。

井上靖氏は旅先ではいかなる場合でも、向こうの食べ物を食べるとのこと。松田寿男先生の「古代天山の歴史地理学的研究」という本は是非一度は読んでおくべき名著。砂漠の中の伏流水のこと、これを研究するのは面白そうだ。井上靖氏は体調不調も押しのけてシルクロードにやって来た。「もしここで」の詩。―もしもここで俺が死んだら、すぐミイラになる。地獄もなければ、極楽もない。砂だけの世界だ。家の者もやってこない。誰もやってこない。ただミイラになる。―

大谷探検隊、光端のこと仏訳・英訳してもっと世界に知らしめるべきではないか。橘端超等は真の秀才であり、最後の日本武士だった。満州族もウイグルに居る。ソクド語で有難うは「ナハズブホ」。漢の時代、匈奴を奇跡的にやっつけたのは匈奴が持つ青銅器に対し、漢の鉄製武器が勝ったのが原因ではないか。共産主義の中でイスラム教はどういう位置にあるのか。ソ連の若者は表向きはしゃべらない。製紙技術が中国から西洋に伝わったのは、751年タラスの戦いで唐軍が負けて、捕虜の中に技術者がいたという伝説は本当か。

最後にギリシャ植民都市としてのビザンチオン。ビザンチウム、ローマ帝国時代のコンスタンチノーブル、オスマン帝国のイスタンブルー、アジアとヨーロッパの架け橋。

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