定年後の読書ノート

数学再入門、林 周二 著、中公新書
技術士受験制度改正に伴い、技術士第1次試験では可成り高度な水準の数学問題が出題されることになっている。技術士受験講座に関係する1人として、65歳にして数学再入門の必要に迫られてきた。

林先生が、冒頭で書いておられる文章がおもしろい。

数学は言葉である。情緒的な思考には、情緒的な言葉が必要であると同様に、厳密な思考には、厳密な言葉が必要である。数学では、日本語表現の曖昧なルーズさを許さない。数学を身につけるということは、厳密な論理表現や思考を身につけることである。

外国語に慣れると、外国語でモノを考えるように、数学を身につけることによって、数学言語で思考し、操作し、論理的に厳密に思考するようになる。

近世日本では関孝和を例外として、数学科学が進歩しなかったのは、日本式数表記法や、日本語の文法が論理的でなかったことも関係している。最近は教育の普及により、数学人口はどんどん増え、数学を応用し理解しあう機会は広がっている。

数学言語を操作した論文が多くなってきた。そうした論文に出合ったら、せめてそれを理解出来るようにせねば技術者ではない。数学は自分で問題演習をやってみないと身に付かない。ふところ手の人には、数学は身に付かない。英単語記憶法と同じく、数学演習を重ねることによって数学は身に付いてくる。数学も一種の言語だからやらないとたちまち忘れてしまう。

念の為、最近の技術士第1次試験に出題された数学問題は次の如き水準である。

函数f(x、y)=x2に対して、g(t)=f(1+t、1+2t)とする。g(t)の2次導函数のt=1における値g“(1)の値は幾つか。

相異なる3次元ベクトル(a、1、1)、(1、a,1),(1,1,a)が1次従属となるとき、aの値は幾つか。

正則行列Aが、A2+A―E=0を満たすとき、Aの逆行列を示せ

函数y=sinx+cosxの第50次導函数はどうなるか。

技術士第1次試験として出題されている数学問題を読んで実感することは、大学数学の記憶だけを便りにこの問題を解くのは容易ではない。故に、受験講座を企画する一人として、こうした問題に精通し、少なくとも受験者に学習の指針を示唆出来るように数学再入門が必要である。 これから、数学再入門を集中して始めようと思う。

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