定年後の読書ノート
資本論物語、佐藤金三郎、杉原四郎他21名著、有斐閣ブックス1975年発行
1967年資本論刊行100周年記念に際し、日本の若手マルクス経済学者総勢23名が、カールマルクスの思想と人物像そして主著資本論の正しい理解の一助になればと、生誕から没後まで88項目にわたるテーマを分担執筆した協同労作である。

自分はこの本を過日一宮の古本屋で偶然発見した。読み始めてみると、1つ1つの論文は実に綿密で、理解し易く、生き生きと書かれ、神経を細かく使った文章になっており、しかも全体としては、資本論とはどういうものか、資本論の体系がはっきりと見えてくるのが素晴らしい。読み終ってこれは精読に相応しい本だと感動した。

思えば小生定年後最大の挑戦テーマは、65才までに資本論を読破することだった。しかし、これは挑戦してみて始めて判ったが、資本論を読むということは、並大抵の努力では、貫徹不可能であることを知った。勿論、これだけの難解書を会社勤めの現役時代に読みこなすのは、なおさら困難だろうし、大学でこれを専門科目として取り組む学生も、きっと容易ではなかろうと、世間で言われる資本論は難しいという意味がよく判った。(東大経済学部の学生は、資本論演習が必須科目だそうだが、どうしてもこの必須単位が取得出来ない為止む得ず卒業をあきらめた息子のクラブ仲間のケースもある。他大学の学生に聞いても、資本論演習は一番難しいと誰もが述懐する。)

宮本百合子は労働者の為に書かれた資本論、労働者こそが挑戦すべきだと何処かに書いていたが、どれほどの労働者がこの資本論を征服出来たであろうか。正直大半の労働者は資本論を読みこなし、資本論によって資本主義とはなんたるかを理解した人はほとんど居ないのではないかと思う。それ程資本論学習は容易ではない。

何故か。余りにも資本論は難し過ぎる。読んでいても、余りにも凝縮された文章の前に、一体何が書いてあるか、誰もがたじろってしまう。この凝縮された文章を、自分で理解出来る水準までに解体し、平易化することから始めねばならない。しかし解体がまた容易ではない。そしてまた例え解体出来たとしても、底辺に流れているマルクスの思想は、弁証法哲学を十分に理解していないと、到底把握困難だと思う。しかも、この弁証法哲学というのが、資本論同様に極めて難解であり、幾つかの哲学書を読んでも簡単に理解出来ない。

これら幾つかの難題を前にして大半の人は、資本論挑戦を放棄する。資本論第3部まで、内容をきちんと理解しながらたどりつける秀才は数えるほど極くわずかである。

資本論の難解さには自分も今も苦しんいる。しかし、今回この「資本論物語」を読んで、先ずこの88項目をしっかり理解することが、基礎に出来ると確信した。この88項目をきちんとマスターしさえすれば、理解困難な資本論も飛躍的に読解出来るようになるかも知れないと思った。そこで、これからこの88項目の各論文1つづつを順に、ノートをきちんと取りながらマスターしていきたいと思う。出来れば各論文の要点は読書ノートの形でHPに残しておきたいとも考えている。

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