定年後の読書ノート
中国現代史、世界現代史3、今井駿、久保田末次、田中正俊、野沢豊著、山川出版社
1984年8月初版発行の中国現代史。勿論ソ連崩壊の現在、すでに現代史というタイトルすら意味を無くしている。しかし、中国現代史には、依然興味深い幾つかのテーマが山積しているから面白い。これを岩波新書として、1つづつのテーマとして読んでいくのではなく、中国現代史という膨大なストーリを1冊の本として読み通していくのは、大変興味深い読書である。

中国現代史には、無限のテーマが山積している。勿論今までにも、これらのテーマについては随分読んできたし、勉強もしてきた積もりだ。しかし、今回は、1冊の分厚い現代史として読み通すことが出来、大いに勉強することが出来た。

アヘン戦争で病癖した中国を、英米そして東洋の憲兵日本は如何に植民地収奪を重ねてきたのか。明治維新に刺激された中国ナショナリズムの台頭と、その到達点としての孫文3民主義の意味中国共産党発足当時より、スターリン・コミンテルンの革命干渉の歴史とその功罪中国近代化に干渉してきた日本帝国主義の残虐性。中国革命の岐路に立った西安事変と、当事者としての蒋介石、張学了、周恩来がとった決断、そしてその先見性日本帝国主義の敗北における、国民党軍と人民解放軍の戦線確立そして国共内戦。人民共和国誕生と朝鮮戦争における臨戦体制人民公社大躍進政策の失敗と毛沢東の革命戦略。中ソ対立とアメリカ戦略文化大革命の発動とプロレタリアート独裁の戦略紅衛兵旋風と林毛体制周恩来首相の死去と天安門事件。これら中国現代史の重要テーマは、次々と指摘出来るが、これらの諸問題をこの本では一貫した視点で解説してくれるのが面白い。

特に、中国現代史では、毛沢東と周恩来をどう位置づけているかが、興味深いところである。本書では、毛沢東をこう評価している。

毛沢東には江青のような「革命」家も必要だったが、周恩来のような「能吏」も必要だったのであり、この難しい双方が党内で不断に「闘争―団結―闘争」のリズムを繰返すところに、党・革命の発展が保障されるというのが、毛沢東の状況認識だったとまとめている。

一方、周恩来については、周恩来は毛沢東以上に、近代中国の歴史的特質を人格の上に結晶させたような人物であったが、社会主義や共産主義社会が、国際主義を踏まえて成長するものだとするならば、これに対する明快な理論的見通しも確固たる計画も積極的に打ち出すことをしなかった「実務家」周恩来は、文革の挫折とともに、その歴史的使命を終えたかも知れないと書いている。

僕が中国の歴史の中で一番好きな場面は、矢張り西安事変だ。あの時、3人の歴史上の大人物がせっぱ詰まった状況の中で、実に大人物として、それぞれの決断をしていく歴史的ドラマは、何度読んでも感動の思いを新たにする。中国現代史はすごいと思う。

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