定年後の読書ノートより
どうしたら幸福になれるか、再読(10)、WBウルフ著、岩波新書&一光社
第9章、誤った目標―脇舞台―

家族は、社会的制度や人間の文明と同様、人類の弱さから生まれたものである。

家族の本当の目的は、子どもが社会的、職業的、性的に成熟した関係で成長仕上がるように準備させてやるところである。現代文明において、精神的な近親相姦の結果は、肉体的な近親相姦よりはるかに深刻な問題である。社会的な現実逃避である脇舞台のほとんどのケースは、家族生活のさまざまな悪影響から生まれる。

どこの家庭にも、大抵、「落ちこぼれ」が居るものだ。こういった寄生虫みたいな関係にある人間は、子どもの頃、家庭での間違った訓練によって、準備させられたものである。

最も幸福な人間とは、職業と趣味が一致した人である。自分の職業に満足出来ない場合、自分に合った職業に転職するのに手遅れだということは決してない。現代の狂った経済機構の中では、満足の出来る仕事を見つけるまでの長い間、待っていられるとは限らない。その日、其の日の生活費を稼がなくてはならない人にとって、別の良い職に就く為に必要な新しい技術を身に付けることは大変だ。しかし、本当にやりたいことであれば、人は目的を達成するための手段と方法を見つけ出せるものである。

現代は、性的能力の重要性を過大視する傾向があり、多くの人達が、性的に男らしいことと、人間的に力強いたくましいこととは同じことだと考えている。

サディズムとマゾヒズムは、どちらもその本性は、セックスの相手を侮辱することによって、隠された優越感を求めて懸命になっている。

何千年の昔から、男性と女性は、愛し合い、結婚して、性的な関係を持ち、家庭を作って、そこに幸福を見出してきたのである。愛と結婚は考えているほど、危険なものではない!。

どんな人でも、もし勇気を失わなかったなら、愛する人、ゆくゆくはセックスの相手になる人を見つけ、マスターベーションなどという子どもじみた性の慣行に別れをつげることが出来る。

人間の厳しい現実の衝突を和らげてくれるもの、それは、人間の愛、笑いと涙、そして忘却という天賦の才、苦しみを軽減してくれるものは、眠りや夢や想像の世界、音楽や詩、芸術の歓びである。

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