定年後の読書ノートより
どうしたら幸福になれるか、再読(7)、W・B・ウルフ著、岩波新書&一光社
第6章、再び道具についてー葛藤と感情―

大きな壁画の中の人物は、全体の構図の関係で、はじめてその人がどんな目標に向かって努力しているかが判断できる。あらゆる性格特徴は、目標を持って出来上がっている。人の性格は、いろいろな人や事物に触れて太ったものになっていかねばならない。

人生を上手に生きていくには、一つの徳を極端なものにしていくのではなく、いろいろな徳をうまく組み合わせていくことだ。幸福になる上手な方法は、利己主義や虚栄心をちゃんと認めて、それを社会的に役立つ方向に切り替えていくことだ。

幸福は、何か意味のあることをやることだ。何かで在ることや、何かを持っていることではなく、何かをやることだ。あらゆる人生の努力を、より多くの人々と協力することで、その結果、役立つものに高めていくことだ。

知的な能力(頭のよさ)は、それで社会的有用さという配当金を得ることが出来たとき、始めて面白味が出てくるものである。

葛藤や疑心や優柔不断は、責任をのがれる為の、誰もが陥る隠れた巧みな工夫である。我々は生きている。だから我々は生きるのだ。そして生きるということが、人生の一つの、一つしかない目標なのだ。

人間であるからには、誰でも一役かって加わらなくてはならない人間喜劇がある。隣人の努力に対しては親切にすること。思いやり、その努力を認めてやることだ。そしてユーモアのセンス。自分自身を笑い飛ばすことが出来ること。自分の正体をちゃんと見抜くこと。ユーモアのセンスこそは、人間を救済する徳である。

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