定年後の読書ノートより
どうしたら幸福になれるか、再読(8)、WBウルフ著、岩波新書
第7章、訓練についてー夢とユーモアと哲学―

この章の見出しから明らかな如く、人間は選んで記憶し、記憶が統覚の規制を形作っていく。幸福な生き方とは勇気とウイットに満ちた,社会的な勇気を持った楽観主義に徹する生き方だと説く。

人は選んで経験する。;
どのように、我々は我々の経験をつくるのか;
プロクルステスと統覚の規制;
訓練の方式;
記憶のはたらき;
幼少時の記憶の重要さ;
夢について;
ウィットとユーモアについて;
冗談の心的力学;スポーツの価値、
基本的な哲学について;
神秘主義、運命主義、快楽主義

この章の最後の言葉は、全体をまとめている。

人間は誰でも、よき生活を考える。より豊かな幸福、より大きな生き甲斐とは何か。それは建設的な愛他主義という哲学を持つこと。本当に幸福な人は、いつでも戦う楽観主義者だ。楽観主義は愛他主義ばかりでなく、社会的な責任とか、社会的な勇気とか、自分を勘定に入れずに物事をみる客観性というものを含んでいる

自分達は現実にまともに立ち向い、禁欲主義をもって闘い、元気いっぱいに人生を肯定し、知識を優しさに結び付け、生きるという歓びにユーモアのセンスでからしをきかせることだーつまり、これが完全な人間というもだ。これが人生の輝ける生き方だ。これこそが満足を与えてくれる生き方だ。これは、弱き人間ながら、幸福になれる生き方なのだ。

よき生活へ進むということは、あらゆる人間的な視界をひろげ、敗北に際しても成功に際しても完全に一人の人間としての責任をとるということを含めた、意識的な生き方なのである。

幸福というものは、そのような人間になるという芸術にすすんで打込んでいくことであり、結果として必然的に出てくるものなのだ。幸福になるには、完全無欠なよき生活をしなくてはならないわけではない。人はまず最初の一歩から踏み出さなくてはならぬ。勇気と善意という、大変小さな最初の資本を投下しさえすれば良いのだ。その投資がちゃんと出来たとなれば、幸福は複利でふえていくものなのである。

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