定年後の読書ノートより

図説歴史散歩事典、井上光貞監修。山川出版社
歴史散歩メモ

歴史散歩の要領は、読んで、歩いて、考えること。スケッチも忘れないで・西川)ガイド・ブック、地図、現地案内図、磁石、時刻表は持って歩くと良い。歩く為には軽快な服装が良い。雨具も必要。カメラとノート、懐中電灯、テープコーダも良い。

寺院見学にあたって

寺院は信仰の場であって文化財の博物館ではない。すぐれた文化財がなくても訪れる意義は十分ある。寺院へ入れば境内の伽藍配置に注意しよう。次に建物細部、庭園、安置されている本尊に目を移したい。時代、宗派変遷も大切。

仏像の観方

芸術作品の創造ではなく信仰心からの尊崇対象としての仏像制作であった。我々は「観る」のではなく「拝む」べきものだ。仏の形、印の結び方、手に持つ品物の意味を知るのは基本。仏像にこめられた人々の願いを仏像を通じて知ることをせよ。

文化財保護法

1949年法隆寺金堂壁画焼損事件をきっかけに、有形文化財(建造物・美術工芸品)無形文化財(芸能・工芸技術)民族文化財(風俗習慣・民俗芸能・衣服・家屋)記念物(遺跡・名勝地・動植物)伝統的建造物群等の調査、保存修理、防災施設、買上げ、管理などに規制や保護・助成をおこなっている。

重要文化財と国宝

有形文化財のうち、重要文化財は1万件、その内世界文化の見地から価値が高く、国民の宝とされるもの約千件が国宝である。

文化財保護機関

文部省の外局として文化庁があり、文部大臣の諮問機関として文化財保護審議会がる。文化庁付属機関には、国立博物館(東京・京都・奈良)国立文化財研究所(東京・奈良)国立歴史民俗博物館がある。

或る作家のつぶやき

知性は博物館の案内人としては実に適任であろう。だが信仰の導者としては「無智」が必要だ。「無智にぞありたき」と述懐した鎌倉時代の念仏宗のお坊さんの苦しみがわかるような気がする。人は聡明に、幾多の道を分別して進むことが出来る。しかし愚かに、唯一筋の道に殉ずることは出来難い。冷徹な批評家よりも、愚直な殉教者たりえぬ。そういう不幸を僕らも現代人として担っているのではなかろうか。宗教や芸術や教育について、様々に饒舌する自分の姿に嫌悪を感じざるをえない。「愚」でないことが苦痛だ。それともこんなことを言っている僕が、愚かにみえるのだろうか。(―昭和20年秋―亀井勝一郎著「斑鳩里」より)