定年後の読書ノートより
美術を科学する- 日本の美術9- 東京、京都、奈良国博、至文堂
過日奈良国立文化財研究所で実測定器によって、詳細に研究内容を紹介してもらった、伊東大作氏の「写真側量法」と光谷拓実氏の「年輪年代法による年代判定」についてあらためて学習した。

伊東大作氏の「写真側量法」

この技術の日本における最初の挑戦。1960年東大生技丸山研の鎌倉大仏全重量算出に成功。技術の重点、基準面を設定(投影面の設定重要)、遠近修正し投影、ステレオ写真により立体模造を肉眼観測し、図化機により被写体をトレース、三次元座標を取得、等高線軌跡を垂直断面線として図面表現する。

複雑な曲線や、稜線が細かい等高線で得られる。2.5mm間隔の等高線まで作図実績あり。さらにアナグロからデジタルマップ化が可能となった。デジタルのメリットはトレースのグレード低下がない。図面変換も容易。設計図への転換も容易。

投影面決定の技術向上から、仏像の正写投影の精度向上し、、古代仏師の木取り技術を解明していく仏像木取りの法則が明らかに出来た。

デジタルマッピングは点番号と属性を付加した三次元座標軸の展開で、プロッタ-選択も容易になり、トレース固有技術依存もなくなり、将来期待される。

光谷拓実氏の「年輪年代法による年代判定」

樹木の年輪による年代実用化技術は日本では、長期暦年標準パターン、ヒノキが紀元前912年まで、スギが紀元前313年までできている。この技術が美術品の真贋判定に威力発揮。事例;東大寺仁王像製作木材1201年に伐採、仁王さんの製作記録の1203年と合致。江戸時代の円空仏1647年〜1412年、時代差は原木の外周部削除によると推定。ある京都の漆塗曲物容器、1233年の墨書銘あり。年輪測定の結果、年号銘より400年後世の作品と判明。年輪年代法が美術作品の年代判定や真贋判定などに有効である。

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