定年後の読書ノートより
J.S.ミル ・ 人と思想 菊川忠夫著、清水書院センチュリーブックス
岩波文庫にあるミルの「自伝」「自由論」を少し開いてみた。しかし安易な姿勢で取り組める本でない。先ず幾つかの案内書から始めよう。清水書院の「人と思想」シリーズはいつも判りやすく。愛用している。

John Stuart Millは1806年ロンドンで生まれた。父は9人の子供を文筆1本で育てた努力奮闘型の人間。ミルは3才でギリシャ語、8才でラテン語をマスター、11才で「アリストテレス修辞学の分析」をまとめた天才少年。I・Q推定190、ゲーテと同じ天才少年。

14歳でスランスに学び、イギリスと対照的なフランス文化を身につける。15歳ペンダム著「道徳及び立法の原理序論」から功利主義者としての思想を確立する。東インド会社の社員として社会生活をおくる傍ら、読書人、思索家として知識人生活をおくる。

24歳で人妻ティラー夫人と知り合い、恋愛は長く続く。社会からは多くの非難を受け、ミルは社交界から引退、執筆に専念。1843年「論理学体系」1848年「経済学原理」をまとめる。1851年ティラー夫人と正式結婚。人類の知的改善について夫人と討議を重ね、1859年「自由論」、1863年「功利主義」公刊。東インド会社を引退年金生活に入る。1866年議員生活に入るが、再び学究生活に戻る。1869年「夫人の隷従」を発表。1873年フランスアビニヨンにて65年の生涯を終わる。

ミルの経済思想(「経済学原理」)

社会改良主義(生産面では自由放任。分配面では国家の干渉により社会正義実現)

過渡的性格(自由放任→福祉国家にいたる過渡的特色)

折衷的性格(一般原則は自由主義、教育、厚生等は国家干渉承認)

ミルの倫理思想

功利主義倫理(幸福を快楽とみて、それに役立つことを規準に善悪判断)

基本的立場(俗流功利主義を否定。快楽の質的差異を認めてベンタム主義修正。

人格主義的・理想主義的立場を導入)

ミルの社会思想

自由主義の修正(労働者の団結権擁護。所有、相続、土地等の制度改革承認。

労働者の選挙権拡大。婦人参政権主張)

社会主義への傾斜(その理念に賛成。個々の理論には反対)

ミルの自由論

個人主義の立場に立ち、政治的自由を強調。しかし、従来の政治的自由に社会的自由を追加。「権力からの自由」と同時に「社会の多数派の横暴からの自由」を強調。

ミルと婦人解放運動

産業革命は「婦人問題」、働く婦人、悲惨な婦人の増大

「婦人の隷属」婦人の現状は弾性への隷属、解放は人類向上に役立つ

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