定年後の読書ノートより
初めての都市(奈良)、日本列島に生きた人たち(1、遺跡)金子裕之著、岩波書店
この章を書く金子祐之氏は奈良国立文化財研究所埋没文化財センター研究指導部長。この本は、この度岩波書店が、ユニークな歴史シリーズとして発行した注目書。

帯び締めにこう書かれている。「歴史に出会う昂奮が物語になった!土の下から、人々の暮らしと人生があらわれる。常識をくつがえす遺跡の新発見と、科学的な研究。縄紋から現代まで、人々の生きる姿がくっきりと見えはじめた」定価2300円。

先ず平城京東西4.3km、南北4.8kmここに20万人の人が住んだ。当時の日本人口600万人。トイレはどうしていたろう。これを調べるには寄生虫卵濃度測定。称して「トイレ考古学」。研究成果、藤原京では生野菜、鮎、鯉、鮒を食べていた。トイレは便槽、便壷方式、引き込み溝水洗方式、厠=川屋とか。邸外に流出、道路側溝からは異様な臭気発生。寄生虫駆除にベニバナが使われていた。

ところでトイレットペーパの代わりに使われていたのが、箸=ちゅう木。その箸は食事に使うのではなく、トイレットペーパー用。井戸は浅く、伝染病にすぐに感染、天然痘が737年ころ大流行。マラリヤ駆除の呪文は鬼名唱和。呪文を身体に朱書き。都人の平均寿命、男35歳、女37歳。

役人の位は1位から30階のランクあり。5位以上が貴族、総勢120名。役人総勢6500人。住宅は官職に従う。葬送は都の北方が最高位、次いで東西、さらに南。平城京では佐保山丘陵が最高。庶民の墓は河川敷。平安京でも鴨川や桂川の河川敷は庶民の葬送地。天然痘など疫病大流行では手近な河川敷は遺骸の山。河川は糞尿と遺骸の捨て場だったわけです。

貴族の収入は、位階に給する位田。職田からの税の一部を支給する封戸。宴会料理品数、貴族は30品。6位以下は13品。食器も位階と連動。天皇は銀器、貴族は黒漆器、それ以下は須恵器と土師器。平城京の中心、大極殿の朝堂院には朝庭があり、官人は位階毎に整列、儀式を行う。出勤時は制服。その形や色は位階に順ずる。朝堂院の朝庭に並ぶ一糸乱れぬ天皇中心の秩序と厳密な構成。

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