定年後の読書ノートより
術語集―気になる言葉―中村雄二郎著、岩波新書
巻末にあげられている引用文献は170冊。一冊づつが、重みのある古典名著ばかり。この本全体が、哲学用語の概念とイメージを紹介しながら、同時に哲学そのもののイメージを紹介している。
  • アイデンティティ 自分が自分であることを自分では証明出来ないことは、また、自分の存在を自分で根拠づけうるかという問題にも通じる。
  • 遊び 遊びとは、あるはっきり決められた時間・空間の中で行われる自発的な行為あるいは活動。
  • アナロギア 自同律、AはAでないという事態のもとでは、この現実の世界において在るものは、自立的に存在しているのではない。真実の存在をアナロギア的に示しているのである。
  • 暗黙知 哲学は、語られうるものを明らかに叙述することによって、語られえぬものを意味することがある、これは徹底した論理主義による言語的明示化への意志である。
  • 異常 正常と異常という区別は、近代合理主義文明の中での理性と狂気という区別に体現されている。
  • エロス フロイトでは、エロスは、生の欲動として、死の欲動であるタナトスと対立して捉えられる。
  • エントロピー エントロピー概念を狭く物理学の中に閉じ込めて厳密化するのが果たして良いかどうか。
  • 仮面 仮面のもつ深層リアリティは意識的自我と無限空間を軸とする近代科学の知である。
  • 記号 性行為は霊長類としてのヒトの必要ですが、性的対象として記号化すると、これを欲望する。
  • 狂気 狂気はその時代その社会の支配的秩序とその相関者としての理性を映し出す働きをもっている。
  • 共同主観 人間は本来は自由な個人でありたかったにもかかわらず、自分の存在を圧殺するために、圧殺されるのを知りながら、不可避的に様々な共同体を作り出してしまった。

中村雄二郎氏の「哲学の現在」「術語集」「問題群」の岩波新書3冊は哲学を学ぼうとする者の必読書に挙げられている。いささかこの選択に疑問も感じるが、とにかく学習。

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