定年後の読書ノートより

問題群、中村雄二郎著、岩波新書
中村雄二郎著の岩波新書3部作を読まずして、哲学を語ることも許されないと知って、必ずしも自分の趣向に合った本とは思わなかったが、出来る限り忠実に読んだ。少々疲れたというのが、正直な気持ち。

以下各章の表題と取り上げた哲学者、及びその焦点となるキーセンテンス

  • ロゴス嫌いは人間最大の不幸である。プラトン、ソクラテス、ニーチェ

人は他者との関係の中で生きている以上、言葉による相互行為をしないわけにはいかない

  • トピカ、共通感覚、賢慮の回路。アリストテレス、キケロ、ビィーコ

視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚という人間の五感を貫き統合するものとしての、共通感覚

  • 五大にみな響きあり、あるいは汎リズム論。 空海、ミンコフスキー

ものごとの知覚や認知、そして理解、了解ということはリズムの共振をなによりも前提とする

  • 方法的懐疑と普遍数学の夢 デカルト、ライプニッツ、

疑わしいものはすべて疑う方法的懐疑、普遍数学の数学的方法の可能性

  • 哲学を莫迦にすることが真に哲学することだ。パスカル、バァレリー

否定を通して自己に立ち帰るということは、哲学については、特別の意味を持つ

  • 悪とは関係の解体である。スピノサ、サド、カント

根源的な自然がわれわれ人間に破壊をすすめ、悪を促すところがある

  • 真なるものはつくられたものであり、つくられたものは真なるものである。ビィーコ、ホップズ、マルクス

幾何学において真なるものを知りうるのは、幾何学の世界は人間が作り出したものだからだ

  • 視覚の批判と因果律への問い。バークリー、ヒューム、ユング

ニュートン物理学の基礎は、ヒュームの因果律批判を経て、カントによって確立された。

  • 制度的世界と主人と奴隷の逆転。ヘーゲル、ケルゼン、ポパー

精神は、主観的なものだ。客観的精神になるためには、媒介化、間接化されねばならない

  • 神は死んだから、神々の再生へ。ファイエルバッハ、ニーチェ、エリアーデ

神についての意識は人間の自己意識であり、神についての認識は人間の自己認識である

  • 純粋経験から、場所と行為的直観へ。三木清、西田幾太郎、ケネス、パーク

純粋経験は、未だ主観と客観が分かれず、認識とその対象が一致している

  • 技術とは手段でなく、露わに発く方法である。ハイデガー、ルロワ、ストロース

ハイデガーはナチスの行為への自己の同意に罪の意識を感ずることができなかった

  • 想像力はイメージの囚われからの解放である。サルトル、アラン、パシュラール

物質とは、われわれにとってイメージの総体にほかならない

  • 言語の限界が世界の限界である。イヨネスコ、ソシュール、ウイゲントシュタイン

言語に対してうまく距離をとることは難しい。言語は外部であると共に内部である

唯物論を勉強しようと思ったら、先ず観念論をきちんと勉強する。これが必須のようです。

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