映画  ナイロビの蜂

小説  ジョン・カレ   監督 フェルナンド・メイリリス  主演レイフ・ファインズ

原題はconstant gardener (献身的な園芸家)。映画宣伝広告に出ていた一行PRが胸に突き刺さった。「死んだ妻の謎をアフリカ大地に求め、妻の深い愛を知る」。一体どんなストーリーだろうか、興味が高まった。

 

映画の始まりで、先ずこの映画の立場の自由さにびっくりした。「国連決議に反して正当な理由なくしてイラクを侵略したアメリカに追従するイギリスはアメリカの犬ですか?」。質問する女子大生に教壇でたじたじする講師のイギリス外交官。やがて2人は恋におち、結婚する。

 

妻テッサは、進歩的な信念を持った行動的な女性、夫ジャスティンは、園芸が好きな温厚な外交官。しかし2人は愛し合い、生まれ出てくる子供を待ちわびた。

妻テッサは、ボランティアとして医療支援活動にも積極的に没入している。しかし子供出産を現地人病院で死産で迎えたテッサ。彼女は病院内で、現地黒人に密かに行われている恐るべき人体実験の実態を知る。その背景を追求していくうちに恐るべき大企業の暗躍に気づき、密かに調査、その調査結果をしかるべき英国筋に告発した直後、彼女は無残な姿で殺された。

 

この殺人事件は どうもおかしい。妻の背景に何かある。そう気づいた夫ジャスティンは、妻の死の謎を追い詰めていく。そこで次第に明らかになっていく大製薬会社の新薬開発に隠されたアフリカ黒人を対象とした人体実験、しかし、追及するジャスティンの身辺にも見えない危険が迫ってきた。何者かが大きな圧力を掛けてきている。やがて、外務省の上司である男より「君は殺される」と脅される。そして妻の謎を掴んだ瞬間、ジャスティンは本当に影の力によって殺される。

 

ジャスティンの荘厳な式。ずらりと並んだ政府高官たち。その中で、突然テッサの従兄弟である弁護士は、多くの人を前にして、事件の真相を告発する。顔面蒼白になって席をける上司秘密情報組織リーダ、騒然となる葬儀場。映画はここで終わる。

 

幾つかの感動が残る。亡くなった妻は、身の危険を察知し、あくまでも夫に危害が及ばないように細かな配慮をしていたことを知り、妻の愛情を改めて感動する夫。僕はここの盛り上がりを一番大切にしたい。

しかし、他にも幾つかの感度もある。積極的に社会運動に献身する妻の行動に対し、夫は静かに園芸に没して保守的な毎日を送っていたが、妻の死後 改めて妻の生き方を知って、自らの園芸生活を否定し、妻が求めた道を歩こうとする夫の人生覚醒の過程。

 

あらゆるところに張り巡らされた秘密情報組織に抗し、抵抗は可能なのだという最後のアッピール。愛は死をも乗り越えていくという人間の尊厳を見る感じ。こうした内容が、アフリカ大地を背景に大きな感動を与えてくれる。これこそ痛快な娯楽映画である。

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